[2.6 和歌山県高校新人大会3回戦 初芝橋本高 4-0 那賀高 田辺スポーツパーク]

　平成27年度和歌山県高校サッカー新人大会の3回戦が6日に行われ、昨年度の選手権代表校・初芝橋本高と那賀高が対戦。前半3分に奪ったFW森永秀紀の先制点を皮切りに4得点を奪った初芝橋本が勝利した。7日に行う準々決勝では昨夏の県総体王者である和歌山北高と対戦する。

　新チーム結成後初の公式戦となった初芝橋本に対し、那賀は初戦となったこの日は2試合目。2回戦の笠田高戦を12-0で大勝した勢いをこの試合に持ち込みたい所だったが、キックオフと同時に初芝橋本の迫力ある攻撃に飲み込まれてしまう。

　最初のチャンスは前半3分。初芝橋本は自陣でDF安井裕亮、大崎椋平とパスを繋ぎ、大きく右へ展開すると、FW岩永虎太朗がサイドに開いてトラップ。素早くPA右に通したスルーパスから森永がフリーでゴール前に抜け出すと、冷静にゴール左隅を射抜き、初芝橋本が先制する。続く7分にはMF朝倉丈一郎のスルーパスから、右サイドのMF西淵寛斗がシュートを狙ったが、那賀GK早川侑冶の正面に終わった。

　幸先の良いスタートを切った初芝橋本は先制点を奪ってからも攻撃の手を緩めず、那賀を押し込んだものの、阪中義博監督が「下手すぎる。ラストパスとかクロスの質が今年も低い。サイド攻撃を狙っているのにクロスが上がらない」と苦笑いしたようにゴール前での精度を欠き、追加点が奪えず。対する那賀もシュートは15分に早川のキックが前線のMF平野甲斐に渡り、彼のポストプレーからMF谷口直登が放った場面くらいと攻撃に移ることができない。

　両者、見せ場が作れないまま時計の針が進んでいったが、26分にロングボールから初芝橋本の森永が相手DFの背後へ抜け出し、GKと1対1に。一度は並走したDF古谷純也のスライディングに阻まれたものの、こぼれ球を拾った朝倉がすかさずシュート。GKが弾いたボールを岩永が押し込み、突き放しに成功する。続けて31分には安井が自陣から送った縦パスを森永が相手DFの間で受けると素早くPA左にスルーパス。フリーで走り込んだ西淵がファーサイドにシュートを決め、3-0で前半を終えた。

　後半は、「3点獲っているので、無理して前に出ることはない。明日も試合があるので、そんなに無理をする必要はない」(阪中監督)とボール奪取からの速攻が目立った前半から一転し、中盤でボールを動かしながら相手を崩す作戦に。だが、上手くゴール前に配球できても、カバー力の高さを見せた古谷とDF舟底研斗の両CBに進路を阻まれ、フィニッシュまで持ち込めない。それでも、後半15分にはPA左からMF赤阪洋斗が中央へマイナスのパスを入れて、フリーの森永が左足で合わせたが、惜しくもGKの正面。続く21分にもPA左で赤阪が倒され、FKを獲得すると、ふわりとゴール前に入れた安井のキックからDF斉藤将がヘディング弾を放ったが、再びGKに阻まれた。

　23分には相手ゴール前でのボールロストからカウンターを食らい、途中出場のDF貝野尚真に決定機を与えてしまったが、GK濱田太郎が好セーブを見せて、難を逃れた。勢いが落ち、このまま試合が終わるかと思われたが31分に後方からのフィードに反応した途中出場のFW平田湧哉が左サイドからシュート。ボールは懸命に戻った相手DFのスライディングに当たって、ゴールネットを揺らし、4-0でタイムアップを迎えた。

「内容はそんなに良くない。点を決めるチャンスはたくさんあったので、決めきれるようにしたい。守りも狙っていた高い位置でボールを奪う場面が少なかった」(森永)、「攻撃が単調だったので、今日の出来ではもっと強い相手なら勝てない」(朝倉)と声を揃えたように結果的には快勝で終わったが、細部を見れば課題は散見する。一方で、「昨年は川中(健太)と山本(遼人)くらいしか攻撃が出来なかったけど、今年は前にそこそこ速い選手がいるからシンプルにボールを預けて攻撃ができるし、やろうとすることを忠実にできる」と阪中監督が評する今年ならではの良さが垣間見られたのも確かだ。

　また、年明けから日本高校選抜コーチを務める阪中監督不在の期間があり、この試合に向けての指導を行ったのはわずか5日間のみ。それでも、きっちり守備の約束ごとを徹底できるなど「呑み込みが早いから、怒らないで済む」(阪中監督)ことも今年の長所の一つ。課題と同時に希望も見られる試合内容だったのは間違いない。「今年は、まだまだ伸びる」と指揮官が期待する世代が、「チームで新人戦、県総体、選手権予選と和歌山で全部優勝して、全国で一つでも勝ちたい」(森永)という目標に向けて船出した。

[写真]先制点を奪った初芝橋本FW森永がMF安藤とハイタッチ

(取材・文　森田将義)