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[新人戦]群馬で突き抜けた存在へ!桐生一が前橋東振り切り、ライバル前橋育英との決勝進出

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[2.6 群馬県高校新人大会準決勝 前橋東高 1-3 桐生一高 群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場]

 平成27年度群馬県高校サッカー新人大会は6日に準決勝を行い、連覇を狙う桐生一高と前橋東高との一戦は桐生一が3-1で勝利。桐生一は7日の決勝で前橋育英高と戦う。

 群馬でひとつ抜けた存在になるための、挑戦の一年だ。桐生一は昨年、新人戦、総体予選、そして県1部リーグも制して県内3冠。選手権予選ではプリンスリーグ関東2位のライバル・前橋育英にPK戦の末に敗れたが、0-2から追いついて見せるなど全国ベスト8まで勝ち進んだチームを最後まで苦しめた。高校選手権の出場回数は桐生一の2回に対して前橋育英は19回。数字ではまだまだ大きな開きがあるものの、全国トップレベルにあるライバルとの力の差が埋まりつつあることを証明した1年だった。

 田野豪一監督が「チャレンジしているところなのでメンバーも代えているし、ダメなところを出して自分でクリアしていく設定はしている」という今回の新人戦についてはメンバーを毎試合のように入れ替えて起用。指揮官も「アベレージは高い」と認めるように、多彩な前線など個々のレベルは高いが、まだまだ突出した存在と言えるのはU-18日本代表に選出されたアルゼンチン系の188cmレフティー、FW狩土名禅(2年)くらいしかいない。本格シーズン突入まであとわずか。激しい競争の中を経て一本立ちする選手が一人でも出てくることが期待されている。

 狩土名やDF林慶吾(2年)が欠場した前橋東戦だったが、桐生一はその中でもボールを支配して試合を進めていく。ロングボールの精度優れるMF竹内一将(2年)と次々と仕掛けのパスを配球するMF桐生浩太(1年)のダブルボランチや果敢にシュートシーンへ絡んでくる右SB黒澤翔(2年)らを中心にボールをよく動かしながら攻める桐生一は13分にCB間中泰生(2年)の左足FKがポストを叩いたほか、決定的なヘッドが前橋東ゴールを襲うシーンもあった。一方の前橋東もCB横堀巧(1年)らDF陣が健闘。そして素早い攻撃から10番FW高山大輔(2年)やFW早野碩人(1年)が枠へシュートを飛ばすなど対抗して見せる。

 だが、先制したのは桐生一だった。前半21分、カウンターからFW田中宏武(1年)が左サイドを駆け上がると、中央へグラウンダーのパス。DFを引きつけたFW諏訪竜平(2年)との連係から右中間でフリーになったMF根岸隆也(2年)が右足シュートを流し込む。この後もコントロールして試合を進める桐生一はスキル高いMF服部哲平(2年)がワンツーから決定機を迎えるなど2点目を狙っていく。そして迎えた後半6分、竹内の右CK後の攻防から最後は交代出場のFW手塚真広(2年)が右足でゴール。2-0とした。

 だが、前橋東は崩れない。この後に迎えたピンチを凌ぐと、逆にサイド、相手の背後を突いた攻撃で決定機を作り出す。13分には抜けだしたMF田中治瑛(2年)がGKをかわして左足シュート。これはカバーしたDFにクリアされ、22分に交代出場のFW太田敦(2年)がDFを外して蹴りこんだ左クロスもCKに逃げられてしまう。それでもこの左CKをMF山路幸彦(2年)が入れると、中央のCB割田裕也(1年)がゴールへ突き刺して1点差。流れを変えた前橋東は一気に同点目指して攻め立てた。それでもここで強さを示した桐生一はリードを守ったまま迎えた35分、田中の仕掛けからスルーパスで抜けだした手塚が右足でこの日2点目のゴール。竹内が「こういうピッチコンディションで、相手も勢いがあって難しかったんですけど自分たちが合宿とか通してやってきたことを出せた試合だったかなと思います」と評した内容の80分間で決勝進出を決めた。

 桐生一は滝沢兄弟ら個性豊かな3年生たちが引退し、昨年からメンバーが大きく入れ替わった。狩土名は「去年の方が個人の力はあると思うんですけど、今年は身体能力がない分、チーム力が求められるんでそこをストロングポイントにしてやっていくと思う」と語り、竹内も「(前橋育英と比べると)個の差だったり、そこのクオリティはまだまだ足りていない。(だが)チームの組織力は負けていない」と口にする。個々が成長を目指しながら、今年の鍵を握る組織力でライバルたちに差をつける意気込みだ。

 また選手権予選決勝で前橋育英にPK戦負けした悔しさが選手たちに力を与えている。全国区のライバルを倒してタイトル獲得、全国へという思いは非常に強い。手塚は「PK戦、悔しかった試合を見ている。あれを越えて全国で結果を残さないといけないと思っている。いい目標になっています」と語り、竹内は「自分はベンチだったんですけど、先輩たちのそういう姿見て絶対に勝ってやる、絶対に戻ってきてやるという気持ちで新チームからやってきたのでそこ(打倒前橋育英)の気持ちは強いですね」と力を込めた。乗り越えなければならないライバルの壁。それだけに新人戦も今後の一年間を優位に進める上で重要なタイトルになる。「欲張ってやらないといけない」と指揮官も口にする桐生一がまずは新人戦連覇を達成する。

[写真]桐生一は竹内を中心とした攻撃から3得点

(取材・文 吉田太郎)

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