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[新人戦]「雪」と戦う東北の新人大会は、復興支援が一つの形となった地で

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 2月7日、第15回東北高等学校新人サッカー選手権大会の準決勝が福島県の相馬光陽サッカー場で行われ、地元・尚志高と先の全国高校サッカー選手権4強の青森山田高の2校が決勝戦へと駒を進めた。

 東北の多くの地域は1月前後から雪に閉ざされる。2月に入ってもグラウンドを使った活動ができない、あるいは限定的になるチームも多い。尚志の仲村浩二監督は「郡山市(尚志の所在地)もまだ雪が残っているし、雪かきをしたと思ったらまた積もってしまったなんてこともあった」と言う。青森山田のMF住永翔も、「芝生の上でボールを蹴れるのは(高校サッカー選手権の)準決勝以来」と笑顔を浮かべた。

 体育館での練習や雪中サッカーは雪が溶けた後に生きてくるわけだが、それにしても雪のないところでボールを蹴れる幸せは選手にとって別のもの。「こういう時期に東北のチームを集める大会があるのは、本当にありがたいこと」と仲村監督が語るのもよく分かる。東北高校サッカー新人選手権の準決勝と敗者戦の後には尚志と青森山田のBチーム同士が練習試合を行っていたのだが、その何とも楽しそうな、充実した雰囲気は印象的だった

 今回の会場となった福島県相馬市(福島県東部で宮城県に隣接する地域)の光陽サッカー場は、FIFA(国際サッカー連盟)とJFA(日本サッカー協会)が共同して行った東日本大震災復興支援活動によって再整備されることとなった福島県のフットボールセンター。3面の天然芝グラウンド、2面の人工芝グラウンドと練習用グラウンドを備え、夜間照明設備に加えて「復興交流センター」と名付けられたクラブハウスまで備えており、選手たちが快適にサッカーを楽しめる環境となっている。

 福島県の東部は日本代表MF高萩洋次郎を輩出するなど急速にレベルアップが進んでいた地域だっただけに、こうした施設整備によって選手たちの意欲が刺激され、また新たな才能が育ってくることを期待したい。

(取材・文 川端暁彦)

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