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[MOM1703]尚志MF影山諒(2年)_定位置取りヘ表現した「ここだ!」という武器

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[2.6 東北高校新人選手権準決勝 尚志高 2-0 山形中央高 ]

 東北高校サッカー新人選手権に臨んだ尚志高・仲村浩二監督は「レギュラーどころか中心選手すら定まっていない」と語っていたが、これは裏を返せば「レギュラーや中心選手が定まり始まる大会」ということでもある。選手たちはそれぞれ熱い思いを胸に秘め、ポジション争いという戦いに身を投じていた。

 そして迎えた山形中央との準決勝では、「1回戦は出番がなくて本当に悔しかった。やってやろうと思っていた」と、煮え立つ感情を溜めていた男がその思いを解き放つこととなる。そんなMF影山諒に出番が巡ってきたのは、ハーフタイムのこと。PKによる得点で1-0とリードこそ奪っていたものの、決して内容の良くなかった前半の流れを受けての投入だった。

 投入早々から持ち前のアグレッシブな姿勢を見せると、後半13分に最大の見せ場はやって来た。得意のドリブルでの仕掛けで、相手ディフェンスを切り崩してペナルティーエリア内から折り返す。待っていた大堀憲哉がこのパスを冷静に蹴り込んで、貴重な追加点が生まれた。「フリーだったので、出せば決まると思って出した」と素っ気ないが、流れるような見事なプレーだった。仲村監督が「(影山は)ペナルティーエリアの手前や横で受けて二人くらいを置き去りにできる」と言うとおりのプレーだったが、指揮官にとっては何より、「(1回戦で)出られなかった選手が『ここだ!』というのを出してくれた」のが嬉しかったようである。

 元々はテクニックで勝負できる選手の育成に定評のあるヴィヴァイオ船橋の出身。「千葉にもいい高校がいっぱいあるので、本当に悩んだ」と進路に関して揺れ動いたこともあるというが、いまは「尚志に来て良かった」と言い切る。レベルの高い競争の中で自分が磨かれている実感があるからだが、だからこそ「同じポジションに下の学年(のレギュラー候補)もいるので、絶対に負けたくない。そのためにも結果を残し続けないといけない」と隠せぬ牙をのぞかせた。レギュラー奪取の先に見据えるのは、「プロサッカー選手になりたい」というシンプルで明確な夢である。

(取材・文 川端暁彦)

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