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日本高校選抜選考合宿最終日は紅白戦実施、当落線上の選手たちによる“下克上”も

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 第54回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会に参加する日本高校サッカー選抜の選考合宿(静岡)は最終日の9日、20分3本の紅白戦を行い、3日間の合宿を打ち上げた。
 
 今年、日本高校選抜の指揮を執る早稲田一男監督(日章学園高)は選考合宿のグラウンドでのメニューを全て終えたあと、「一週間後にまた集まるんですけど、かなり上げた状態で来ないと、痛い目を見るぞというか、恥ずかしい結果に終わるぞと伝えたい。本人たちの自覚でトレーニングするしかない」と厳しい表情で語った。前日に行われた駒澤大との練習試合はゲームの中で連係を向上させながらチャンスもつくっていた高校選抜候補だが、高校選手権を最後に引退した3年生たちがまだまだコンディション不足。選手たちはモチベーション高く準備して臨んできたはずだが、指揮官は「まだ(プレーが)伴っていない」と厳しい。また、阪中義博コーチ(初芝橋本高)は選考会をチャンスと捉えて誰よりもアピールしようという気迫の部分が足りないことを指摘していた。

 最終日の午前中、高校選抜候補は赤いビブスを着た現時点での主力組と黄色いビブスのチームに分けて紅白戦を実施。1本目、4-1-4-1システムの赤チームはGKが坂口璃久(星稜高3年)で4バックは右から古屋誠志郎(市立船橋高3年)、福地聡太(東福岡高3年)、白井達也(市立船橋高3年)、杉岡大暉(市立船橋高2年)の並び。中盤は鍬先祐弥(東福岡高2年)の1ボランチでトップ下に中村健人(東福岡高3年)と藤川虎太朗(東福岡高2年)が入る全国2冠・東福岡のトライアングル。右MFが三宅海斗(東福岡高3年)、左MFが牧野寛太(履正社高3年)、1トップは旗手怜央(静岡学園高3年)が務めた。

 一方、4-2-3-1システムの黄チームはGK寺尾凌(市立船橋高3年)で4バックは右SB宮原直央(國學院久我山高3年)、CB深見侑生(駒澤大高3年)、CB星キョーワァン(矢板中央高3年)、左SBタビナス・ジェファーソン(桐光学園高2年)。そして中盤は鈴木遥太郎(國學院久我山高3年)と尾ノ上幸生(前橋育英高3年)のダブルボランチでトップ下が鳥海芳樹(桐光学園高2年)。右MFイサカ・ゼイン(桐光学園高3年)、左MF吉武莉央(大津高3年)、1トップは矢村健(市立船橋高3年)が務めた。

 黄チームがイサカと宮原の連係でチャンスをつくり、赤チームも三宅と杉岡のコンビで左サイドを切り崩して旗手が決定的な左足シュートを浴びせるシーンがあった。また中村のパスを受けた旗手の鋭い突破を星がスライディングタックルで阻止したほか、三宅とタビナスの激しいマッチアップや市立船橋のチームメートである矢村と白井の奪い合いなど見どころもあったが、1本目は0-0で終了。連係で崩すシーンがまだ少なく早稲田監督もその部分を指摘していた。
 
 2本目は赤のGKに脇野敦至(東福岡高3年)、トップ下の藤川に代えてMF名倉巧(國學院久我山高2年)を起用。そして赤の左MF牧野とFW旗手を黄の左MFイサカ、FW矢村へそれぞれ入れ替えた。その5分、前日の練習試合を含めてゴールシーンのなかった高校選抜候補にようやく得点が生まれる。吉武のパスを起点に攻めた黄はPA外側でボールを上手く収めた尾ノ上が縦に切れ込んで強烈な右足シュート。GK脇野が反応良く弾いたが、そのこぼれ球に「こういうところでは結果が大事だと思ったし、(尾ノ上)幸生がシュート打とうとした時に一瞬で来るかな思ったので行って決めれて良かった思います」といち早く反応した牧野がスライディングシュートでゴールへ押し込んだ。

 1本目からスライディングでのインターセプトなど気迫あふれる攻守で一際存在感を放っていた黄の尾ノ上は「昨日の試合あまり良くなかったんで。みんな、この試合に関しては『もう選考会終わった』とか思っていたと思うんですけれども、やんないと例え落ちるとしても、せっかくこの場に立たせてもらっているので全力でやって何か得られたらいいと思って頑張りました」。その後も、当落線上と見られる選手たちの黄が「あっち(赤)はほぼAというか決まっているメンバーだと思うので、(その相手に)勝てばチャンス」(尾ノ上)という思いで戦い、赤を苦しめる。そして8分、黄は吉武がDFのプレッシャーを受けながら持ちこたえてボールを繋ぐと、鈴木らが絡んで鮮やかな崩し。最後は右SB宮原のクロスを鳥海が体ごとゴールへ押し込んで2-0とした。赤は14分に杉岡のアーリークロスから矢村が決定機を迎えたがGK寺尾の正面。タビナスの突破などでチャンスをつくった黄が“下克上”とも言える戦いで20分間を終えた。

 3本目は赤の左SBにタビナス、ボランチに尾ノ上、FWに深見を入れるなど入れ替えが行われ、赤の名倉の右足シュートと矢村のヘディングシュートを坂口が好反応で止めたほか、イサカの鋭い抜け出しを星がブロックするシーンなどがあった中で0-0で終えた。早稲田監督は紅白戦を総括して「思い切ったプレーが少なかった。(モチベーションは高かったと思うが)慎重になりすぎたというかチームメートに遠慮してしまうところがあってこういうゲームになってしまった」と首を振る。そして「将来、どういう道を歩みたいのか、明確なヤツはやると思う。これをいいステップにしていこうという前向きな考え、取り組みをすることが夢を実現することに近づくんだということが分かっていてもなかなかできない感じだと思う。(ただし)コイツらレベル高いですから。我々が高い要求を出すことも大事。どこかでスイッチが入ってしまえば変わる」と語り、高体連代表として世界と戦うデュッセルドルフ国際ユースや20日のネクストジェネレーションマッチへ向けてコンディション、メンタルを変えてくることを期待した。

 戦い方は選手の個性を活かしながら4-2-3-1や4-1-4-1システムをテストしながら、チームとして守備面の向上にも取り組んでいく構え。早稲田監督は「(世界との戦いで大事なことは)もちろん結果だと思います。内容に満足して結果出せなきゃそれは言い訳でしかない。勝負ですから、勝ちにこだわりながらきちっと戦うようにチームをもっていくことが大切」と勝利を目指していくことを説明した。今後選手たちが挑戦する世界は日本高校選抜チームの団長を務める横田智雄高体連サッカー専門部部長(武蔵丘高)が「小器用にできているだけじゃ通用しない世界」と語る厳しい舞台。牧野が「(高体連所属の選手が)何万、何十万人いる中でこうやって選んでもらっている。その誇りをもって頑張りたい」と語ったように、今後選考を経て日本高校選抜に選ばれた選手たちは高体連代表としてのプライドを持って世界に全力で挑戦する。

[写真]存在感を発揮した尾ノ上(右)が三宅と競り合う

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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