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[MOM1704]東京VユースDF小幡裕稀(2年)_PK献上、まさかの空振りも…汚名返上の逆転2発!!

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[2.11 東京都クラブユースU-17選手権・3位決定戦 東京Vユース3-1トリプレッタユース 味フィ西]

 まさに汚名返上の2ゴールだった。見せ場のない前半から一転。ラスト4分で一躍主役へ躍り出た。開始4分のPK献上に加え、決定機での空振りと歯痒いシーンが続いた東京ヴェルディユースのDF小幡裕稀(2年)だったが、1-1で迎えた後半41、44分に連続ゴール。3-1勝利の立役者となった。

 開始4分に小幡を悪夢が襲う。相手の右CK、PA内正面のFW山口ツンデローレンス(2年)を警戒すると、勢いそのまま引きずり倒してしまう。このファウルでPKを献上。MF宮澤亮太朗(2年)に決められ、先制された。

 この瞬間に「これで負けたら最悪だ。絶対に自分が取り返す」と強く誓った小幡は果敢に攻撃参加をみせる。しかし右サイドから裏を狙って仕掛けたものの、思うような見せ場をつくることはできずに前半45分を終えた。

 後半に入ってもゴールは遠い。後半5分頃には「恥ずかしすぎる」という空振り。左サイドからドリブルで仕掛けたMF大久保智明(3年)が前へパス。PA内左に飛び出たDF中根玄暉(2年)がDFを背負い、倒れこみながら右サイドの無人のスペースへボールを送る。走り込んだフリーの小幡が右足を振り抜いた。この上ない決定機に、シュートが決まったかに思われたが、まさかの空振り。ボールは前へ進まず、後方へ流れると呆気なく相手に奪われた。

「蹴った瞬間に(シュートが)入ったと思ったら、ボールが後ろにあって、びっくりしました……。とにかく恥ずかしかったです」と悔いる。その後にチームは1点を奪い、1-1の同点に追いついたが小幡は重なるミスに後悔を続けていた。それでも気落ちすることなく攻め込み続けると、終了間際にひたむきな姿勢は実を結ぶ。

 後半41分、カウンターからFW平田竜士(2年)が持ち込み、横パス。走り込んだ小幡がPA右から右足を一閃。これがゴールネットを揺らし、東京Vユースが逆転に成功。さらに同44分、中盤で奪ってのカウンター。
縦パスに反応し、右サイドへ抜け出た小幡はドリブルで上がるとゴール右の角度の無い位置からニアサイドを抜くシュートを決めた。SBの活躍でチームは3-1で勝利し、3位入賞を果たした。

 試合後、小幡は1点目のシーンについて「いいボールが来て、シュートしたら枠に入ってよかった」と安堵の表情。2点目については「クロスを上げようとしたら、GKが読んでいたので。ニアが空いていたから押し込みました」と振り返る。冷静かつ鮮やかな一撃だった。

 東京Vユースの藤吉信次監督は小幡について「前への推進力はある」と言い、「空振りしようがどんどん前へいけばいい」と攻撃的な姿勢を評価した。もちろん攻撃面だけでなく、守備面の向上にも期待を寄せている。指揮官は「守備面の意識を小笠原(資暁)コーチが高くやってくれていて、前向きに取り組めている。守備もできたら、トップクラス。すごい選手になれる。一人で打開できるし、面白い存在になるんじゃないか」と微笑んだ。

 期待のSBは好きな選手に「(ポジションは)ちょっと違うんですけど」と恥ずかしそうにFWリオネル・メッシ(バルセロナ)を挙げる。また、最近ではU-23日本代表DF室屋成に刺激を受けたという。「足も速いし、身体も強いし、攻撃でもめっちゃ上がって、1対1も強い。ああいう選手になりたい」と話した。

 2得点で逆転勝利の立役者となったが、「まだまだ物足りない。もっと前へいきたかったし、自分は最上級生なので引っ張っていかないといけない。もっと上手くなりたい」と貪欲に語った小幡。緑印のSBがチームの攻守を担う存在となるべく、成長を誓っている。

(取材・文 片岡涼)

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