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[MOM1705]FC東京U-18FW松岡瑠夢(2年)_4戦連続弾!! 「ファンタスティックだけが売り」からチームの柱へ

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[2.11 東京都クラブユースU-17選手権・決勝 FC東京U-18 3-0三菱養和SCユース 味フィ西]

 まさに今大会の主役となった。FC東京U-18のFW松岡瑠夢(2年)は4試合連続ゴールで“東京制覇”に大きく貢献した。「3試合連続で点を取っていたので、決勝で取れなかったら情けない。点を取ってチームを勝たせることを意識していた」という強い気持ちで決勝・三菱養和SCユース戦(3-0)へ臨み、2-0に突き放すゴールを記録。自身のゴールに加え、タイトル獲得という結果に「良かったです」と微笑んだ。

 ゴール前で柔軟な動きを見せる技巧派レフティーだが、意外にも昨季はおもにBチームへ所属。出番は多くなかった。「戦うとか走るとかが苦手で」と本人が言うように、ハードワークはあまりせず、ポーカーフェイスで淡々とプレー。自らドリブルで崩してはスルーパスを狙うようなプレーを志向していた。「(戦うとか走るとかが)正直よくわかっていなかった。やり方もわからなかった」と振り返る。

 FC東京U-18の佐藤一樹監督も「自分でやりたいことが先攻する選手で表に感情を出すタイプではなかった」と評する。それでも「今年になって、それが使い分けできるようになったかな」と成長ぶりを認めた。自分がやりたいこと、チームのためにすべきこと、その判断がつくようになり、献身性を身につけた松岡は目覚しい成長を見せ始め、今大会で4戦連続弾という結果を残した。

 本人ももちろん手応えを感じているようで「チームの皆が(ハードワークを)やっているから、自分もやらないと申し訳ないと思って、やっているなかで段々とできるようになってきた」と言う。

 今大会でストライカーとして開眼した松岡について指揮官は「ファンタスティックだけが売りだったのに、そこにハードワークがついてきちゃったので、『走れ!』ってあまり言えなくなった」と冗談交じりに話し、「上手いやつがチームのために献身的に走るのがどれだけ大事かというのは表現してくれている。まだ90分間は持たないですけど、どんどん時間が伸びていければ、(今大会を)いいきっかけにして続けてくれれば」とエールも送った。

 ハードワークの大切さに気がつき、自分のものにするまで時間がかかったが、指揮官は見守り続けてきた。それも松岡の能力を買っていたからこそのこと。「チームが苦しくなってもゴール前でああいう発想や面白みを出せる選手はなかなかいない。こういう風につながってくれればと思って、そこは多少我慢してでも(使ってきた)。ここまで頑張れる素質はあったんだな」と微笑む。

 殊勲のFWだが、チームの柱といえる活躍にも浮かれた様子は見せず。「この大会は優勝で終われて、今はいい気分ですけど。これからプレミアやJユースも始まるので。厳しい戦いになるのは間違いない。絶対にタイトルを取って終わりたい」と貪欲にコメントした。

 FC東京U-18の主力選手は、今年からU-23チームが参戦するJ3での活動に加わる可能性もある。既にミーティングで全体に説明があったというが、まだまだ成長過程の松岡は「上(U-23)に行くやつもいると言われて意識はしていますが、まず自分はこのチームで出ることを目標に。その先に結果がついてくるかもしれないけれど、まずは現状を頑張りたい」と冷静に目前を見つめた。

(取材・文 片岡涼)

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