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[新人戦]昨年の大分4冠から今年は全国上位へ、大分がヘッド3発で塩田工破る

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[2.12 九州高校(U-17)大会第1ブロック第2節 大分高 3-0 塩田工高 県立サッカー・ラグビー場B]

 平成27年度九州高校(U-17)サッカー大会第1ブロック第2節が12日午後に行われ、大分高(大分1)が塩田工高(佐賀2)に3-0で快勝。1勝1分とした。決勝トーナメント進出圏内であるブロック2位の大分は、13日の予選リーグ最終節で同じく1勝1分の首位・神村学園高(鹿児島1)と戦う。

 午前中の鵬翔高戦を2-0から追いつかれて引き分けた大分。主将の注目MF永松涼介(2年)は「去年も先に取って追いつかれて。チームとしても避けたいところだったけれど、自分たちの甘いところが出てしまったと思います。2点取って自分たちも足止まってしまったり、考える事を怠っているところがあったのでそこが点取られた原因だと思います」と首を振る。

 大分は「味方を見すぎている。もっと相手を先に見てほしい」と語る朴英雄監督の下、個々が相手を見てDF2人を引き付けるようなポジショニングや、それを感じ取ってできたスペースに動く部分など「考える事」を強調しながらトレーニングを行っている。大分4冠を獲得した昨年から主力の半数以上が残っている今年、県新人戦では強敵たち相手に完勝を続けて頂点に立った。そのチームでも「まだ意図的な崩しはできていない」と指揮官は厳しい。また、朴監督が期待する「頭の中がスーパーな選手」の台頭もこれからだが、それでも強さを発揮して初日の2試合を終えた。

 初戦でアンカーを務めていた永松を前へ押し出し、そこへ初戦FWとして奮闘していた前田優希(2年)を配置するなど初戦から選手の並びを変えて戦う大分はポゼッションと縦への速い攻撃を使い分けて攻めこむ。一方、九州大会初出場で健闘光る塩田工は、CB富岡玲司主将(2年)を中心に身体を張った守備で大分の攻撃を跳ね返し、素早く、コンビネーションを交えた攻撃でスペースを取ろうとする。だが大分は前半21分、MF山本光彦(2年)の右CKをCB神田尚輝(2年)が頭で合わせて先制。互いに守備の厳しさを見せる中、後半は再びスコアが動かないまま試合が進んだが大分は21分にFW古田武尊(2年)の右クロスをFW嶋津翔太(1年)が頭で合わせて2-0と突き放す。

 FW川上南琉星(2年)の抜け出しやFW宮原敦寛(2年)のシュートなどで反撃する塩田工も諦めずに攻め返したが、大分は終了間際にも山本の左CKを交代出場のDF登根裕貴(2年)が頭で決めて3-0で快勝した。昨年は大分県内で4冠を達成するも、大分は選手権全国大会初戦で矢板中央高に逆転負け。全国4強入りを果たした11年度のような躍進を果たすことはできなかった。

 朴監督は「もうちょっと上で戦いたい」と語るが、今年はそれを実現できるだけのポテンシャルがある。永松が「一人ひとりの個の力はあまり強くない。連係しないと勝てない」と語るように全国トップクラスのタレントはいないかもしれないが、それでも「一人ひとりが色々なポジションのことを理解して、どこで、誰が出てもいいように意識してきた」(永松)というチームは個々が複数のポジションを水準以上のレベルでこなし、徹底されている「考える事」を継続することで違いを相手との差をつくり出している。

 その磨いてきた「考える事」や連動性高いサッカーをより高いレベルで発揮して、勝利に結びつけること。今大会の優勝チームは全国の強豪や年代別日本代表チーム、海外からの招待チームたちと戦うサニックス杯国際ユースサッカー大会の出場権が得られるため、大分イレブンはスタッフたちから「1位になればサニックスでできる」と鼓舞されているという。永松が「そういうところでできることも自分たちの力を上げるために必要になってくると思いますし、去年に比べたら高いところを目指してやっていくことが大事だと思います。全国で勝つチームになることがテーマ。全国出て、自分たちのサッカーで勝つことが重要」と口にするように、より上を目指す大分はまず今大会で九州トップレベルの相手を突破する。

[写真]九州制覇を目指す大分の10番、永松

(取材・文 吉田太郎)

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