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[新人戦]準々決勝4発の大津が準決勝も突破!「弱い」と言われた世代が勝利で自信つけ成長を加速

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[2.14 九州高校(U-17)大会準々決勝 大津高 4-0 鵬翔高 鹿児島県立サッカー・ラグビー場C]

 平成27年度九州高校(U-17)サッカー大会は14日午前、準々決勝を行い、前回大会優勝の大津高(熊本2)がFW藤山雄生(2年)の先制ゴールと10番MF田中匠(2年)のハットトリックの活躍によって鵬翔高(宮崎2)に4-0で快勝。大津は14日午後に行われた準決勝でも神村学園高(鹿児島1)に3-2で逆転勝ちして15日の決勝(対東福岡高)進出を決めている。

 前半、序盤は追い風の鵬翔が勢いある攻撃で押し込んだ。2分にはFW宇津元伸弥(1年)が左サイド角度のない位置から強烈なシュートを枠へ飛ばす。大津GK前田勇矢(2年)がこれをセーブしたが、鵬翔は直後の左CKからPAで連続シュート。圧力ある攻撃でリードを奪おうとする。だが大津は平岡和徳総監督が「(鵬翔は)しつこく横パスにはついてくるチーム。手をかけないで前への攻撃力をパワーアップしよう」と1トップの藤山への楔のパスや、スペースへの配球で押し上げていく。そして大きな展開からMF杉山直宏主将(2年)が左足シュートを放つなど流れを引き寄せていった。

 前半半ばまで0-0が続いたが、大津ベンチは18分に早くもMF鶴崎大詩(2年)を左サイドへ投入。「前半の途中からという難しい状況での出場だったけど、自分がやれること、前に前にパスを入れることを意識して試合に挑みました。昨日の2試合も出場は途中から。今日も自分が流れを変える、違うアクセントをつけようと考えていました」というレフティーが試合の流れを一気に傾ける。20分、鶴崎が前方のオープンスペースへボールを入れると相手DFがバランスを崩したこともあって抜けだした藤山が一気にGKをかわす。最後は落ち着いて右足シュートを流し込み、大津がリードを奪った。

 奪ったボールを素早くMF野田海乘(2年)らが前線へ運んで反撃する鵬翔も24分に左CKをファーサイドのCB宇都宮尊(2年)が競り勝ち、最後は宇津元が頭から飛び込む。逆に大津は32分、鶴崎を起点とした攻撃からMF山田康太(2年)が左クロス。これを田中が1タッチでゴールへ押し込んで2-0とした。さらに大津はアディショナルタイムにも鶴崎が相手DFラインの背後へ絶妙なフィード。鵬翔GK原田健次郎(2年)が飛び出して頭でクリアするが、落下点を予測していた田中がミドルレンジから右足シュートをGK不在のゴールへ流し込んだ。

 鵬翔は後半開始から186cmの小西恵介(2年)を前線へ投入。高さのアドバンテージを活かして反撃しようとする。こぼれ球をFW{松本浩志}}(2年)らがシュートへ持ち込むシーンもあったが、大津は平岡総監督が「不安視していたDFラインもだいぶ身体をぶつけて。CBもヘディング鍛えたんですけれども、だいぶ大きな選手にもチャレンジできている」と目を細めた大嶋凌成(2年)、吉本康英(2年)の両CB中心としたDFラインが跳ね返し、中盤でフィルター役となったMF瀬戸大貴(2年)と山田のダブルボランチも健闘。無失点で試合を進める。

 迎えた26分には鶴崎のラストパスでGKと1対1となった田中が決定機を迎え、こぼれ球を藤山が左足で狙う。これを鵬翔DF藤村大雅(2年)が必死に弾きだしたが、ハンドの判定で退場。大津は獲得したPKを田中が決めて4-0で勝利した。ともにガンバ大阪入りしたCB野田裕喜とFW一美和成ら抜けた今年の大津。1学年上が強烈な個性を持った世代だったこともあると思われるが、現2年生たちは「弱い」と言われてきたという。だが田中は「『弱い、弱い』と言われていたので『絶対に勝って自信にしようぜ』と言っていました。『去年のヒガシ(東福岡)みたい』に、とコーチからも言われましたし。最弱から最強へ自分らもなれたらいいと思います」と力を込める。同じように弱いという評価を覆して全国2冠を果たした東福岡のように自分たちも先輩たちを越える結果を残すつもりでいる。

 平岡総監督は「何よりも勝ち上がっていく自信がプレーヤーをつくっていくので。この前のU-23も、韓国に最後勝ったことが成長につながる。勝たせることでのエネルギーが大きい」と教え子であるCB植田直通とMF豊川雄太の活躍もあってAFC U-23選手権を制したU-23日本代表を引き合いに出し、勝つことによって生まれる力の大きさを説いた。大津は準決勝でも0-2から田中の2ゴールで追いつき、最後は大嶋のヘディングシュートで逆転勝ち。2年連続で決勝進出を果たしている。鶴崎も「勝つことは自信になる。その中でも内容を求めていきたいです」と語ったように、勝利で自信をつけたイレブンが成長を加速させる。

[写真]前半20分、大津イレブンが藤山(9番)の先制ゴールを喜ぶ

(取材・文 吉田太郎)

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