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「諦めちゃダメ」プロ、海外への思いぶつけ、実力示した7名が「NIKE MOST WANTED」ジャパンファイナル進出!

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 世界で戦える若きフットボールプレイヤーを発掘するスカウトプロジェクト「NIKE MOST WANTED」の関東セレクションが21日、レッズランド(埼玉県さいたま市)で開催された。

 「NIKE MOST WANTED」は現在、プロチームに所属していない才能ある若者を支援。世界各国でセレクションを行い、その勝者たちが16年4月に開催される「グローバルファイナル」に参加し、約6か月間のエリートトレーニングや欧州プロのスカウトを受ける機会を得られる「NIKE ACADEMY」入りを目指す。今年は「グローバルファイナル」の舞台がイングランドからフランス・パリへ変更される予定。すでに昨年末からスタートしている国内選考会を突破した日本人プレーヤーが世界で評価を勝ち取り、海外でのプロになるという夢をかなえることができるか注目だ。

 国内選考会は一次選考に当たる「ファーストチャンス」(15年12月)で8人が合格。この8人に加え、今回の関東セレクション勝者と2月28日開催の関西セレクション勝者、3月12日午前に開催される「ラストチャンス」の勝者、これにナイキスカウトによってスカウトされた「シード選手」約25人を加えたメンバーが3月12日と13日に「ジャパンファイナル」を戦い、「グローバルファイナル」へ進む“日本代表”2名を決定する。

 晴天に恵まれた関東セレクションには中学生から大学生やクラブチーム所属選手までの計60人が参加。11対11ではFW岡村晏登(八千代高)が抜群のスピードでDFの脅威になり、全国16強の帝京三高FW梅田至がPA付近でスキルの高さを示したほか、MF重田創平(共愛学園高)がパス、ボールコントロールで存在感を放つ。そしてMF三上舜右(水戸桜ノ牧高)が1タッチの技ありミドルでゴールを破れば、MF福田遼太(無所属)の左クロスをMF鈴木暢(VFC東京)が1タッチでゴールへ押し込む。ルーレットからミドル弾を打ち込む選手もいるなど、それぞれがアピール。ゲームを重ねるごとにチームの連係が高まり、ゴールを喜び合ったり、声を掛け合ったりするシーンが印象的だった。だが、「絶対に受かりたい」や「誰よりもアピールするんだ」と気迫が伝わってくるようなプレーはやや少なめ。また、味方との呼吸が合わずに「何で!」と肩を落としたり、ミスして天を仰ぐプレーヤーも多く、すぐに全力で守備に戻る動きやスプリントを繰り返すような選手も少なかったのは残念だった。

 2年連続の参加で、俊足FW栗田マークアジェイ(東京実高)と激しいマッチアップをしていたCB滝谷直斗(東京23FC U23、生田東高出身)は「昨年の方がバチバチした感じだった」と指摘していた。全体的に技術ある選手が多かったのは確か。だが選考を担当した櫛山匠コーチ(東京23FC U23監督)、そしてスペイン人のイヴァンコーチは「DFだったらDFの知識、能力、巧さが大事だと思っていて中盤、FWもその部分が必要になる。ただし、日本を代表して世界に行く際に、技術はベースとして、他の部分がないと最後の一人に残るのは難しいと思う」とアグレッシブさなどのプラスアルファの必要性を口にしていた。

 昨年は「グローバルファイナル」で勝者となったMF渡邊凌磨が日本人として初めて「NIKE ACADEMY」への参加権利を獲得(その後ドイツのインゴルシュタットU-23へ加入)。その影響は大きく、この日の関東セレクションに参加し、MF、SBでクオリティーの高さを示していたMF川元雄太(座間高)は「日本人でそういうところまで行けるのはなかなかいない。刺激になりました」と語っていた。ただし、世界への扉は群馬の名門、前橋育英高のエースとして全国高校選手権準優勝している渡邊のような実績ある選手だけに開かれている訳ではない。全国大会出場歴がなかったり、無名の存在でも思いをぶつけてチャンスに前進している選手もいる。そのひとりである川元は「(高校サッカーからは引退したが)このまま終われないと思った。サッカーのドキュメンタリーの番組とか見ると、トントン拍子で行っている人もいるかもしれないですけれども、代表とかで活躍していたりしている人でも(練習生から日本代表へ上り詰めた)中澤(佑二)選手とかすげぇなと思うし、諦めちゃダメだなと思った」。高いスキルや身体能力に加えて、夢へのエネルギーをピッチで表現した選手たちが次のステージへと勝ち上がった。

 全メニュー終了後に関東セレクションの勝者7名の名が告げられた。「ジャパンファイナル」への切符を勝ち取ったのは安定したプレーで評価を勝ち取ったGK櫻井康佑(大成高)、CBとしてのポテンシャル示した滝谷、空中戦での強さ光ったCB林純(尚志高)、精度・判断力と走る部分でもアピールした川元、抜群のスピードを活かした突破、ゴールを見せたFW家鋪謙介(専大松戸高)、攻撃力でインパクトを残した岡村、そして「全然納得行くプレーはしていないんですけどちょくちょくスピードを活かしたプレーを出せたと思うし、それを見てもらえたと思う」と語った栗田。彼らは「ジャパンファイナル」で世界切符を懸けてよりレベルの高い才能たちと競い合う。

 栗田は「全国出ていなくてもプロになれることを証明していきたい。ジャパンファイナルではもっとレベル高い人がいるということなので、自分のスピードを活かしたプレーを出して、ゴールを狙っていければ結果はついて来ると思っている。それを目指して頑張りたい」と宣言。「ジャパンファイナル」では全国屈指の名門校の主力たちも参加する予定だ。「後悔のないように受けなければいけない。ピッチ上で満足して帰るということは見ている方としても凄く大事なことだと思いますし、彼らには『きょうはしっかりできた』『その結果どうだった』としっかり胸を張って帰って欲しい」とイヴァンコーチはピッチで満足できるほど力を出しきることを次の挑戦者たちに期待していた。

[写真]ジャパンファイナルへの切符を掴んだ7選手。左から栗田、川元、滝谷、岡村、櫻井、家鋪、林

(取材・文 吉田太郎)

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