[3.4 第30回デンソーカップチャレンジ宮崎大会1回戦　全日本選抜3-3(PK4-5)北海道・東北選抜]

　各地域の大学選抜チームと全日本大学選抜の8チームによって行われる「第30回デンソーカップチャレンジサッカー宮崎大会」が4日、宮崎県宮崎市で開幕。オープニングマッチとして行われた全日本選抜と北海道・東北選抜の一戦は、3点差を追いついた北海道・東北選抜がPK戦を5-4で制し、勝利を手にした。

　立ち上がりからリズムを掴んだのは全日本だった。まずは前半5分、左サイドから中へ切れ込んだMF松木駿之介(慶應義塾大1年=青森山田高)がシュートを狙ったが、GK正面。11分にはFW山口一真(阪南大2年=山梨学院高)のスルーパスからMF重廣卓也(阪南大2年=広島皆実高)がPA中央に飛び出したが、前に出たGKに阻まれ、打ち切れない。

　同16分にはDF鈴木準弥(早稲田大2年=清水ユース)が左サイドに大きく展開し、松木の下へ。絶妙なトラップからゴール前へと侵入し、中へパスを送ったものの、MF手塚朋克(慶應義塾大2年=静岡学園高)とわずかに合わない。

　以降も全日本は積極的にボールを動かし、サイドから好機を伺ったが、DF榎本滉大(仙台大3年=共愛学園高)を中心にゴール前を固めた北海道・東北選抜の守りに苦しむ。しかし、30分に手塚の突破から右CKを獲得すると、ゴール前に上がったボールをDF小川原一輝((関西学院大2年=関西学院高))が頭で合わせて、1-0で前半を終えた。

　後半に入ってからは、「勝負は後半からと思っていた」(菅野学監督)という北海道・東北選抜の攻撃が活性化。後半9分には右サイドMF野口龍也(仙台大3年=昌平高)のパスから中央にボールが渡ると、FW丹代爽弥(仙台大3年=青森山田高)のポストプレーから、MF菅原啓祐(仙台大3年=青森山田高)。同11分にもDF川上盛司(仙台大2年=鹿島ユース)の攻撃参加によって得たCKから、榎本がシュートを放ったが、ゴールネットを揺らせない。

　好機を活かせずにいると、再び流れは全日本の下へ。15分に右サイドをDF高尾瑠(関西学院大1年=名古屋U18)、手塚と渡り、ゴール前に入ったボールを松木が決めてリードは2点差に。22分にも相手DFの短いクリアを拾った山口がゴールを決めて、突き放しに成功した。

　リードは3点差まで広がったものの、北海道・東北選抜の見せ場はここからだった。「リスクを背負うのは仕方ない。割り切って、前から点を獲りにいこう」(菅野監督)という意思を示すべく、積極的に攻撃のカードを切って、反撃を開始。

　後半34分に右サイドを上がったDF川上のクロスが相手DFに当たって、PA左へ。「相手は全日本だったので絶対に負けたくなかった。とにかく結果を出してやろうと思っていた」途中出場のFW宮澤弘(仙台大2年=柏U-18)が冷静にゴール左隅に流し込むと、37分には左CKのこぼれ球を拾ったMF池田一起(札幌大3年=札幌新陽高)が再び、ゴール前に浮き球を入れ、最後は榎本がヘディングで叩き込んだ。

　1点差まで詰め寄ったものの、41分にはPKを与えてしまうピンチが訪れる。しかし、松木のキックは枠を捕えることなく、一命を取り止めると、後半アディショナルタイム1分に右サイド高い位置でFK。ゴール前で競り合ったこぼれ球を丹代が拾うと、最後はPAでフリーだった宮澤が左足シュートを突き刺し、3-3の同点で90分を終えた。

　迎えたPK戦で見せたのは後半から入ったGK相馬修平(富士大3年=青森山田高)。全日本の一人目のキックをドンピシャの読みで防ぐと、北海道・東北選抜のキッカーは5人全員が成功させて、勝負あり。接戦をものにした北海道・東北選抜が2回戦へと駒を進めた。

　昨年は一勝もできず、最下位に終わった北海道・東北選抜だが、今年にかける意気込みは強く、「選抜を選考する時から絶対にチャンピオンを獲ると言ってきた。事前合宿でもまずは一回戦突破をテーマにしてきた」(菅野監督)。また、宮澤が「とにかく、全日本に勝とうと今日の一戦にかけていた」と口にしたように、対戦相手が各上相手ということも選手たちの刺激になったという。

　ただ、一つ勝って終わりではない。「選手が最後まで諦めずにやってくれた結果だと思います。謙虚に次も戦って、最終的には一番上を獲りたい」と菅野監督が意気込めば、宮澤も「凄く大きな一勝。この勢いで優勝を狙いたい」と話したように、目指すのはあくまでも優勝のみ。5日の準決勝で対峙する関東選抜Aからの勝利も虎視眈々と狙っている。

(取材・文 森田将義)

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