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阪南大FW前田&福岡大MF川上、福岡育ちの2人がピッチで“8分間”の再会

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[3.5 第30回デンソーカップチャレンジ宮崎大会 関西3-0九州選抜]

 ともにピッチへ立った時間は、わずか8分だった。中学、高校とアビスパ福岡の下部組織で育ち、大学では別々の道を歩んだ二人がピッチ上で再会した。関西選抜のFW前田央樹(阪南大3年=福岡U-18)は先発し、2得点を挙げると後半23分に交代した。九州選抜のMF川上竜(福岡大3年=福岡U-18)は後半15分からの途中出場。約8分ながら、同じピッチで過ごした。

 たった8分の“競演”だったが前田は「懐かしい感じがしました。もっともっと、こういう機会が増えれば」と笑顔。「なかなか阪南大と全国大会で当たることはないんですけど、自分たちもそうだし、福岡大が大臣杯やインカレに出て、また対戦できれば」と“再会”を誓う。

 この日の前田は前半終了間際の41分と43分に連続ゴール。地元にほど近い宮崎での試合ということもあり、前田は「僕は福岡出身なので九州相手というのは意識していましたし、そこで点を取りたいという気持ちはありました。決められて良かったです」とかけていた思いを明かす。両親や鹿児島に住む祖母、いとこも応援へ駆けつけていた試合で堂々の活躍だった。

 かつての戦友の活躍を目の当たりにした川上は「最近のあいつの活躍は自分にとって刺激になります」とコメント。昨年12月の全日本大学選手権では3戦連続2得点を挙げ、阪南大の準優勝に貢献していた前田の活躍が刺激になっていたと明かす。

「今日はベンチで見ていて、あいつが2点を取っていたので悔しかったです」と苦笑しながらも、「高校のときから、あのくらいの力強さはあったんですけど、決定力はあそこまではなくて。でも大学に入ってから決定力が上がっているなとは思いました」と成長ぶりを語った。

 福岡の下部組織で育った二人。前田が「福岡の試合は結構気にして見ています」と言うように、川上もそれ以上に“古巣”への思いがある。「5歳でアビスパの試合を見てから、ずーっと好きで。トップに上がれなかったのは悔しかったけれど、今も観に行けるときは毎試合観に行ってるんです」と話すとおりだ。

 とはいえ互いに大学を経てのプロ入りを目指すなか、川上は個人の評価を高めるよりも、「チームのために」を強調する。「アビスパが目指している存在なのは、今も変わらないですし、ずっとアビスパに行きたいという気持ちはあります。でもそこは変に意識しすぎずに、まずは“チームのために”というプレーをしないといけない。個人として評価されることを優先するのではなく、まずはチームのためにやるべき」と持論を語った。

 前田が福岡に帰った際は、必ず一緒にフットサルをしたり、今でも仲の良い二人。試合後に笑顔で話し込むと、川上は前田へ「あんまり調子に乗るなよ。点を取ったからといって、あんまり鼻を伸ばすなよ!」と笑顔で釘を刺していた。

 九州と関西と戦う場所が離れ離れになり、3年が経った。いよいよ今季は大学最終学年。プロ入りを目指す中で大事な勝負の年となる。それぞれの場所で“福岡育ち”というプライドを胸に、必死にボールを追いかける。

(取材・文 片岡涼)

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