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インカレ決勝の再現…関学大FW出岡、“決勝男”の名にふさわしい10分間でハット!!

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[3.6 デンソーカップチャレンジ宮崎大会決勝 関東A 1-3 関西]

 勝負強さ、そして大舞台で決める力を“持ってる”男。それが関西学生選抜のFW出岡大輝(関西学院大3年=G大阪ユース)だ。6日に行われたデンソーカップチャレンジ宮崎大会の決勝・関東A選抜戦の前半のみでハットトリックを達成。3-1勝利に貢献し、大会MVPにも選ばれた。

 初日の関東選抜B戦(1-1・PK9-8)で無得点だったのに加え、前日行われた準決勝・九州選抜戦でもノーゴール。チームは3-0の勝利を果たしたものの、出岡は好機をことごとく外し、ネットを揺らすことはできず。

 試合後には、2得点を挙げて取材を受けるFW前田央樹(阪南大3年=福岡U-18)を横目に「自分はあす(決勝)に取ってあるんですよ!」と冗談を飛ばしていた。すると、迎えた決勝戦でこの言葉を現実にするゴールショーを披露した。

 関西選抜として、3年ぶりの優勝がかかった決勝戦。0-0で迎えた前半29分にMF池上丈二(大阪体育大3年=青森山田高)のパスに反応した出岡は、頭で先制点を決める。「オフサイドかと思ったけど」という一撃で1点目を奪い、前半36分には早くも2点目。CKからのこぼれに反応。右足で押し込み、2-0に突き放した。

 そして2点目から3分後の前半39分には、ハットトリックを達成。GKと1対1になり、併走していた前田からはパスも要求されたが、「中に出せといわれましたけど、結果にこだわっていたので、そこは冷静に」と自ら右足シュートを決めた。

 10分間で3点を決める脅威の活躍。前日は5、6点を挙げる好機がありながらも、無失点に終わっていたため、「昨日はばりイライラしていました」と笑って振り返る。それでもこの日は、「一点目のチャンスで取れると気分的に乗れるという感じがある」というのを体現し、結果を出した。

 出岡は昨年12月の全日本大学選手権・決勝戦の阪南大戦でも、前半のみで3点を決めており、大学の主要大会で二大会連続での決勝ハットトリックという偉業達成となった。

 ともに前線で先発した前田は、出岡の活躍に「インカレのときもアイツに持っていかれたので。決勝で持っている男なんだなと改めて思いました」と脱帽。阪南大に所属する前田は、インカレで3戦連続2得点を決めるも、決勝戦では不発。主役の座を出岡に譲ると、今大会も準決勝で2発を挙げながら、決勝では不発と出岡の“引き立て役”になってしまった。

「僕は準決勝だけ持っているので」と寂しく笑った前田は「悔しいです。僕も決勝で1点くらいは取りたかった」と唇を噛み、2016シーズン中の“リベンジ”を誓った。出岡の活躍は前田に限らず、関西地域の多くの大学生FWの刺激となり、様々な相乗効果をもたらしている。

 大舞台で自身の力を証明した出岡。卒業後はプロ入りを目指しているが、現時点で具体的な話はない。だからこそ、Jクラブのスカウトが集結する今大会には「賭けていました」と明かす。インカレでの3点は偶然ではないと、宮崎の地で証明したこの日、多くのクラブの目に止まったはずだ。

 なお貪欲なだけでなく、謙虚な一面を持つFWは「インカレもそうだし、ハットトリックした後の後半に点を取れないのが課題。あそこで落ちてしまわないようにしないと。後半は疲れもあって、走れなかったので。そこでもやっていかないといけない」と表情を引き締めた。

 昨季はMF起用が多かったが、関西学院大の新チームではFW起用される可能性が高いという。「ゴールの一番近くで点が取れるポジションでできるのは嬉しい」と語ると、「どんどん結果を残したい」と口にした。

 関西学院大からガンバ大阪へ進んだ先輩・FW呉屋大翔の“後任”は荷が重いかと思いきや、「呉屋さんはスーパーなお方なので、逆に楽です」とおどける。今季目指すは、もちろん関西学生リーグ得点王の称号だ。昨季に年間4冠を達成した関西学院大。その新チームの柱として、そして自身の夢を叶えるために、戦う覚悟はできている。

(取材・文 片岡涼)
●第30回デンソーカップチャレンジ宮崎大会特集

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