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自ら獲得したPK決める!!決勝点の慶應義塾大MF手塚「実はだいぶ問題が…」

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[3.6 デンソーカップチャレンジ宮崎大会5・6位決定戦 全日本3-2関東B]

 0-2から3発奪っての逆転劇。決勝点となったのは、途中出場した全日本大学選抜MF手塚朋克(慶應義塾大2年=静岡学園高)が自ら獲得し、決めたPKでの得点だ。余裕を持ってのシュートかに思われたが「実はだいぶ問題がありました」と苦笑する。

 全日本大学選抜は、関東選抜Bに2点を先取される苦しい展開を強いられながらも、前半終了間際に1点を返す。ハーフタイムには2人を交代。手塚がピッチへ送られた。後半19分に2-2に追いつくと、同35分に手塚が仕事を果たす。

「雨の影響で芝に足を取られて思うようにできませんでしたけど、裏を取ることはできるので、そこだけはしようと何度も狙っていた」という抜け出しで相手のファウルを誘い、PKを獲得したのだ。

 大粒の雨が降る中、PKを獲得したMFの胸中には「自信はあるけど、何度も滑っていたし……」と不安な思いが過ぎったという。すると、笑顔のFWジャーメイン良(流通経済大2年=流通経済大柏高)が「手塚、蹴る?」と近づいてきた。「こいつ、蹴りたそうだなと思いました」とジャーメインの“思い”を感じ取った手塚だが「ここは負けじと、俺が蹴るよと言いました」。

 強気な態度で自らキッカーに志願。その勢いでシュートを打つだけだった。しかし実際にボールを手にPKスポットへ目をやると、「やばい……」と頭は真っ白に。踏み込む場所が雨の影響で酷くぬかるんでいたのだ。

 加えて相手のGKを改めてみると、苦い思い出が蘇った。関東Bの守護神はGK後藤雅明(早稲田大3年=國學院久我山高)。過去のリーグ戦などで何度も対戦しており、実際の公式戦でPKを止められたこともあった。ぬかるんだPKスポットに立った手塚は「あの止められたコースのイメージが一気に来て、ただただやばいと思いました」と振り返る。

 それでも自らを奮い立たせたのは、慶應義塾大ソッカー部の一員というプライド。「相手のGKがワセダだったから、ここは決めないとかっこ悪いなと」。そして放ったシュートは「案の定、甘いコース」だったというが、なんとかネットを揺らした。逆転弾が決まり、手塚は「超ほっとしました」と胸をなでおろす。このPKが決勝点となり、全日本は3-2で勝利した。

 今後について手塚は「この経験を慶應に還元することが大事。慶應で上手くプレーできているからこそ、このチームに自分がいるわけなので」と語った。

 慶應義塾大での昨季はMF端山豪(現・新潟)の叱咤を受けつつプレーすることが多かった。「去年は豪くんが僕とかにすごく欲求してくれたので、とても刺激になりました。今度は自分がチームの中に刺激を与えるような選手になれれば」と誓う。

 先輩の背中を追う中で結果を残すと、全日本入りを果たしたMF。今度はチームを引っ張る立場となり、慶應義塾大を高みへ導くつもりだ。


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