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U-19代表の高速SB藤谷、厳しいサッカー界で生き残るために神戸で「いち早くレギュラーを取らないといけない」

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[3.9 練習試合 U-19日本代表候補1-2全日本大学選抜 味フィ西]

 U-19日本代表候補の主軸DF藤谷壮(神戸)は、全日本大学選抜との練習試合に右SBとして先発出場。2本目途中までプレーし、1-0の状況で交代した。試合後に口にしたのはチームとして、まず最低限やるべきことを果たした部分の説明とより追求していかなければいけない部分についての指摘。「(相手が)大学生ということでプレッシャーも速いし、身体も強いことが分かっていたので、立ち上がりはなるべくシンプルにプレーしようとは心がけていて、その部分ではできたと思うんですけれども、前線への配球の精度がまだまだ物足りないと感じています。(また、相手の)個の力が結構強いので前で収められてそこから3人目の崩しの連動が上手かったので崩されたところもあったんですけれども、まだ集まって数日で守備の共有ができていなかったので、それはこれからやっていくべきだと思います」と語った。

 抜群のスピードとしなやかな動きで右サイドを駆け抜ける高速SBは代表チームでの活動を自身の成長とコンディション向上に繋げるつもりでいた。「最近、試合をする回数が少ないので試合勘を戻すことと、自分のスピードを活かすプレーに自信をつけるというか、チャレンジして成功したら自信に繋がると思っているので、どんどんスピードを活かしたプレーをやったり、自分は守備面で課題がある。トップの選手は(球際で)ガッツリ強く行っているのでそこを意識して強く行ったりして、入れ替わったら入れ替わったでタイミングを考えたりして課題を克服できるようにチャレンジしています」。合宿期間中のミニゲームではボールを奪い取った勢いで一気に相手を振り切り、敵陣深い位置まで切れ込んでラストパスを配球。練習試合含めて自信をつけた部分、またチャレンジして失敗した部分も前向きに次に繋げるつもりでいる。

 昨年は2種登録の高校3年生ながら神戸トップチームの一員として天皇杯準決勝に先発出場。前半45分のみの出場だったが、大舞台を経験したことはプロでやっていく自信になった。だが、それを続けていかなければならない。プロ入り1年目の今季、J1で開幕戦から2試合連続でベンチ入りを果たしているが、まだ出場機会を得ることはできていない。「(天皇杯準決勝で得た部分は)プロでやっていけるという自信が一番強いんですけれども、試合をこなせていなかったらその自信が少し失われていくというか、これで合っているのかなという迷いが出てくる。こういう機会(代表チーム)で試合ができるのはいいことだと思うので、チャレンジして自分を取り戻すというか、最高の状態に持っていけるようにやっていきたいと思っています」。

 トップチームで先発出場することは簡単なことではない。過去を見ても、U-19代表クラスの選手がプロ1年目、2年目に出場機会を減らして、コンディションを維持できなかったり、伸び悩んでしまうケースがある。だが、藤谷はその壁を少しでも早く打ち破る意気込み。「なかなか大きい壁ですけれど、ブチ破れるようにコツコツやるしかないと思っているので、練習からアピールして頑張りたいと思います」と力を込めた。

 前日8日、同じ右SBを本職とする日本代表DF内田篤人がU-19日本代表候補に伝えた言葉は藤谷にも刺激を与えていた。「プロである限り、試合に出ないとダメだと思いますし、内田選手が来て、『5年経ったら辞めていく選手が半分』っていう言葉を聞いて、早いうちからどんどん試合に出ないとこのサッカー界は生き残れないし、厳しい世界だと思っているのでいち早くレギュラーを取らないといけないという気持ちでいます」。同じくスピードを持ち味とし、守備にも強く行って負けないプレーをする内田は藤谷にとって見習いたいと感じている存在。日本代表右SBの有力な“後継者候補”のひとりは得たものをどんどん力に変えていくためにも、トップチームで試合に出て階段を登っていく。

(取材・文 吉田太郎)

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