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「NIKE MOST WANTED」ジャパンファイナルは尚志MF高梨起生と履正社FW西村光明が勝者に!!

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「NIKE MOST WANTED」“日本代表”はMF高梨起生(尚志高流通経済大)とFW西村光明(履正社高鹿屋体育大)に決定!! 世界で戦える若きフットボールプレイヤーを発掘するスカウトプロジェクト「NIKE MOST WANTED」の「ジャパンファイナル」最終日が13日に横浜市の横浜みなとみらいスポーツパークで行われ、東北の強豪・尚志の10番・高梨と昨年の全国高校総体8強・履正社の大型アタッカー・西村が勝者となり、4月末に開催される「グローバルファイナル」(フランス・パリで開催予定)へ進出することが決まった。

 約6か月間のエリートトレーニングや欧州プロのスカウトを受ける機会を得られる「NIKE ACADEMY」(イングランド)への参加を懸け、世界各国のセレクションを勝ち抜いてきた才能たちと戦う日本人選手2名が決定。長谷川祥之氏(鹿島アントラーズ強化部スカウト)、村山哲也氏(サンフレッチェ広島強化部スカウト)、山田暢久氏(浦和レッズ強化部スカウト)、櫛山匠氏(東京23FC U23チーム監督)とともに選考を担当したスペイン人コーチのイヴァン氏は高梨について「自分を犠牲にしてしっかりとチームのために献身的にやっていたし、中盤をしっかりと作れていた。ボールを持った時のチーム、スペースコントロールも高いものを持っていると思います。判断のところも難しいチョイスをすることもあれば、それだけじゃなくて簡単なプレーをする、その判断も評価している。彼の場合は攻撃だけでなく、守備のところも良かった」、また西村については「ボールを持った時に特に活きるプレーヤー。ゴール前の判断も素晴らしい。1対1で相手DFを抜き、相手のDFのバランスも崩していた。フィジカル、シュートのところも高く評価している」と2人の選出理由を説明した。

 勝者となった高梨は「難しい場面もいっぱいあったけれど、自分の特長も出して楽しかった。外国でプレーしたいのはあった。チャンスだと思っていた」と語り、履正社の先輩FW瀧本高志(現日本体育大)に続いて“日本代表”となった西村は「一昨日(瀧本と)LINEをして『頑張って受かって来い』と言われました。受かって良かった(微笑)。ボールを失わないところだったり、相手の嫌なプレーをしたところが他の選手を上回っていたのかなと思う」と微笑んだ。彼らは“日本代表”として世界と戦うことへの思いを強めていた。

「ジャパンファイナル」最終日の13日はまず午前10時過ぎから3チームに分かれての11対11を実施。AチームとCチームとの対戦では9分に西村、MF金子修羅(鹿島学園高)との連係からフリーでボールを受けたMF和田幸之佑(久御山高)が右足で決めてAが先制。その後もAは足技と身のこなしで魅せる和田や抜群の推進力が武器の西村らを中心に攻め続けた。だが最終ラインで落ち着いた守りを見せるCB森田絋輔(八千代高)やGK櫻井康佑(大成高)中心に守ったCは終了間際に左SB水口豪(中京大中京高)のアーリークロスから強引にDFの前に出たFW大久保優(東山高)が同点ゴールを決めた。

 続くB対CはBのMF押尾大貴(市立船橋高)が高いスキルを発揮し、MF岡郁樹(八千代松陰高)のスペースを逃さない中央突破、CB林純(尚志高)、左SB波田野海(聖和学園高)のボールへの執着心溢れるプレーなどが光る。一方のCはCB森田絋輔(八千代高)中心に守ると26分に大久保がPKを獲得。だが、大久保が自ら放った一撃をBチームのGK矢田貝壮貴(京都橘高)が読み切って完璧にセーブして見せる。Bも押尾の右足シュートがクロスバーを叩くなど1点が奪えず、0-0で終えた。

 A対BではBの村上光樹(帝京三高)が9分、13分に連続ゴール。さらに15分には押尾のスルーパスから高梨がゴールを破る。その後もCB堀江亮介(近大附高)の正確なカバーリングや林の高さを活かした守備などでリードを守ったBは交代出場のMF持井響太(滝川二高)や岡のチャンスメークから村上が決定的なシュートを連発。一方のAもFW岩木艦(佐野日大高)が1点を奪い返したがBが3-1で勝った。

 そして午後には参加36人から26人を選抜。13人ずつの2チームに分けて「ファイナルゲーム」を開催した。ともに4-3-3システムでAチームの先発GKは櫻井、4バックは右から岡村晏登(八千代高)、堀江、粂井駿太(東山高)、家鋪謙介(専大松戸高)。中盤はアンカーに入った高梨の前方に金子修羅(鹿島学園高)と和田を配置。3トップは右から村上、岩木、西村が並んだ。一方、Bチームの先発はGKが寺尾凌(市立船橋高)で4バックは右から持井、宮川、林、水口。中盤は川元雄太(座間高)をアンカーにインサイドハーフが八田陸斗(久御山高)と押尾。3トップは右から渡辺亘祐(慶應義塾高)、栗田マーク・アジェイ(東京実高)、波田野が並んだ。

 40分1本で行われたファイナルゲームは6分、Bチームが先制する。Bは左サイドで八田と押尾のコンビがボール奪取。すぐさま前線の栗田へボールを入れると、栗田が快足を活かしたドリブルで一気にDFを振り切り、そのまま右足シュートを叩き込む。Aも西村がカットインから右足を振りぬいたほか、村上とのワンツーから和田が左足で狙う。13分には和田の右アーリークロスに岩木が決定的な形で走りこんだが、シュートは枠を外れた。逆にBは17分、左サイドでインターセプトした波田野がDFの逆を突いて中央へドリブル。そして右中間でフリーの渡辺へパスを通すと、渡辺が右足シュートをねじ込んだ。Bは19分にも渡辺の右CKを水口が頭でゴールへ突き刺して3-0とする。

 Bはここで押尾と川元に代えて岡とMF高田流星(大阪偕星学園高)を投入。Aも22分に和田と櫻井に代えて柳原隆二(尚志高)とGK矢田貝をピッチへ送り出した(その後、和田は岡村と代わって再出場)。そのAは最終ラインで粂田が高さを発揮するなど追加点を阻止し、攻撃面でも中盤でのパスなど存在感放つ高梨を中心とした攻撃でビッグチャンスをつくるが、寺尾の好セーブや林のタックル、宮川のカバーリングなど堅いBを崩せずに無得点に終わってしまう。逆にBは終盤、抜群のスピードで存在感を発揮した栗田の突破から高田と岡が決めて5-0で快勝した。

 左サイドで高い技術を発揮するなどパフォーマンスの良かった波田野や優れたセービング力やコーチングを見せていたGK寺尾、右サイドで抜群の運動量を発揮していた岡村らもスカウト陣から高い評価を得ていた模様。だが中盤で高いキープ力を発揮しながらもスペースを突く動きや献身的な守備を続けていた高梨と、1次選考の関西ラウンドから通じてそのダイナミックな突破でインパクトを残し続けていた西村が勝者として告げられた。

 非常に過密だった2日間のスケジュールでライバルたちを上回る実力、ポテンシャルを発揮した高梨と西村。高梨は世界と戦う意気込みについて「ドリブルとパスが世界で通用するのか試したい。(将来)必ずプロになると決めている。しっかりとアピールできたらいい。自分のプレーを見せられれば楽しくできると思う」と口にし、西村は「しっかり結果出せるように、精一杯チャレンジしたい。将来プロになりたい。なかなかチャンスはないので、こういうチャンスをものにしたい」と誓った。昨年は“日本代表”として「グローバルファイナル」に出場したMF渡邊凌磨(前橋育英高出身、現インゴルシュタットUー23)が抜群のスキルと判断力を武器に勝者6人のうちのひとりとなり、「NIKE ACADEMY」への参加権を獲得(その後「NIKE ACADEMY」参加を辞退、インゴルシュタットU-23へ加入)。今年も“日本代表”の2人が世界で輝きを放つか、注目だ。

[写真]ジャパンファイナルの勝者となった西村(左)と高梨

(取材・文 吉田太郎)

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