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4年連続選手権4強以上の星稜、昨年も主力のMF片山、DF岡田のダブルボランチで始動

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[3.13 ジャパンユースリーグ 滝川二高 3-0 星稜高 J-GREEN堺]

 15年度高校選手権で、連覇こそならなかったものの4年連続の全国4強という偉業を果たした星稜高が、新しいシーズンに向けたスタートを切っている。13日には、J-GREEN堺で行われたジャパンユースサッカースーパーリーグで滝川二高と対戦。出だしは良かったが、セットプレーから先制点を奪われると、チーム全体の落ち着きがなくなり、ボールを失ってはロングボールで背後を取られる展開に苦しみ、0-3で敗れた。

 この日は、河崎護監督がU-16大会に参加する新2年生チームに帯同したため、不在。陣頭指揮を執った木原力斗コーチは「自分たちの流れの時間帯に点が取れず、粘り強く守った相手に良いカウンターを出されて、耐えられなかった。まだまだ、課題はたくさんある。チームのコンセプトである、ハードワークによる全員守備ができていない。ボールを奪ってからの攻撃にも、まだ数人の選手しか関われていない。一人ひとりをもっと鍛えていかないといけない」と課題を指摘した。

 立ち上がりにはFW奥野隆正が左サイドからファーを狙った鋭いシュートがあり、前半11分にはFW窪田翔が決定機を迎える場面もあった。前半21分にはMF岩井日々輝が右サイドを突破し、逆サイドからポジションを寄せたMF深津笙がシュートへ持ち込んだが、いずれもゴールネットを揺らすことができなかった。昨季も主力としてプレーしたMF片山浩は「自分たちでボールを回す時間があって、決定機もあったのに決められなかった。決め切るという課題が出た。結果は0-3だったけど、良い場面もあったので伸ばしたい。課題を修正すれば、良いチームになれると思う。全員で無失点に抑えようという気持ちが強かった分、先に点を取られて焦って、前に急いでしまった。失点してしまったら、受け止めるしかない。その後、どうするかという修正が最後までできなかった」と課題を指摘した。

 新チームで注目されるのは、片山と、昨季は最終ラインでプレーしていた岡田勇斗が組んだダブルボランチだ。下級生の台頭によっては別の配置になることもあり得るが、昨季の貴重な経験を持つ2人がチームの心臓部を担う。片山は「昨季は、組んだ大橋(滉平)君が守備をやりながら攻撃で点に絡んでいた。自分は後ろでパスをさばくだけになって、決定的なプレーが少ないので、追い越す動きやシュートを増やすことが課題。『浩にボールを預けたらシュートまで行ける』と仲間から信頼される選手になりたい」と、攻撃参加を課題としている。その点、守備力のある岡田とは役割分担がしやすい。岡田は「中盤でも奪われない技術と、ボランチとしてのゲームメークを身に付けたい。守備面では、中心になってコーチングでチームを動かしていきたい。(アルゼンチン代表でバルセロナに所属するハビエル・)マスチェラーノのようなボランチになりたい」と、得意のボール奪取を生かした守備面をベースにしながら、プレーの幅を広げる考えを示した。

 2人には、プレー面だけでなく、昨季の経験を生かしたリーダーシップも期待されるが、その点はよく理解している。岡田が「自分たちの代で優勝したい。昨年からメンバーに入っている選手が今年は多いということを生かして、チームを引っ張っていきたい」と意欲を示せば、片山は「昨季のベスト4を超えることが選手全員の目標。そのために、日ごろの練習のちょっとした意識から、昨年と比べて何が足りないのかと考えて一つずつ超えていきたい。集合するときのダッシュとか、それくらい細かいところから徹底して超えたい。僕自身は、試合に出て感じていたことを伝えることは使命だと思っている。声でもプレーでもチームを引っ張らないといけない」と使命感を漂わせた。

 4年連続の全国4強以上という成績の中で受け継がれていく経験値は、大きい。木原コーチが「今は、まだいろいろな選手を試しているところ。1年生(新2年生)は静岡でルーキーリーグ(U-16大会)を戦っている。遠征を通して、4月のプリンスリーグ開幕時に良い形になれば良い」と話したように、まだこの日の陣容が主軸と決まったわけではないが、2人が担う役割が大きいことは間違いない。シーズン序盤に課題を洗い出し、4年連続の全国4強、さらにその先を狙う。

[写真]新生・星稜のダブルブランチの一角を担っている片山

(取材・文 平野貴也)

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