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2戦連発のルーキー富樫、「感覚」で決めた電光石火のゴール

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[3.19 J1第1ステージ第4節 横浜FM2-1鳥栖]

 大卒ルーキーの2戦連発弾などで横浜F・マリノスが2連勝を飾った。今季初勝利を挙げた前節・新潟戦(2-1)に続いて1トップで先発したFW富樫敬真。アメリカ・ニューヨーク州出身で、日本人の父とアメリカ人の母を持つ22歳が電光石火のゴールを決めた。

 試合開始早々の前半3分、DFファビオが自陣からロングボールを放り込むと、ハーフウェーライン付近でMF中村俊輔が体をひねってスルーするようにボールを流す。オフサイドラインぎりぎりの位置にいた富樫がこれに反応。ゴール前に抜け出し、GKとの1対1から冷静に右足で流し込んだ。

「自分なりに冷静になれた。流し込むだけだった」という富樫は中村の“スルー”を予想していたのかと聞かれ、「感覚的な話になるけど、流れてくる感覚があった。来るかなと思ったら本当に来た」と返答。感性のストライカーが、その真髄を発揮した。

 関東学院大在学中で横浜FMの特別指定選手だった昨年9月19日のFC東京戦。後半28分から途中出場し、Jリーグデビューを果たすと、同43分に決勝点となる自身J初ゴールを決め、鮮烈デビューを飾った。昨季は4試合に途中出場し、1得点。今季も開幕から2試合は途中出場だったが、前節・新潟戦で公式戦初スタメンを飾り、今季初ゴールをマークした。

「今季3試合目でようやく勝てて、大事なのは次も勝つことだった。そのためには自分が点を取ることが絶対に必要だった」。スタメンに抜擢され、2試合連続ゴール。それでも「後半、もう1点取るチャンスがあった中で遠藤選手とかぶってしまった。あそこで自分が行けなかったのは、(1点取って)どこか満足していたのかなと。あそこでもう1点取りに行くのがストライカーだと思う」と反省した。

 トップ下の中村からは試合中もしきりに守備のポジショニングなどで指示を受けているという。「効率の悪い守備で後半、落ちるのが課題」。前節は後半8分、この日も後半15分でベンチに下がった。「僕の運動量が落ちたのは監督も感じたと思う」と、率直に認める。

「僕は点を取ること以外、チームの力になっていない。大事なのは勝ち続けること。次も自分が点を取れるように全力でやるだけ」。まだまだ荒削りだが、だからこそ可能性もある。リオ五輪世代でもある富樫は「オリンピックは目標にしているけど、それは結果の話。自分はマリノスに集中したい」と、端正なマスクを引き締めた。

(取材・文 西山紘平)

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