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[UAチャレンジカップ]全国で学んだ課題糧に、名門・秋田商が予選リーグ3連勝

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[3.24 アンダーアーマーチャレンジカップ予選Group A第3節 創造学園高 1-2 秋田商高 富士緑の休暇村]

「革新的なサッカーイベントを通じ、ユース期において必要とされる様々な情報、知識を提供することで、世界に通用するサッカー選手を育成し、サッカー界繁栄の一助とする」という大会理念の下、開催されているアンダーアーマーチャレンジカップ2016 SPRINGは24日午前、予選Group最終節を行った。2戦2勝でGroupA首位の秋田商高(秋田)と創造学園高(長野)との一戦は試合終了間際にMF田近晴登(1年)が決めた決勝点によって秋田商が2-1で競り勝った。

 東北屈指の攻撃力を備えていた昨年は夏冬ともに全国大会へ進出したが、勝利には届かず。特に選手権では県勢の連続初戦敗退を11に伸ばしてしまった。10番MF駒野谷海人主将(2年)やMF東海林翔(2年)らその敗退を経験している選手たちを残す今年、チームはスライディング練習を実施するなど徹底して球際、ハードワーク、粘り強さという部分、守備を高めてきている。今回のアンダーアーマーチャレンジカップはその成果が出て佐野日大高、彦南高という昨年のファイナリスト2校にいずれも1-0で勝利。小林克監督が「3年生の先輩たちは上手かったですけれども、1、2年生たちは上手いだけじゃ勝てないというのを学んだと思います。その分をこっちも要求するし、彼らも考えてくれているからできている」というように徹底している部分を勝利に結びつけている。

 その秋田商は創造学園戦の前半2分、右サイドから攻め込むと最後は混戦から駒野谷が先制ゴール。幸先良くリードを奪った秋田商は小林監督が「ああ見えて柔らかくて。パス、キックの種類が豊富」と説明する屈強な大型ストライカー・FW加藤敬明(2年)を起点に攻め込んでいくが、14分に右SB渡辺慎一のクロスを加藤が頭で合わせた一撃がGK正面を突くなど追加点を奪うことができない。

 一方の創造学園はサイドを大きく変えてFW小林純弥(2年)とFW畔柳奨(2年)の両翼を軸に反撃。そのクロスからシュートシーンをつくり出したが、9分にいい形のサイド攻撃からFW小林航也(2年)が放った右足シュートは秋田商の左SB瀧田佳伸(2年)が顔面でブロックし、その後もクロスを入れるシーンが何度かあったものの、最後のところで跳ね返されて得点することができない。

 それでも後半9分、創造学園は右サイドへ抜けだした小林純の折り返しを小林航が右足で決めて同点に追いつく。今大会、創造学園はエースFW前谷朋宏主将(2年)が負傷のために不在。その中でも得点力を発揮しているチームは同点後も小林航が前線でボールを収め、攻撃を展開していく。

 一進一退の展開となった後半。秋田商は駒野谷のグラウンダー右クロスにMF伊藤颯(1年)が飛び込み、直後の左クロスをMF伊藤岳歩(2年)が頭で合わせるなど得点チャンスを作り出す。そして後半アディショナルタイム、右サイドから仕掛けた伊藤岳がDFを引きつけてラストパス。GKと1対1となった田近がGKをかわしてから決勝点となる左足シュートを決めた。

 指揮官が「上手い子たちはいないですけど。頑張れる子たちですね」という秋田商が予選リーグ3連勝で首位突破。駒野谷は今年、秋田県代表の不名誉な記録を必ず止めるつもりでいる。「流れを自分たちで断ち切らなければならないと思うし、今年はそれだけのメンバー、全国の相手でも守備できるメンバーがいると思う。粘り強さとか執着心を持ってやれば必ず勝てると思っています」。今冬は選手権帯同外メンバーを前監督の鎌田修明コーチが遠征で強化。「遠征で鍛えて新チームに移行できるようにやってくれた」(小林監督)というように新シーズンへ向けて万全の準備を行ってきた。また現1年生は東北のルーキーリーグで10チーム中3位に入るなど期待の世代でもある。それぞれの力を結集して、名門は今年こそ、選手権1勝を。そしてより上のステージへ勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
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