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[MOM1750]東福岡MF鍬先祐弥(3年)_欧州での経験も力に、存在感示した攻守の要

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.3 船橋招待U-18大会決勝 東福岡高 7-2 桐光学園高 グラスポ]

 左目上部には日本高校選抜の一員として戦ったトッテナム戦で競り合った際に受けた傷、右目元にも今大会初日に負ったという負傷の痕があった。東福岡高は第21回船橋招待U-18サッカー大会決勝で神奈川の名門・桐光学園高相手に7-2で快勝V。各ポジションで活躍した選手がいた中、チームメートからマン・オブ・ザ・マッチに推される声が多かったのが、中盤の底の位置で守備に奮闘し、攻撃をコントロールした日本高校選抜MF鍬先祐弥(3年)だった。

「鳥海とタビナス中心に来ると思っていた。そこでやらせないように意識していました」。相手の攻撃の軸となるのが高校選抜のチームメートだったMF鳥海芳樹と左SBタビナス・ジェファーソン。まずは守備を意識して相手のキーマンを自由にプレーさせない。また相手のボールホルダーの前に強引に身体をねじ込んだかと思えば、最終ラインを献身的にカバー。そして、ポゼッションしながら攻めてくる相手からボールを奪うと、MF藤川虎太朗とMF高江麗央の2シャドーと連係して攻撃を組み立て、正確なショートパス、サイドへの展開で大量得点に繋げた。高校選抜の欧州遠征から帰国したばかりの鍬先だが「向こうはプレスも速かったし、パススピードも速かったのでそこは余裕持ってやれているかなと思っています」。帰国直後でコンディションはまだ万全ではないようだが、欧州での厳しい連戦で得た感覚が、また実力派ボランチを成長させていた。
 
 昨年、全国2冠を果たした東福岡の中で4-5-1システムの1ボランチを任されてきた鍬先。選手権決勝では献身的な挟み込みで國學院久我山高の攻撃力を消し、準決勝の星稜戦ではパスワークの中から前線へ飛び出して貴重なゴールを決めるなど攻守両面で優勝に貢献し、自身も大会優秀選手、日本高校選抜に選出された。この日の桐光学園戦でも前線まで駆け上がり、強烈なシュートを見舞うなど存在感。大黒柱のMF中村健人主将が卒業し、今年は藤川、高江とともに中盤を引っ張る役割も担う。それだけに「自分は去年3年生に結構引っ張られてきていた。今年はチームの中心にならないといけないですし、声がけの部分でもチームを率先して引っ張っていけるようにしていきたい」と意気込んでいる。

 欧州遠征は手応えと課題を感じるものとなった。デュッセルドルフ国際ユース大会では3試合に先発し、2試合で途中出場。「こっちでは取れるようなボールでも向こうではスピードが速かったり、足が長かったり、フィジカルが強かったりでボールが奪えないところが多少あったので、そこは今のレベルで満足せずにやらないといけない。(一方で)攻撃で組み立てるところは全然行けるなという感じがしていますし、ボールを持っても普通に回りが見えていた」。年代別代表クラスの選手との対戦にも格が違うとは感じなかった。プロで活躍することを目標に東福岡へ進学したMFが得た自信と課題。高体連では全国トップクラスの実績を持つMFが世界を感じて得た経験を活かしてまた成長を遂げる。

(取材・文 吉田太郎)

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