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[プレミアリーグEAST]序盤戦注目の大一番、アウェーの市立船橋が横浜FMユース破って開幕2連勝!

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[4.16 高円宮杯プレミアリーグEAST第2節 横浜FMユース 1-2 市立船橋高 日産フィールド小机]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プレミアリーグEASTは16日、日産フィールド小机(神奈川)で第2節の横浜F・マリノスユース(神奈川)対市立船橋高戦を行った。アウェーの市立船橋がMF西羽拓(3年)の2ゴールによって2-1で勝利。開幕2連勝を飾った。

 ともに優勝候補の一角と目される両チームによる、序盤戦の大一番。市立船橋の日本高校選抜CB杉岡大暉主将(3年)は「(朝岡)監督も『マリノスは優勝争いする』というくらい力あるチームだったので意識していましたし、ここで勝てなきゃ優勝できるチームになれない。去年はこういうゲームを分けたり、落としていた分、ここはこだわっていましたね」と振り返る。昨年の全国高校総体準優勝チームである市立船橋と、日本クラブユース選手権とプリンスリーグ関東2冠の横浜FMとの強豪対決は、186cmFW村上弘有(3年)を前半途中から投入して流れを引き寄せた市立船橋が攻勢だった後半に2得点。そして横浜FMの追撃を振り切ったが、市立船橋の朝岡隆蔵監督は「ウチとしてはキツかったし、思った以上にできなかったゲーム。その中で勝ち点3だけ取れたという印象。もっと精度を上げていかないと動かしていけないし、前進できない」と厳しい評価を下していた。

 前半、横浜FMはGK原田岳(3年)やDFラインの選手が高い位置でポゼッションに加わり、10番MF吉尾海夏(3年)のサイドチェンジを交えて攻める。市立船橋の連動した守備に狭い局面へ追い込まれてもFW渡辺力樹(3年)が上手く加わってDFを剥がして前進。18分には杉岡からボールを奪った吉尾の左足シュートがゴールマウスをかすめ、26分には右SB常本佳吾主将(3年)のスルーパスで抜けだした渡辺が中央へ決定的なラストパスを送る。市立船橋はスライドが遅れて数的不利になるシーンもあり、ボールを思うように取りきれない。攻撃面でも最終ラインまで降りるMF金子大毅(3年)とCB原輝綺(3年)、杉岡のパス交換から攻め返し、10番MF高宇洋(3年)がコンビネーションからシュートへ持ち込んだほか、攻撃力高い両CBのオーバーラップをアクセントにしたが、相手にパスコースを上手く遮られるなど効果的な縦パスを入れることができなかった。

 だが、巧さを見せていた横浜FMも実力を出し切ることができない前半に。松橋力蔵監督が「慎重になり過ぎていた。最初から相手を圧倒するというか、ゴール前に釘付けにさせるような部分が出てこなかった。もっと全然できるのが分かっているから悔しい気持ち」と評したように、吉尾や常本を除くとチャレンジしようとしたプレーが少なく、どこかリスクを避けたようなパス回し、仕掛けの中でボールを失って市立船橋に攻め返されてしまう。市立船橋は34分に投入された村上が長身を活かしたプレーと献身的なプレス、球際の迫力で攻守の起点に。西羽がいい形でボールを奪って右SB真瀬拓海(3年)がゴール前へ飛び出すなど、ショートカウンターからチャンスの数を増やした。横浜FMは前半終了間際に吉尾の右FKから渡辺が決定的なヘディングシュートを放ち、後半3分には吉尾が正面の位置から左足シュートを放つが、いずれもポジショニング良く対応したGK井岡海都(3年)にキャッチされてしまう。
 
 朝岡監督も「村上入って流れが変わった」と振り返っていたが、前線でよくポイントになっていた村上を軸にいい形でボールを運べるようになった市立船橋は後半8分に先制点を奪う。金子の右クロスをファーサイドの村上が長身を活かして頭で落とす。これを受けた西羽が巧みなターンでDFを外すと、左足シュートをゴールへねじ込んだ。「ただシュート打つということしか考えていなかった」という西羽の先制ゴール。この後も高が絡んだPAの崩し、U-17日本代表MF杉山弾斗(2年)の左足クロスやセットプレーからチャンスをつくる市立船橋は24分、右CKを原が競り勝ち、最後はファーサイドの西羽が1タッチで2点目のゴールを押し込んだ。

 思い通りにボールを奪うことができていなかったという市立船橋だが、相手の判断がわずかでも遅れればあっという間に囲い込んでボールを奪い、またMF阿久津諒(3年)や金子がよくセカンドボールを収めていた。そして最終ラインでは杉岡や原が1対1の強さ、的確なカバーリングで危険を消していく。

 それでも横浜FMは吉尾が負傷交代した後半29分以降に勢いを増す。仕掛けのパスが繋がり、押し込むと、31分にはスルーパスでFW岩城大助(2年)が抜け出す。だが市立船橋はGK井岡が上手くコースを消してビッグセーブ。34分には交代出場のU-17日本代表MF堀研太(2年)の左足FKがゴールを捉えたが、これも井岡がはじき出した。市船・伊藤竜一GKコーチも「珍しく褒めてあげました」という守護神の好守。だが、試合はこのままでは終わらない。終盤、3点目のチャンスを活かせなかった市立船橋に横浜FMが詰め寄る。42分、左サイドからボールを動かすと、右中間でフリーの常本が右足一閃。「その一発でチームを後押しできたらと思った」という主将の一撃は左ポストを叩いてゴールネットへ吸い込まれた。勢いを増した横浜FMは48分、こぼれ球を拾ったMF川原田湧(3年)のスルーパスから堀が決定機を迎えたが、シュートは枠の外。1点リードを守った市立船橋が競り勝った。

 市立船橋は大一番を制して開幕2連勝。全国高校総体優勝8回、全国高校選手権優勝5回の名門が初のプレミア制覇へ好スタートを切った。課題も多かっただけに杉岡は「勘違いせずにやっていくこと。シーズンの最初に監督とかから『今年は力ない』と言われている。謙虚に去年の東福岡のようにやっていきたい」と引き締めることを忘れなかったが、大目標はやはりプレミアの頂点。「プレミアは市船としても取ったことないし、そこはこだわっています。去年取れなかった分、去年の経験もあるのでこだわっていきたい」。より強く、逞しいチームとなって勝ち点を重ね続けて冬を迎える。

[写真]後半8分、市立船橋は西羽の左足シュートで先制

(取材・文 吉田太郎)
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