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[プレミアリーグEAST]柏U-18が青森山田を3-0撃破!残留争い演じた昨年、前評判の悔しさが活力に

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[4.24 高円宮杯プレミアリーグEAST第3節 柏U-18 3-0 青森山田高 柏]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プレミアリーグEASTは24日、第3節2日目を行い、14年優勝の柏レイソルU-18(千葉)と昨年2位の青森山田高(青森)が柏のホーム・日立柏サッカー場で激突。U-17日本代表FW中村駿太(2年)の2ゴールとMF大谷京平(3年)のゴールによって柏が3-0で快勝した。開幕2連勝中だった青森山田は初黒星。一方、2連勝(2勝1分)の柏は2位へ浮上している。

 昨年は残留圏内ギリギリの8位。昨年まで6年間指揮を執った下平隆宏元監督は今季からU-18チームを離れて現在、トップチームの指揮を執る。また、今年1月からU-18チームの監督を務めていた布部陽功前監督も3月中旬にトップチームのヘッドコーチに就任。そのため、U-18チームはコーチの永井俊太氏がプレミアリーグ開幕1か月前に監督へ昇格するという慌ただしさの中でリーグ開幕を迎えた。MF中村陸(3年)が「周りからも直接は言われないですけれども、『大丈夫か』という雰囲気もあったと思うんですけど、みんな『見てろよ』と逆にパワーにしたと思います。監督代わったりしても、レイソルのユースのサッカーは変わらないものがあるので大きな問題はなかったですし、逆に去年本当に苦しい思いをした分、個人個人思い入れが強くて、去年の良くなかった結果をバネにできていると思います」と振り返るように、決して前評判が高かった訳ではないが、その評価を活力としたイレブンは開幕戦で優勝候補の一角と目された横浜FMユース戦をドローで終えると、前節には前年優勝の鹿島ユースを撃破。そして今節は苦しみながらも、プレミアリーグで過去1分3敗だった“天敵”青森山田に初めて黒星をつけた。

 永井監督が「苦しみましたけれど(得点を)ひとつずつ取れたことは大きいし、ゼロで抑えてくれたというのは凄く頼もしいな、凄いな、よくやってくれたなと思います」と讃えた青森山田との90分間。前半は互いにボールを奪うと、ポゼッションから相手ゴールを目指していく。柏は絶妙なボールタッチとキープ力光る中村陸と非常にアグレッシブに攻め上がってくるSB坂本涼斗(3年)のコンビで右サイドを打開するなど、昨年以上に素早い仕掛けからパス、突破を狙うシーンが目立った。中村陸が「去年に比べてパワー、テクニックは落ちる部分があると思うんですけど、逆にチーム全員の協調性は今年のウリ。みんなで戦うことを意識している」というように、精度の面などを全員サッカーでカバー。そして今年の選手たちの持ち味であるスピードを活用して速く、相手の嫌がる攻撃をするという意識がチームにはある。ミスでボールを失うシーンも少なくなかったが、それでも積極的な仕掛けがチャンスにも繋がっていた。

 青森山田も左サイドを中心とした攻撃で反撃。26分にはインターセプトからMFバスケス・バイロン(1年)の折り返しを10番MF高橋壱晟(3年)が右足で狙うが柏MF加藤匠人(2年)が顔面でブロックする。31分には柏FW中村駿にカウンターからドリブルで独走されたものの、U-19日本代表GK廣末陸(3年)が1対1をストップ。逆に35分には相手DFのギャップを突いて抜け出したFW鳴海彰人(3年)の決定的な左足シュートがゴールを襲った。

 正確にパスを動かし、決定機もつくった青森山田だが、「相手は守備ブロック(の構築)が速かった」(黒田剛監督)という柏に対してなかなか攻撃をスピードアップすることができず、なかなか攻撃に推進力が出てこない。一方の柏は40分、右サイドからボールを繋ぎ、最後は中村駿が左足シュート。DFに当たってコースの変わったボールがゴール方向へ向かうがGK廣末が必死に叩いてゴールを死守する。それでも柏は直後の右CK後の混戦から最後は「(ビッグセーブを2本続けられて)燃えたというか、絶対に決めてやろうと思った」という中村駿が左足でGKの股間を破るシュートを叩き込んだ。逆サイドのベンチまで駆け寄った中村駿中心に大喜びした柏イレブン。後半8分にもホームチームに歓喜の瞬間が訪れる。右サイドのスペースへ飛び出したMF鬼島和希(3年)がDF2人に挟まれながらもキープ。そして中村陸が鋭いターンから縦へのドリブルでDF2人を振りきって丁寧なラストパスを入れると、走りこんだ大谷が1タッチで決めて2-0とした。

 青森山田もサイド攻撃からセットプレーを獲得。高橋のFKやMF郷家友太(2年)のロングスローからボールがゴール前に入る。郷家が決定的なヘディングシュートを放ち、終了間際にはCB橋本恭輔(3年)のヘディングシュートがクロスバーを叩くシーンもあったが、柏はDF古賀太陽主将(3年)不在の中で身体を張って守るCB城和隼颯(3年)やCB東山航大(3年)、ゲーム主将のGK猿田遥己(3年)を中心に無失点のまま試合を進める。そして後半45分、前線でよくボールを収めた中村駿を起点にカウンター攻撃。左中間のスペースへ飛び出したMF朝倉涼介(2年)のラストパスに中村駿が走りこみ、そのまま左足シュートをねじ込んだ。

 青森山田は連勝スタートで緩みが出てしまったか。決して0-3で終わるような内容ではなかったが、積み上げてきたものを表現することができず、守備面での責任感などわずかな部分がスコアに直結。混戦のリーグ戦で勝ち点を積み重ねていくために黒田監督は「準備、したたかさ、執念のところで上回っていかないといけない」と指摘した。一方、柏の永井監督は「目の前の試合にベストの準備をして今、結果がついて来てくれているんでそれは本当に選手のおかげ」と選手たちに感謝。だが、ミスが出た部分や攻撃の緩急の部分など、これから課題を整理していかなければならない。それでもトレーニングからいい準備ができていることに選手たちは手応えを感じている。中村陸は「いつも監督にも『自分たちの持っているものを出せば結果はついて来る』と言われている。そういう面では練習とかでもAだけじゃくてBも全員でいい質でやっている。それがいい形に繋がっていると思う」。去年は苦しい展開の中で何とか引き分けに持ち込んだことが残留に繋がったが、今年は上位、優勝を争うシーズンにする。中村駿は「上を狙うためにも、いつも勝っていてというシーズンにしたい」。2年ぶりの頂点へ。好スタートを切った柏U-18が混戦のリーグ戦で勝ち点を積み上げる。

[写真]前半40分、柏U-18は先制ゴールを決めた中村駿太がベンチ前でガッツポーズ

(取材・文 吉田太郎)
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