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「東京五輪への推薦状」第13回:目指すは長友+ブラジル代表!?“赤い彗星”の爆走対空戦車・小田逸稀

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 2020年東京五輪まであと4年。東京五輪男子サッカー競技への出場資格を持つ1997年生まれ以降の「東京五輪世代」において、代表未招集の注目選手たちをピックアップ

 高校サッカー選手権終了後に発表される「大会優秀選手」。この手の表彰に関しては「何で○○が入っていないのか」という必ず出てくるものである(人数に限りがある以上、仕方ないのだが)。個人的には、優勝した東福岡高の左サイドバック・小田逸稀が入っていなかったことは意外に思えた。

 本人も悔しかったのだろう。新シーズンの目標としてチームの優勝を第一に挙げつつ、「各大会の優秀選手にも入っていきたい」と明言する。サイドバックというスポットライトの当たりにくいポジションだが、それでもインパクト不足とは言わせる気はない。夢である「プロに上がっていく」ことを考えれば、「頭一つ抜けるくらいの存在でなければいけない」ことが分かっているからだ。

 小田の特長は何と言ってもその運動能力だろう。俊敏ながらパワフルで、決して大柄ではないものの圧倒的な跳躍力を生かしてエアバトルでも絶対的な存在感を見せ付ける。単に高く跳ぶだけでなく空中姿勢の良さ、空中でのボディコントロール能力も特筆モノ。両親共に元バレーボール選手で、「小学校のときはママさんバレーに混ざってやっていた。その効果はあるのかも」(小田)とも言い、「ヘディングと対人は誰にも負けない自信がある」と断言してみせる。

 ただ、それ“だけ”では「夢」に届かないということも感じている。東福岡の大先輩・長友佑都のプレーがヒントになった。「長友さんのプレーを観ていると、何度も何度もスプリントを繰り返しながら、試合の最後にオーバーラップを仕掛けていくことができる。いま意識しているのはそういう走りの部分。今年はまずスプリント回数を増やすことに意識して取り組みたい」と、さらなるパワーアップを見据えている。

 もう一人、レアル・マドリーとブラジル代表のDF、ダニーロのプレーにも惹かれている。少しタイプの違うサイドバックだが、「予測力とキックの質が凄い。ああいう逆サイドへロングパスを通すプレーとか、そういうプレーもできるようになりたいと思って練習しています」と、どこまでもどん欲だった。この飽くなき向上心こそ、小田が持つ身体能力以上の武器なのかもしれない。

執筆者紹介:川端暁彦
 サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動。『J論』( http://j-ron.jp/ )編集長を務めているほか、ライターとして各種媒体に寄稿。著書『Jの新人』(東邦出版)。
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