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“和製ネイマール”が世界へ!聖和学園卒のMF波田野海が「NIKE MOST WANTED」で勝者に!!

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 “和製ネイマール”が世界へ! 世界で戦える若き才能を発掘する世界的なスカウトプロジェクト、「NIKE MOST WANTED」の「グローバルファイナル」(フランス・クレールフォンテーヌ)は現地時間1日午後、閉会セレモニーで勝者12人を発表。MF高梨起生(尚志高流通経済大)とMF波田野海(聖和学園高卒)の“日本代表”コンビからは波田野が勝者としてコールされ、イングランド代表の本拠地、セント・ジョージズ・パークでの約6か月間のエリートトレーニングや欧州トップクラブの育成組織とのゲームやスカウトの機会を得られる「NIKE ACADEMY」入りの権利を獲得した。

 波田野は“ドリブル軍団”聖和学園時代には選手権宮城県予選決勝で2ゴールを決め、全国大会でもゴールを決めている実力者。PA付近などで魅せる華麗なタッチのドリブル、そして得点力を備えたMFは地元誌やSNSで“和製ネイマール”などと呼ばれていたという。そのドリブラーが昨年日本人として初めて勝者となったMF渡邊凌磨(「NIKE ACADEMY」入りは辞退。現インゴルシュタットU23)に続き、世界で評価を獲得した。閉会セレモニーで発表された勝者12人。その4人目の選手として名前を告げられたのは「(昨年は勝者6人だったため)12人って聞いてワンチャンあると思っていた」という波田野だった。それでも実際に名前を呼ばれると「番号間違えたかと思った」と驚きの表情のまま壇上へ。やや挙動不審な動きを見せて表彰、集合写真に収まった波田野だが、我に返ると「(勝因は)体力テストとミスが少なかったところ。(NIKE ACADEMYは)自分の夢に近づける環境だと思う。凄い嬉しいです」と表情を崩した。

 選考を行った「NIKE ACADEMY」のジョン・グッドマン監督は「ボールを持った時に強いし、自信あるし、『NIKE ACADEMY』にMFが欲しかった」と波田野について評価。セレクションではディフェンス面の軽さなど課題もあったが、「どんな選手にも強いところと弱いところとがある。彼には圧倒するくらいいいところがある。弱いところは(NIKE ACADEMYで)高めていけばいい」と問題視しなかった。

 地元・フランスをはじめ、イギリス、ドイツ、オランダ、ブラジルなどから計40名が参加して行われた「グローバルファイナル」。最終日は参加選手をA、B、Cに分けた3チームに「NIKE ACADEMY」を加えた4チーム総当りの選考試合(1本30分)を行った。波田野と高梨のAチーム(3試合で通算1勝1分1敗)は1本目で「NIKE ACADEMY」と対戦し、高梨が4-3-3システムのトップ下、波田野が左FWとして出場。高梨は守備面で味方との挟み込みを献身的にこなしていたほか、サイドへ正確なボールを配球するシーンがあり、また波田野は「NIKE ACADEMY」の右MFで、チャールトン(イングランド)への長期トライアルが決まっているフランス人MFナッシム・グール相手の守備面で苦戦しつつも、攻撃面で魅せる。19分に混戦を巧みに抜け出してGKとの1対1から決定的な右足シュート。これはGKのビッグセーブにあって得点できず、また波田野は終盤にスピードに乗ったドリブルを悪質なファウルで止められると、左膝付近を負傷してしまう。それでも、試合後にグールから「Good Player」と声を掛けられて自信がついたという波田野はその後のゲームでもアピールを続ける。

 2本目は「初めて」という右SBを努め、積極的に前に出るプレーで2-0の勝利に貢献。そして左FWとして出場した3本目は7分にショートカウンターからDFを振り切って決定的な左足シュートを放つ。だが「そんなアピールできていない。アピールするためにはゴールと思った」という波田野は終了直前のラストプレーの左ショートコーナーから、ダブルタッチの技ありドリブルでDFを完全に抜き去る鮮やかな突破。自ら決定機をつくり出して右足シュートを放つも、これは枠を捉えられなかった。それでも「受かりたい」という強い意志を持ってプレーし続けたMFは同じ日本人のライバル、高梨らとの評価を最終日のゲームで逆転。一方の高梨は交代出場した2本目29分に左サイドからの正確な折り返しでボールを繋ぎ、ゴールをアシストしたが、得意のポジションではないサイドでのプレーが続いてボールロストが散見するなど本領を発揮できず。本人は実力では負けていなかったことを改めて強調したが、「(波田野ら勝者に比べて)決意が足りなかった」と悔しがった。

 波田野は5月にメディカルチェックのために渡英。そして6月には「NIKE ACADEMY」の一員として、エリートトレーニングを受ける日々をスタートする。「フィジカル面ではアカデミーの選手や外国人選手の強さを感じた。自分の弱いところを改善してもらって得意なところを磨きたい。ドリブル練習はないと思うので自主練でやっていきたい」。

 世界で認められたMFはわずかなチャンスをものにし続けて世界で勝者となった。国内選考会ではジャパンファイナル1日目が開催された3月12日午前の「THE LAST CHANCE」に挑戦し、ジャパンファイナル出場へのラスト2枠にギリギリで滑り込んだ波田野。そのジャパンファイナルではアピールしながらも惜しくも勝者となることができなかったが、勝者の1人が負傷したことによって追加招集という形で「グローバルファイナル」出場のチャンスを得た。欧州でプロになるという強い意志を持ち、諦めずに思いを持ち続けたMFが日本人選手初加入となる「NIKE ACADEMY」で成長を遂げて世界で戦える選手となる。

(取材・文 吉田太郎)

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