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[プリンスリーグ関西]気持ちの強さと「月まで走れ」の走力、冬へ向けて“らしさ”磨く関大一が4発野洲撃破!

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[4.29 高円宮杯プリンスリーグ関西第4節 野洲高 1-4 関大一高 J-GREEN堺]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プリンスリーグ関西は29日に第4節を行い、野洲高関西大一高が対戦。前半21分に奪ったDF山本壱成の得点を皮切りに4点を奪った関大一が4-1で勝利を手にした。

 関大一は序盤からテクニックで上回る野洲にボールを持たれる時間が続いたが、「野洲は上手いので支配されるのは分かっていた。皆でしっかり守ってショートカウンターを狙ったり、守備から試合に入ろうと意識していた」(山本)と関大一に焦りの色は見られない。要所をきっちり抑えて決定機を与えずに試合を運びつつ、攻撃ではボール奪取から手数をかけずに素早く相手ゴール前まで進んだ。前半18分には自陣からのロングフィードで抜け出したFW松村篤志がPA左で倒され、FKを獲得。DF橋本広幸が直接ゴールを狙ったが枠を捕えることができない。21分には左サイド高い位置でスローインを獲得。DF足立穂高がゴール前に入れたボールが相手GKのファンブルを誘うと、山本が冷静に押し込み、均衡を崩した。前半の残り5分を切ってからは、42分と45分に松村が連続シュートを狙ったが、追加点が奪えずに後半に突入する。

 試合が再び動いたのは後半3分。相手エリア中央で、MF中島遼馬が粘ったボールを後半から入ったばかりのFW才木勇斗が拾って右サイドに展開すると、走りこんだMF百浦慎吾が上げたクロスを松村が頭で合わせて関大一が追加点を奪った。関大一は直後の5分にも左サイドからチャンスを演出。中央でのインターセプトから素早く左に展開すると、PA左付近で受けた才木が迷わずシュート。クロス気味のボールがゴールネットを揺らして野洲を引き離した。12分にも左サイドからチャンスを作り、MF小倉智哉のパスをゴール前、フリーの松村がダイレクトで合わせたが、これはGK北脇侑真のファインセーブによってCKに。「風上にいた前半のうちに点をとって、差をつけたかったけど、決定的な場面を外してしまった。後半はチャンスが少なくなるかなと思っていたけど、クロスに飛び込んでいける回数が増えてきた」と松村が振り返ったように、以降も関大一の勢いは衰えず、25分には右サイドの橋本が低い位置から入れたクロスを松村が再びゴール前で合わせて4点目を奪った。

 このままでは終われない野洲も試合終盤に入り、FW高取誠隆やMF徳田竣希らによる突破から攻撃のギアを上げ、27分にはFW中野知良の強引な突破によって、PA右でFKを獲得。MF江口稜馬がゴール前に低いクロスを入れたが、味方とわずかに合わない。35分には高取が左から中央にカットインし、右サイドのスペースにパスを配球。走りこんだFW岡田直也の折り返しをFW毛利大河が合わせて1点を返したが反撃は続かず、4-1で関大一が勝利をおさめた。

 勝った関大一だが、「僕は相手よりも下手くそとわかっているので、運動量と球際と気持ちで上回ろうと思っていた」と山本が口にすれば、「一人ひとりが本当に下手くそなので、ポゼッションができるチームではない」と松村が続けるように決してテクニックに秀でたチームではない。スポーツ推薦で入学する選手は一学年に極わずか。中学時代にクラブチームに所属していた選手が多い他のプリンスリーグ勢とは違って、公立中学出身や付属中学出身の選手も少なくない。ただ、「中学まで強いチームにいた選手は少ないけど、そんな奴らでも戦えるってことを見せていきたい」と松村が口にするように、プリンスリーグ関西を戦うからには意地もある。

 戦うためのベースになっているのは気持ちの強さと、「月まで走れ」というスローガンの通り、走力だ。関大一は、不定期で行われる3200mを12分以内で走れる選手しか練習に参加できない。1年生の間はタイム内に入れない選手もいるというが、「僕も走るのが苦手だけど、試合に出ているからにはそういのも頑張らないと示しがつかない」という山本ら3年生中心に気持ちでカバーして、走力を磨いてきた。その甲斐もあって、2012年度以来、5年連続でプリンスリーグ関西の座を死守しているが、最大のターゲットである選手権出場はベスト8進出を果たした2010年度以来、果たせていない。「個人個人としては目立った選手がいないけど、全員がまとまってチーム力で相手を上回ることができれば、全国にも行けるはず。6年前に先輩たちが全国で躍動したように、今年も関大一高旋風を巻き起こしたい」と山本が意気込むように、「今年こそ」という想いは強い。プリンスリーグ、そして総体予選で、関大一らしさを磨きながら、冬に向けての準備を進めるつもりだ。


(取材・文 森田将義)
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