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途中出場・途中交代の試練乗り越え…市船出身・山形ルーキーFW永藤を指揮官も賞賛

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[5.3 J2第11節 東京V0-1山形 味スタ]

 一度は落ちかけたメンタルを立て直すと、果敢なプレーでチームの勝利に貢献した。モンテディオ山形のルーキーFW永藤歩は東京V戦、0-0で迎えた後半24分から途中出場。サイドから積極的に仕掛け、裏へ抜け出してはチャンスを演出すると、流れを変える。勢いづいた山形は先制に成功。そのまま逃げ切り、今季初の連勝を飾った。

 市立船橋高出身のルーキー永藤。チーム合流後はなかなかプロのサッカーに慣れることができなかったようで「最初は本当に何もできませんでした。スピード感や体格、判断の早さも全然違うので、全くついていけなかった」と言う。それでも「徐々に慣れてくると、メンバーに入れるようになりました」。

 4月17日に行われた札幌戦(1-1)で初のベンチ入りを果たすと途中出場でJデビュー。続く岡山戦(1-0)でも後半21分からピッチへ入り、同25分には決勝アシストも記録した。初アシストと上出来なプロ2戦目となるはずだったが、アシスト後の後半アディショナルタイム3分にまさかの途中交代。「途中出場で途中交代は痛すぎるなと。メンタル的にもだいぶやられました」という結果となってしまった。

 それでも岡山戦の次節にあたる熊本戦が地震の影響により、延期になったことで、試合間が約10日も空くことになった。この期間を使い、メンタルを切り替えると、再びやってやろうと前向きな気持ちを取り戻した。

 そして迎えた東京V戦。0-0の後半24分に永藤の出番がやってきた。途中出場での途中交代があったことから、起用されるかどうか不安もあったようだが「ずっと準備だけはしっかりやっていました」というMFは覚悟を持って、ピッチへ足を踏み入れた。「裏への動きがないなかで起点になれ」「守備もしっかりやるように」と石崎信弘監督からは言葉をかけられた。

 出場直後から果敢に裏を狙って仕掛けると、守備でも全力で激しくチャージにいった。後半32分にはロングボールに永藤が抜け出るも、あと一歩のところで相手GKに阻まれた。それでも永藤の積極的な姿勢が実り、山形はリズムをつかむと後半33分に決勝点。1-0で勝利した。

 試合後、山形の石崎監督は「永藤が入り、色々なオプションが出てきた中でゴールが生まれた」と名前を挙げて称えた。得点シーンに直接的に絡んだわけではないものの、永藤の投入が試合の流れを変えたのは間違いない。

 それでも奮闘みせたルーキーは満足せず。「流れを変えるのは意識していますけど、点やアシストをしたわけではないので、点につながる部分をもっとやっていきたい。もちろんまずは1点を取っていきたいです」と貪欲に語った。

 1997年生まれの永藤は“東京五輪”世代にあたる。もちろん自身もそこを見据えているようで「自分も五輪世代なので、そういうところにアピールしていけるように結果を残していければ。もっと試合に出て活躍すれば、チャンスは来ると思う」と口にした。市立船橋高出身のルーキーが山形の地で結果を残し、より高みを目指していく。

(取材・文 片岡涼)

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