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U-23日本代表メンバー発表、手倉森監督会見要旨

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 U-23日本代表の手倉森誠監督は6日、都内で記者会見を行い、11日にガーナ代表と対戦するU-23日本代表メンバー23人を発表した。

以下、手倉森監督会見要旨

手倉森誠監督
「まず、五輪3か月前にガーナ戦というマッチメークをして頂いた協会と、それをサポートして下さるスポンサーの皆さまに感謝申し上げたいと思います。五輪まで3か月を切って、このガーナ戦を皮切りにトゥーロン国際大会、6月の国際親善試合というのが、リオ本大会に向けての強化試合になります。5月のガーナ戦とトゥーロンに関しては強化をしながら、メンバーを絞り込むことを加速させていくことになる。本戦でのアフリカ勢、まずは初戦のナイジェリアを想定するにふさわしいチームと対戦できると感じています。五輪での我々の可能性、目標への可能性を高めるための強化として、アフリカ勢との対戦で我々がどう工夫をしないといけないのかの手応えをこの試合でつかみたい。同時に熊本地震の復興チャレンジマッチ、チャリティーマッチになりました。大きなものを背負って戦う覚悟、戦う勇気、勝利を目指して挑む姿勢を示して、エネルギーを届けたいと思います。ガーナの国内組のA代表を迎えて、おそらくタフなゲームになると思いますが、苦しい局面でもしっかりしのいで勝利を目指す姿勢を被災地に示せればと思います。震災の起きた年に、前回はなでしこジャパンが世界一になりました。次は我々の番だという覚悟もこの試合から持たせて、U-23、ジャパンを奮い立たせたいと思います」

――今回選ばれたメンバーが今後の軸に? 彼らが本大会に残るためには?
手倉森 軸になりたければ頑張るでしょう。頑張れと。間違いなくここに来るメンバーはそのチャンスがあるし、そのチャンスを十二分に生かす覚悟を示してほしい。本大会をしっかりと描き、これからは活動すべきだと思う。非常に過酷でタフな本大会が待っており、求められるのはタフさです。環境の整った日本で試合するにあたり、今ある力を存分に発揮しなければタフさは磨かれない。スピードとパワーを示せる選手たちが生き残っていくだろうなと思っています。

――クラブで主力の浦和MF遠藤航や柏GK中村航輔が呼ばれていないが。
霜田正浩ナショナルチームダイレクター(ND) いろいろな理由があります。この後にトゥーロンも控えているので、ここで呼ばなくてもトゥーロンでしっかり見れる選手もいる。その後にACLも控えて過密日程で日本の代表として戦わないといけないクラブがあり、ずっと試合に出ている選手に関しては、ある程度考慮しています。一人ひとり理由が違うので、ここに選べなかった選手をすべて話すわけにはいかないが、遠藤と中村に関してはそういうことです。

――今回のチャリティーマッチの意義をどう感じる。
手倉森 打撃を受けた被災地。思いは悔しさ、悲しみにあふれています。人生では悪いことが起きますが、良いことも人間の力で起こさないといけない。こういう状況になったときにスポーツの力で、明るいニュースを届けられると、東日本大震災の後のベガルタでものすごく感じました。国民の思いを背負って戦うことで、日本代表やチームというのは、思いもしない力を発揮できるものだと感じています。そういうことを理解している指揮官として、今回の五輪メンバーに対しても被災地の思い、そして五輪への国民の思いをしっかり胸に刻んで戦うことができれば、人は多くのパワーを注げるだろうと。そのパワーを注いだ先には、必ず良いニュースが届けられるんだと今回は示さないといけない。日本の歴史を変えるべく、メダルが目標であることに対して、一つ大きなものを背負った状況で、我々が戦うことが課せられたんだなと思ったとき、そういう力が必要だということをしっかり認識して、打撃を受けた被災地、九州の力、そして日本の力を、我々が世界でたくましさという部分で示せればいいと思っていますし、そういったものが示せる集団だと、今回の90分で示したいと思います。

――主力に故障者が続出し、海外組のオーバーエイジも呼べないという情報が入ってくる状況ながら、なぜそこまで元気なのか。
手倉森 イライラする沸点が人より高いんだろうなと。あとは自分が捉えている幅にはものすごく広さがあるなと自分の中で関心しています。この立場で仕事をさせてもらっているときに、これまでの五輪代表監督の感情だったり、仕事ぶりを私なりに検証してきて、今この立場で仕事させてもらっています。オーバーエイジを呼ぶことは非常に困難な仕事です。自分の中では「こんなん」でしょうという感じでいますし(笑)、勝負を挑む時に、戦う仲間には必ず縁があるものだと思っています。今ケガをしているメンバーは決して縁がないわけでなく、果たして誰が戻ってくるんだろうなという期待感も自分の中にはあります。オーバーエイジありきでなく、やっぱりU-23の大会だという考えがあって、U-23世代を次のロシアの選手選考に食い込ませたい。困難で選べない状況であっても、そのプロジェクトは大きく進むなと。そういう割り切りも自分の中にはありますし、なるようになるなといつも思っています。ただ、7月1日まで、自分の中には時間があって、その中でやるべきことをきっちり、いろんな情報を取りながらやっていければ、その先にはやることが明確になってくるだろうと。実際に最終予選まではいろいろ試行錯誤しながら、苦しみながら、最後は勝てばいいだろうという思いでアジアチャンピオンになれたし、こういうスタンスでいることが、いろんな力が寄ってきてくれるのかなと。最後までこの態度でいられればと思います。

――具体的に想定しているシステムや戦い方は?
手倉森 このメンバー構成を見れば4-4-2。ガーナには4-4-2でいきます。アフリカ勢や予選を勝ち抜いてきたそれぞれの国々をみると、ものすごく若さからくるゲームコントロール力が間延びする状況が見られている。特にアフリカ勢はそうだと。これをオープンな状況で付き合っては、絶対に身体能力でやられるので、コンパクトさを武器に戦おうと思ったときに4-4-2だなと。自分の中の考えですが、その確信を持てるように今回の試合でトライしたいと思う。負けたら違うことをやります。

――ガーナ戦以降の国際試合でトライすること。
手倉森 選手一人ひとりにもっとポリバレント性を植え付けないといけない。割り切りの部分で、体力の分散と集中力の分散を少し彼らに理解させないといけない。あとはスピードを高めないといけないし、柔軟性、割り切り、つまりあとはメリハリというのが、本大会では大事になってくる。ものすごい暑さの環境の中でパワー出し続けることは難しいし、いつパワーを出すのかということに対して、メリハリを持ったチームにならないと、最後は体力が枯渇してしまう。90分の中でそうなるかもしれないし、大会期間中にそうなるかもしれない。そういったものを理解し合えるグループを形成しないといけない。そういう意味で、3分の1以上は2つのポジションができる選手がいなければいけないと今のところ考えています。

――トゥーロンに向けて選手を削ることになるが、メンバー選考を選手に伝える方法は。
手倉森 メンバーはトゥーロンでは入れ替わります。入れ替わることを選手たちに話しながら、佐賀キャンプをやっていきます。置いていくと決断した選手は、このガーナ戦がものすごく大事になってくるだろうし、そういう意識の中で戦わせたい。本当に柔軟性、バリエーションを持たせるために、いろんな選手にまだまだチャンスを与えたいと思っていたので、入れ替えて5月は進みたいと思っています。そういう話を理解してもらいながら、チームとして動いていきたいと思っています。

――ガーナ戦でのゲームプランは。
手倉森 ゲームの状況に応じて、システムを動かせられる選手がいれば、それを実行していきたい。それが攻勢なのか、劣勢なのか。特に劣勢の時に、そういった違う顔を見せないといけない。あと一つはJリーグが金曜日にあるチームがあるので、そのへんはしっかりとコントロールしてあげないといけないという考えがあります。いろんな選手にチャンスを分け与えられると思っていますから、そういったところでのメンバーの交代は効果的にする必要があると思っています。

――伊東純也選手はサイドハーフとして、それともSBとして見ているのか。
手倉森 サッカー選手として見ています(笑)。彼は中盤に上がってからゴールに直結するプレーができている。4-4-2のサイドアタッカー、あとは元々FWをやれる。アフリカ勢にはスピードのある選手がいますが、アフリカ勢を驚かすスピードスターとして良いタイミングで使えればなというふうに考えています。

――海外組のオーバーエイジは選択肢にあるのか。監督の中で人選が思うようにいかなければオーバーエイジを使わない選択肢もあるのか。
手倉森 北京のときに使おうとして使えなかった経験があるので、そういうことは起こり得るのかなと思っていますし、U-23を育てたい、育成したいと思っています。今このグループの中では、ものすごく正しい競争が育まれている。だからこそ、この短い期間で成長してきている。その可能性を見たときに、彼らでやり切るのは一つの手段だなと思っています。オーバーエイジを使うという話になれば、彼らはもっと成長スピードを高めないといけない。そういうことを考えたときに、最初から使わないと言い切れないし、U-23の選手に何かあるんだと考えたときに、そこに対しての補強はオーバーエイジというルールがあるということ。幅をもたすために、こういうことを進めてきました。協会にはそうやって動いてもらっているし、いろんな情報をとって、最後に縁がある人がここに組み込まれるだろうという話をしています。

霜田ND 現場、監督以下選手、スタッフ、そして日本のサッカーを応援して頂いている皆さんも「五輪で活躍してほしい」「メダルを取ってほしい」ということが一番だと思うので、僕らはいろいろな情報を取りながら、監督がほしいという選手をなるべくそろえられるような努力、やれることは何でもやりたいと思っています。同時に先日、ヨーロッパに行って五輪に対する世界の、ヨーロッパのクラブの肌感覚、常識みたいなところも感じてきました。今、4年前と確実に違って言えるのは、23歳という年代が世界の中では若手ではないということです。23歳以下で各ビッグクラブのレギュラーをとっている選手たちは、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグの予備選の方が、五輪よりも大事だという現実があります。実際にポルトガルやドイツの連盟の方と話をしても、23歳以下ですら、本当に呼べるかどうか分からないという現実があります。五輪の期間中にJリーグは止まりませんが、五輪に選手を出して頂ける。国を上げて五輪チームを応援してもらい、戦って来いと言ってもらえる。その中で選手もクラブも行って来いと言ってくれるようなオーバーエイジの選手が望ましいと思っていますし、海外組は選手がどうしても行きたい、五輪で力を貸したいと言っても、クラブがルールをはがしてでも、こちらに引っ張ってくることが可能かどうか。現場がトライしてほしいということであれば、それはトライします。リミットのギリギリまで現場と話をして、監督がどうしてもこの選手をオーバーエイジとして連れていきたい、それが海外のクラブであっても、一度交渉はしたいと思っています。ただ、理想と現実のギャップの中でチーム編成をしなければいけないのがアンダーカテゴリーの代表チームの宿命みたいなところがありますから、それも併せて皆さんにご理解頂いた中で、最善を尽くしたいと思っています。オーバーエイジに関しては、まだまだこれからいろいろな局面がでてくると思いますので、そっと見守って頂ければなと思います。

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