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[総体]全国で学んだプライド、気迫・・・中京大中京はリズム崩して刈谷に攻勢許すもPK戦で白星死守!:愛知決勝L

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[5.28 総体愛知県予選決勝リーグ第1節 刈谷高 1-1(PK3-5)中京大中京高 グリーングラウンド刈谷]

 平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)愛知県予選は28日、4校による決勝リーグの第1節を行い、刈谷高中京大中京高戦は1-1で突入したPK戦の末、昨年度選手権16強で、3年連続全国総体出場中の中京大中京が5-3で勝利。中京大中京はPK戦勝利による勝ち点2、敗れた刈谷は勝ち点1を獲得した。

 勝者・中京大中京にとっては決して納得の行く内容ではなかった。特に終盤は我慢の時間帯が続く展開となったが、それでも白星を離さなかった。1-1で突入したPK戦2人目。先攻の中京大中京は、GK渕上耀太(3年)が刈谷の最終ラインで奮闘を続けていたDF有我祐紀(3年)のシュートを左へ跳んでストップする。一方で中京大中京は1人目のMF梶原康平(3年)から5人目の右SB山本大修(3年)まで5人全員が正確なシュートを打ち込んで勝利を決めた。

 全国へ繋がる大きな白星となっただけに、勝利の瞬間は笑顔を弾かせた中京大中京イレブン。かつて名古屋MFとして活躍した“ミスターグランパス”岡山哲也監督は勝利したことの意味の大きさを認めながらも、「攻撃が噛み合っていない。簡単なミスを連発してしまっている。自滅ですね。高校生ですから状況判断のミスが多い。まだまだ思うようにいかないです」。指揮官は試合後、途中交代を強いられたエース10番FW加藤弘也(3年)や2年生FW本山遊大と1対1で会話し、より責任感あるプレーを求めていた。

 入りは良かった。前半4分、2連続となったCKから大型MF天川力駆(3年)が圧巻の打点のヘディングシュートを突き刺して先制。その後も梶原がサイドチェンジなどでボールを振り分け、また加藤やMF松岡亨弥(3年)がスピード感溢れるドリブルや本山らとのショートコンビネーションで局面を破ってくる。23分、36分にはFW杉浦弘明(3年)の右足シュートがゴールを襲うなど2点目のチャンスもつくったが、岡山監督は「(判断の悪いミスなどで)どんどん流れが悪くなった」。中京3トップのプレスをかいくぐってMF水野智大(2年)、MF岸颯太(2年)、MF岡野匠真(2年)の中盤3選手にボールを繋いでくる刈谷に徐々に主導権を握られてしまった。

 刈谷は抜群の動き出しを見せる10番FW田中亮輔(3年)が相手の脅威に。8分には相手のミスから左サイドを抜け出してポスト直撃の左足シュートを放った。そして31分にはMF北川宗一郎(3年)の好パスから右中間を抜け出した岸の折り返しに田中が飛び込む。だが、中京大中京はGK渕上がビッグセーブ。また中京大中京は背後を狙ってくる相手の攻撃に対し、CB竹内優斗主将(3年)や1年生CB鬼頭巧が身体を張ってブロックするなど得点を許さない。それでも攻撃について竹内主将は「終わり方が悪い。質をもっと上げなければいけない。(自分たちの技術、攻撃は)全国でも通用すると思うけれど、質をより突き詰めないといけない」と反省。カウンター含めていい形で2本、3本とパスが繋がっても、ミスが出てボールロストしていた部分の改善を誓っていた。

 1点を追う刈谷は後半25分、コンビネーションからPAへ侵入した田中がPKを獲得。これはGK渕上に止められてしまったが、それでも攻め続けると32分、左CK後の混戦からDF藪谷歩武(3年)が左足シュートをねじ込んで同点に追いついた。盛り上がる応援団や地元ファンの後押しを受けて一気に逆転を狙った刈谷だが、佐野朋生監督が「中京との試合は久々でどのくらいやれるかなと思っていましたけれど、意外とやれた。選手たちは前向きにやってくれたと思います。(だが)中京は身体的な強さ、そして最後のところでの粘り強さがありました」と振り返り、主将のDF美馬貴将(3年)も「気持ちの部分で相手も最後まで必死にやってきていた」と認めたように、最後の局面で執念を見せる中京大中京から勝ち越し点を奪うことができず。PK戦で屈して黒星スタートとなった。
 
 岡山監督が就任6年目の中京大中京は2年連続で選手権に出場し、全国でもベスト16入りするなど着実に全国上位を争うチームになってきている。今年は迫力の部分はやや欠けるものの、それでも技術に手応えを持っており、この日も素速いパスワークが随所で見られた。その中で主将の竹内が昨年度の選手権16強進出を経てより必要だと感じた部分はプライドと気迫。「(3回戦で敗れた)星稜からプライドを感じた。自分はベンチから見ていたんですけど、絶対に負けられないという気迫を感じたし、自分たちはまだ足りないと思います」。今年の目標は全国8強の壁を破り、さらに上へ行くこと。この日、相手とのわずかな差をつくった勝利への気迫、愛知では絶対に負けられないという思いをより高めてまずは全国切符獲得に集中する。

(取材・文 吉田太郎)
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