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ハリルの「躊躇」発言に大久保は…「名前が出るのはありがたいこと」

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[5.29 J1第1ステージ第14節 川崎F1-0磐田 等々力]

 タイムアップを告げるホイッスルが鳴り響くと、精も根も尽き果てたようにピッチに倒れ込んだ。後半43分のオウンゴールで競り勝った川崎フロンターレのFW大久保嘉人は「とにかくホッとした。(点が)入らないときは入らないし、今日はそういう日だった。引き分けだったらやばいなと思っていた」と、試合終了の瞬間の心境を語った。

 前半7分、MFエドゥアルド・ネットのスルーパスから相手GKと1対1になったが、左足のシュートはGKの好守に阻まれた。後半17分にはMF中村憲剛の左CKがファーサイドに抜けてきたところを角度のない位置から思い切りよく右足で狙ったが、惜しくも枠外。同30分、コンビネーションで磐田守備陣を完璧に崩し、最後はFW小林悠の折り返しに大久保が飛び込んだが、わずかに届かなかった。

 一方的に押し込みながら遠い1点。それでも後半43分、大久保のスルーパスから右サイドをオーバーラップしてきたDFエウシーニョがゴール前に折り返すと、これがオウンゴールを誘い、劇的な決勝点となった。暫定首位を守り、消化試合が2試合少ない浦和との勝ち点差は「4」に。試合前の時点で浦和が引き分けたという結果を知っていたという大久保は「自分たちは残り3試合全部勝つつもりで、浦和にプレッシャーをかけていきたい」と、残り3戦全勝で第1ステージ優勝を手繰り寄せるつもりだ。

 26日の日本代表メンバー発表会見で大久保を招集しない理由を問われたバヒド・ハリルホジッチ監督は「私は躊躇している。A代表に彼の動きが生きるのか、私の中でまだちょっとイメージがわかない」と説明。「彼をA代表に入れて、大久保にとってのチームをつくる、大久保にいろんなことを覚えてもらう。これは34歳、35歳では難しい」などと、自身の考えを表明した。

 このことについて聞かれた大久保は「話が出るのはありがたいことだし、自分はプラスに受け取っている。代表に入りたい気持ちもあるし、Jリーグで結果を出し続けないといけない。結果を出さないと、『大久保』の名前も出てこないわけだから」と、自分の代表招集問題が話題になること自体を前向きに捉えている。

 14年のブラジルW杯でも、代表から2年以上遠ざかっていながらサプライズ選出で2大会連続のW杯行きを決めた。結果を出し続けていれば、最後まで何が起こるか分からない。そのことを身をもって体験している33歳は「自分はそれを信じてやっている。それがなければ、ただJリーグをこなしているだけになる。だれもがそういうモチベーションを持ちながらやっていると思う」と、3大会連続のW杯出場を信じ、ピッチ上ので結果で自分の存在を示し続けるつもりだ。

 大久保をめぐってはリオデジャネイロ五輪に出場するU-23日本代表のオーバーエイジ候補としても一部報道で名前が挙がっているが、このことについても「話が来れば、選手としては断ることはできない。それだけの価値がある大会。話が来れば喜んで。話が来れば、ですけど」と、あくまで仮定の話として前向きな姿勢も示していた。

(取材・文 西山紘平)

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