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[総体]延長終了間際に笠原が劇的V弾!昨夏全国16強・草津東に走り勝った比叡山が初V王手!:滋賀

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[6.2 総体滋賀県予選準決勝 比叡山高 1-0(延長)草津東高 布引グリーンスタジアム]

 2日、平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)滋賀県予選準決勝が行われ、初優勝を狙う比叡山高が延長後半終了間際に交代出場のFW笠原廉(3年)が決めた決勝ゴールによって昨年度全国16強の草津東高に1-0で勝利。初優勝に王手を懸けた比叡山は4日の決勝で綾羽高と戦う。

「ウチは滋賀で一番走れるチーム。抜かれても付いて行く。何度でも追いかけていく。それがウチのチーム」。草津東にボールを保持される時間が長くなったが、比叡山は富山の強豪・高岡一高から赴任してきて3年目の林孝紀監督が説明したように、突破されても諦めずに食らいつき、ミスを誘って決定打を打たせない。そしてカウンターから何度も前へ出て逆にチャンスをつくり出した。

 前半、FW廣原匠(3年)、SB新田陸(3年)の右サイドからの攻撃に10番MF蒲生晃一(3年)や長身FW並松怜音(3年)が絡む形で決定機もつくった比叡山に対し、MF上畠成主将(3年)、MF辻中淳貴(3年)らが長短のパスを繋いでサイド攻撃を繰り出す草津東はMF葉賀洸(2年)の飛び出しや左SB増岡大地(3年)と右SB向井鋭斗(2年)の攻撃参加とクロス、シュートをアクセントに相手ゴールを脅かした。だが、小林茂樹監督が「ボールを動かすことができなかった。パスが繋がらなかった。メンタル的にまだ弱い子が多くて、浮足立ってしまう」という草津東は強風の影響もあって思うような攻撃ができず。攻め切る前にミスが出たり、消極的なプレーが出て、CB一ノ瀬豪(3年)やMF川崎理輝主将(3年)を中心に守る比叡山にボールを奪われてしまう。後半34分にはMF澤嵩明(3年)のスルーパスから10番MF坂田陸哉(3年)が中央へ折り返し、辻中がゴール前へ飛び込むが決めきれず。試合は0-0のまま延長戦へ突入した。

 学校に練習場を持たない比叡山が磨いてきたのは走り。C大阪と提携してフィジカル測定を行うというチームはスプリントの回数、走行距離を重視して技術力の高い滋賀県を勝ち抜くための武器にしてきた。学校周辺の山道で40分間の坂道ダッシュを行うなど徹底的に強化してきた走力。準決勝2日前にも30分間の走りを実施して大一番に備えて来た。その比叡山は林監督が「延長戦に入ればチャンスかなと思った」と振り返ったように、勝負の延長戦で走り勝つ。

 草津東は左サイドのスペースを活用してボールを動かすと、澤がドリブルで再三仕掛けてシュートも放ってきたが、比叡山は指揮官が賞賛する走力の持ち主である新田が体を寄せるなど自由に攻めさせない。それでも草津東は辻中の右足ミドルや左CKからCB松野康大(3年)が叩きつけたヘディングシュートなどでゴールをこじ開けようとしたが、リードを奪えなかった。逆に比叡山は交代出場の笠原の抜け出しやMF高間翔介(3年)のラストパスに並松が飛び込むなどチャンスをつくり出す。そして迎えた延長後半10分、比叡山は交代出場MF松崎佑哉(3年)が左中間のスペースへ飛び出してGKとの1対1から左足シュート。草津東はGK谷口大輝(2年)が好反応でストップしたが、こぼれ球に走りこんだ笠原がゴールへ押し込んで劇的な決勝点を奪った。

 殊勲の背番号18中心に大興奮の比叡山イレブン。笠原は決勝ゴールについて「信じられなかったし、決めることができて良かった。みんな良く走っていた。自分は途中交代で入ったので、最後まで走ろうと思っていた。いいところにこぼれたのでシュートを打つだけでした」。こぼれることも想定してゴール前まで走り切った“比叡山らしい”ゴールによって、比叡山が全国初出場へ前進した。

 主将の川崎は「トレーニングもほとんど走ってきた。ボールのトレーニングよりも走るトレーニングの方が多いくらい。結構きついですけど、みんなで勝つためには走らないといけないと、やっている。そこは僕達の武器なんで走り負けないで、勝てて良かったです」と笑顔。チームは勢いを弱めることなく、決勝でも走り続ける意気込みだ。川崎は「(準決勝を突破した)嬉しさもあるけれど、このまま優勝したい。疲労もあると思うけれど、比叡山らしく走って勝ちたい」と宣言した。

[写真]延長後半10分、比叡山は笠原が決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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