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4か月半前と同じ過ち…後悔の浅野「あの経験が生かされていない」

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[6.7 キリン杯決勝 日本1-2ボスニア・ヘルツェゴビナ 吹田S]

 FWとして一度悔やんだはずの過ちを繰り返してしまった。だからこそ、FW浅野拓磨(広島)は試合後、人目もはばからずに悔し涙を流した。

 場面は1-2とボスニア・ヘルツェゴビナに1点のリードを許して迎えた後半アディショナルタイム。MF清武弘嗣(ハノーファー)のパスに反応した浅野は、PA内に進入して決定機を迎えたものの、シュートではなくパスを選択する。しかし、このパスは相手DFにはね返され、こぼれ球に反応した清武のシュートも枠を外れてしまった。

「決定的なチャンスでパスを選択したことは、すごく後悔しています」。この場面で浅野の脳裏には、直前のプレーがよぎっていた。後半42分、MF小林祐希(磐田)の浮き球のパスから好機を迎えた浅野はシュートを選択するが、DFに防がれただけでなく、「(金崎)夢生くんが(ゴール前で)待っていた」のが見えていた。そのため、後半アディショナルタイムの場面では、「より確実な方を選んでしまった」とパスを選択していた。

 FWとしてピッチに立つ以上、浅野は常々「ゴールを取るのがFWの仕事。そこにはこだわりたい」と話している。しかし、大事な局面で自らの“こだわり”を捨ててパスを選択してしまったことに、「シュートで終わりたかったし、消極的な部分が出てしまった。あそこで自信を持ってシュートで終われないと」と悔しさを滲ませた。

 同じ言葉を浅野は、約4か月半前に口にしていた――。16年1月23日、U-23日本代表の一員として臨んでいた、リオデジャネイロ五輪アジア最終予選準々決勝イラン戦。試合終盤に右サイドでボールを受けた浅野はPA内までボールを運び、シュートチャンスを迎えたものの、選択したのはパス。しかも、そのパスはチームメイトに届くことはなく、決定機をフイにしてしまった。「一番後悔したシーン。ゴールにならなくてもシュートで終わっていればよかった」と深く後悔していた。

 そして、4か月半経って迎えたボスニア戦でも同じ後悔をしてしまう。「最終予選の時もパスを選択してゴールまで結び付かなかった場面があった。まったく同じミスをしていると自分でも思うし、あの経験が生かされていない。悔しいの一言です」。涙したストライカーは、2度味わった悔しさを成長につなげることができるだろうか。

(取材・文 折戸岳彦)

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