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40分間の映像付き個別ミーティング…槙野がSBを前向きに受け入れたのはなぜか

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[6.7 キリン杯決勝 日本1-2ボスニア・ヘルツェゴビナ 吹田S]

 DF槙野智章(浦和)が1-2の後半25分からDF長友佑都と交代でピッチに立ち、左サイドバックとしてプレーした。

「監督からは、対面の選手に1対1で負けないことと、攻撃を活性化させるようにと言われた。途中から入ったフレッシュな選手たちのコンビネーションで崩したいと思った。良いクロスも上げることができた」

 メンバー発表会見でバヒド・ハリルホジッチ監督が左サイドバックとして招集したと発言したことについて、「器用貧乏にはなりたくない」と複雑な表情を見せていた槙野。しかし、いざそのポジションに入ると、指揮官の要望どおり左足のクロスを上げるなど、がむしゃらな姿勢を見せた。

 アルベルト・ザッケローニ監督時代に左サイドバックで起用され、「どういう部分で勝負していけば良いのか」と悩んでいたときとは違い、しっかりと前向きに取り組もうとする意思が感じられた。それはなぜか。

 合宿初日の5月30日のことだった。指揮官から呼び出しを受けた槙野が指定された部屋に行くと、そこにはハリルホジッチ監督と12人ものスタッフがズラリとそろい、槙野を待っていた。

 槙野の課題に特化して編集された映像が始まると、その映像を見ながら指揮官は槙野に厳しい言葉の数々を浴びせた。約40分間の個別ミーティングで特に言われたのは、自分ではできていると思っていた1対1の寄せやデュエルがまだ不十分だということだった。

「違う選手だったらメンタル的にやられていたかもしれない」というほどの厳しい言葉を受け止めた槙野は「きっぱりと言ってくれたのは良かったと思うし、自分のためだけに映像をつくってくれたという労力はうれしかった。バヒド(ハリルホジッチ監督)の場合は、しっかりコンセプトを説明されているので分かっている」と力説。センターバックに加え、サイドバックとしてもポジション争いをしていく覚悟と決意を見せた。

(取材・文 矢内由美子)

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