beacon

[MOM1805]京都橘FW岩崎悠人(3年)_U-19代表が決勝で2G2A!魅力以外の部分でも見せた優れた資質

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.5 総体京都府予選決勝 京都橘高 4-2 洛北高 西京極]

 京都府代表を決める一戦で2ゴール2アシスト。京都橘高のエースを担うU-19日本代表FW岩崎悠人(3年)は全得点に絡む活躍でチームを全国へ導いた。

まず前半2分に1点目が生まれる。最終ラインのDF清水駿(3年)がゴール前へ送り込んだロングフィードを相手GKとの空中戦で競りあい、こぼれ球にいち早く反応して無人のゴールへ押し込んだ。洛北は準々決勝まで正GKを務めた選手が負傷離脱。準決勝からゴールマウスを任されたGKが「上手く試合に入れていなかった」(洛北・前田尚克監督)とはいえ、GKが伸ばした腕と同じ高さのヘッドでこぼれ球へ持ち込んだ跳躍力、着地と同時にシュートへ持ち込んだ反応はさすが。起点となったロングフィードは「早い時間帯だったので、(相手が前からプレスに来る中で)どちらかというとセーフティーに大きく蹴った」(清水)というものだったが、いいボールが来たと見るや、それを得点へと昇華させてみせた。この先制点により、チームは落ち着いて試合を優位に進めることができた。

 前半24分には追加点をアシスト。右サイドで獲得したFKのキッカーとして鋭いボールをゴール前に供給して、DF吉水太一(3年)のヘッドをお膳立て。プレースキックでも存在感を発揮した。さらに後半3分、相手の最終ラインの裏へ抜け出すと、DFを引き付けて中央を走るFW堤原翼(3年)へ優しいパスを送ってチームの3点目を演出。「信頼してパスを出した」(岩崎)、「あいつが出してくれるのはわかっていた」(堤原)という2トップの絆がゴールに結びついた。

 そして後半26分には自身2点目のゴールで試合を決めた。左サイドのFKをヘッドで合わせたのだが、この得点には布石があった。その少し前のセットプレーで、それまでキッカーを担当していた岩崎が流れの中でゴール前へ回った際、相手のマークがはっきりしなかったという。「だから、あのFKでもキッカーは味方に任せてゴール前に行きました」。結果は相手のルーズなマークを振り切って、ヘッドでダメ押し弾。相手の隙を見逃さない、したたかさの光ったゴールだった。敵陣を切り裂くドリブルや決定力を兼ね備えるシュートが彼の魅力であることに間違いはないが、それ以外の様々な部分でも優れた資質を持っていることを証明してみせた決勝戦での活躍といえる。

 さらに、今年の彼はキャプテンという責務も担っている。FWとしてゴールにこだわる姿勢は不変だが、その背景には変化があるという。「去年はけっこう『自分が決めれたらいい』という思いが心のどこかにあったんですが、今年はチームが勝つために可能性のあるプレーをしようとしています」。その上で「自分が活躍すればチームも勝てるはず」という強い意思でピッチに立っている。また、試合前には選手で集まって様々な話をするという。この試合、後半に1点差に追い詰められてから京都橘は守勢に回ってカウンターも繰り出せない苦しい時間帯が続いた。今大会は決勝まで無失点で勝ち進んだ中での失点に動揺が生まれても不思議ではなかったが「洛北もいいチームで勢いがあるのはわかっていた。それに飲み込まれずにやろう、というイメージの共有はできていました。そこは声を出して、まとめられたんじゃないかと思います」と試合前から様々なシチュエーションを想定した心構えがあったことを明かしている。チームの勝利のために、という思いはこうした部分でも発揮されているのだ。

 試合後、スタンドの前へ挨拶に来た際は「皆さんのおかげでスタートラインに立つことができました。まず全国で1勝を目指してがんばります!」と力強く叫んだ。京都橘は過去に二度、高校総体に出場しているが、まだ勝利がない。2007年は桐生一高、2014年は前橋育英高と共に群馬県勢に初戦で敗れている。「インターハイで1勝することが今年の目標なんです」(岩崎)。その目標をクリアし、さらに先へと進む為に、岩崎は仲間たちと共に進化し続ける。

(取材・文 雨堤俊祐)
▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2016

TOP