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[U-16インターナショナルドリームカップ]U-16日本代表はメキシコを6発圧倒も視線はその先、「世界基準」でレベルアップ誓う

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[6.26 U-16インターナショナルドリームカップ第3節 U-16日本代表 6-0 U-16メキシコ代表 鳥取市営]

 U-16日本代表は26日、「U-16インターナショナルドリームカップ2016 JAPAN Presented by JFA」最終節でU-16メキシコ代表と対戦し、6-0で快勝した。昨年に続く連覇を狙った日本は2勝1敗で2位。3戦全勝のU-16マリ代表が優勝した。

 日本は過去2試合の4-4-2システムから3-4-2-1へチェンジ。先発GKは青木心(JFAアカデミー福島U18)。監物拓歩(清水ユース)が軽い捻挫で欠場した最終ラインは平川怜(FC東京U-18)を中央に右DF菅原由勢(名古屋U18)、左DF喜田陽(C大阪U-18)の3バック。中盤は福岡慎平(京都U-18)と松本凪生(C大阪U-15)がダブルボランチとしてコンビを組み、右MF桂陸人(広島ユース)、左MF成瀬竣平(名古屋U18))。2シャドーに久保建英(FC東京U-18)と中村敬斗(三菱養和SCユース)が入り、1トップは棚橋尭士(横浜FMユース)が務めた。

 日本は立ち上がりからU-15世代で今大会に出場しているメキシコを圧倒する。4バックに比べて個々の距離感が近くなったことでよりパスワークが活きた日本はポゼッションで押し込むと、ボランチの位置から飛び出す福岡やスペースを突く棚橋の動きもアクセントに連続攻撃。13分には久保の左足シュートのこぼれを拾った棚橋がGKをかわして左足で先制点をねじ込む。

 その後も久保がインターセプトから左足シュートを撃ちこむなど攻める日本は17分、菅原の右クロスに飛び込んだ福岡が頭で決めて2-0とする。スルーパス、セットプレーからシュートを連発する日本に対し、メキシコも28分にカウンターからビッグチャンス。だが、喜田と青木がコースを消して得点を許さない。逆に日本は35分、久保がドリブルでDFのマークを外して中央突破。PA手前で止められたが、フォローしていた中村が右足で押し込んで3-0で前半を折り返した。
  
 日本は後半開始からGKを谷晃生(G大阪ユース)へ、またFWに宮代大聖(川崎F U-18)を投入する。後半も棚橋がクロスバー直撃の右足ミドルを撃ちこむなど攻める日本は17分、久保の右CKをファーサイドの菅原が頭で折り返し、最後は平川が頭で決めた。また上月壮一郎(京都U-18)を右MF、西尾隆矢(C大阪U-15)を3バックの中央に加えた後の23分、平川、久保と繋ぐと、最後は宮代のスルーパスを棚橋が決めて5点目。そして25分に菊地健太(JFAアカデミー福島U18)を左MFに送り出した後の31分には右サイドから斜めに切れ込んだ上月のラストパスから宮代がゴールへねじ込んだ。36分に左MFに桑原海人(福岡U-18)を投入。後半は特に前線の選手が「自分が、自分が」となり過ぎた部分もあって、リズムを崩していた部分もあったが、それでも日本はメキシコを寄せ付けず、シュート数28-3で快勝した。

 日本は24日のマリ戦を1-2で逆転負け。15年U-17W杯2位の強国相手にスコアこそ1点差だったが、失点シーンは中央を完全に破られての2ゴールで、また球際の攻防で劣勢となり、縦パスを何本も引っ掛けられての完敗だった。マリのヨナスコク・コムラ監督が日本の課題として指摘したのは「デュエル」。球際、コンタクトの部分だ。もちろん、フィジカル面の差があるのは確か。だがコムラ監督が口にしたのはサッカー選手になるために命をかけているマリと日本とのハートの差。「(代表選手を選出する上で)僕らのプライオリティはまずハートです。いかに代表のユニフォームのために汗をかけるか」。代表への思いも特別。だからこそ、日本との一点差勝負を制した時にマリはベンチのスタッフ、選手が一斉にピッチへ飛び出して喜びを爆発させた。
 
 福岡は「向こうはどんどん球際も激しく来ていましたし、日本に負けたくないというのは伝わってきていた。勝った時に全員がベンチから出てきた時はそれだけ日本に勝ちたかったんだなと思いました」。もちろん気持ちだけで全てが変わるわけではないが、相手のレベルが上がる中で僅差の勝負を制するためには間違いなく必要な部分。今回のような世界トップクラスの相手との一戦で負けて、相手に「ハート」の部分を指摘されるようなことがあってはならないだろう。チームを鼓舞するような闘争心の部分、加えて森山佳郎監督はサッカーIQが高く、観察力のある選手が増えることを求める。マリ戦では少なくない数の選手たちが相手の迫力ある守りで劣勢となった時にパニックになってしまった。「なりふり構わず吠え立てる奴もほしいし、ピッチの中で解決できるようにもなってほしい。(そして)あの相手に守るとか攻撃の武器を出すというところを忘れずに自分をプロデュースして代表に戻って来てほしい」。

 17年U-17W杯への出場権を懸けたAFC U-16選手権インド2016まであと3か月弱。最終戦でメキシコに快勝したことを喜んでいる暇はない。福岡は「この経験を絶対に無駄にしてはいけない。世界基準でやっていかないといけない。(アジア最終予選まで)3か月しかないのでチームに戻って今回のことを振り返って意識してやっていけたらいい」。アジア突破、優勝、そして世界でのマリへのリベンジ、そして躍進を目指す00年生まれ以降のU-16日本代表はレベルアップを誓って所属チームに戻っていった。

[写真]後半31分、日本は宮代が6点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)

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