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新たな“スピード”を得た鹿島MFカイオ、プロを目指す高校生に伝えたいこと

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 抜群のスピードを武器に相手陣内を切り裂く鹿島アントラーズのMFカイオ(22)が6月某日、茨城県の強豪・鹿島高のトレーニングに“サプライズ参戦”した。スピードに特化したトレーニングでプロとしての違いを示すカイオに高校生は羨望の眼差しを送り、同時に刺激も受けていた。

 サンパウロの下部組織出身で、2011年に来日したカイオは千葉国際高で3年間プレー。14年に鹿島に入団すると、第3節の鳥栖戦に途中出場し、Jリーグデビューを果たした。ルーキーイヤーでリーグ戦30試合出場8得点を記録し、Jリーグベストヤングプレイヤー賞にも輝いた。昨季も32試合出場10得点と、鹿島の中心選手として活躍し続けるカイオ。高校生と一緒にトレーニングに励むその姿から、サッカーに対する考え方、メンタルも垣間見えた。

――最後は3チームに分かれてのミニゲームもありましたが、高校生と一緒にトレーニングをしてみて、いかがでしたか?
「非常に楽しかったです。一瞬、自分の高校時代がフラッシュバックしました。スピードタイプの選手だったり、パワータイプの選手だったり、能力の高い選手もいました。ただ、ミニゲームでは僕が入ったチームより、他のチームの方が強かったね(笑)。自分の高校時代より、今の高校生のほうがレベルは向上しているように思いました」

――高校生のときに100mを11秒で走っていたカイオ選手はスピードに自信を持っていると思いますが、日々のトレーニングで意識していることはありますか?
「特別にやっていることはありません。監督の要求に応えているだけです。僕は練習を本気でやっているので、そういった部分で練習の成果が自然に出ているのかなと思います。だから、自分で意識してやっているということは特にありません」

――トレーニング後のアドバイスで、『マネをすることが大事』とおっしゃっていました。
「プロサッカー選手となると、相手のいろいろな部分を見ないといけません。攻撃の部分だったり、守備の部分だったり、ドリブルだったり、フェイントだったり、シュートの打ち方だったり、いろいろありますが、僕は攻撃的な選手なので、攻撃の部分に重点を置いて見ています。だけど、マネをしたとしても、全部を使うわけではありません。引き出しを多く持っておけば、いろいろな状況に対応することができますし、瞬時の閃きで出るプレーもあります。例えば、ネイマール選手のプレーを映像で見ていたら、ピッチ上のDFの位置や相手との間合いによって、『この前、見た映像と同じ状況だ』と瞬間的に判断して、同じようなプレーが出ることもあります」

――『サッカー選手はみんな頭がいい』ともおっしゃっていました。具体的にどういうことでしょうか?
「今、プロでやっている選手は全員、頭がいいと僕は思っています。プロになるまでより、プロで居続けること、トップで居続けることのほうが難しいと思っています。頭を使っていろいろな方法で生き抜いていくことが重要です。プロというのは、高校時代より競争が何倍も激しくなります。そこでどうやって生き抜くのか。その中で生き抜いていける選手は頭がいい選手だと思います」

――高校生もスタメンの座をかけて競争しています。彼らが頭のいい選手になるためにはどうすればいいでしょうか?
「僕が高校からアントラーズに入ったとき、レベルの差は歴然でした。そこで『無理だ』という気持ちになってしまえば、何も手にすることはできなかったと思います。『ここで努力をしなければならない』と思えたからこそ、やっと今、レギュラーでプレーすることができるようになりましたし、チームの勝利に貢献するようなプレーができるようになったと思っています。

 日々の練習は嘘をつかないので、そういう努力を怠ってはいけません。日々、隣にいる人との競争で、隣の人の努力を上回らないといけません。それができてこそ、11人の先発メンバーに入ることもできます。だけど、11人だけが頑張ればいいというわけではありません。ベンチメンバーになったり、ベンチから外れたりしたときに、日々の練習をダラダラとこなすだけになっていたら、仮に試合で使われる機会が訪れたとしても、本来のパフォーマンスは発揮できないと思います。そうなれば信頼を失い、試合で使われない状況が続くでしょう。

 要はベンチ外、ベンチメンバーになったときこそ、『チャンスをもらった』と思えるかどうかです。そういうときは自分を強化するチャンスであり、『もう試合に出れない』という気持ちでやっていたら、自分が自分自身に一番嘘をついていることになります。11人の枠に入ろうとする強い意志と気持ちを持ち、努力を続けることが重要だと思います。自分自身に正直に本気で取り組めば、必ずその努力の成果が表れると信じて取り組んでほしいですね」

――カイオ選手がトップで居続けること、生き抜くための“相棒”となるマーキュリアルの新作『スーパーフライ V』を履いた印象はいかがですか?
「本当にカラフルで、カラーリング、デザインも気に入っています。履いてみると、フィット感があって、他のスパイクよりもしっかりとしたグリップ感があります。スピードもさらに出せそうな雰囲気がありますね」

――フィット感はサッカー選手にとってどれくらい重要ですか?
「フィット感はプレーに大きく影響してきます。(スパイクが)大きかったり、小さかったりすると走るのも難しくなります。普段の靴ではちょっと大きめのサイズを履いたりすることもあるかもしれませんが、スパイクや運動靴はフィット感が重要です。走るだけでなく、ポールタッチの感覚も変わってくるので非常に大事だと思っています」

――スパイクに求めるものや、こだわりはありますか?
「正直、僕はスパイクにこだわりはないですね(笑)。ナイキのスパイクはいつも素晴らしいので、毎回、感激しています。このスパイクは、履くより飾ったほうがいいのではないかと思うぐらい、本当に素晴らしい性能を持っています。だけど、いくらスパイクが良いものでも、選手自身が走る、努力する、諦めないという部分を常に持っておかないといけません。それをしっかり持った上で、スパイクに対してもプライドを持ってプレーすることが大事だと思います」

――新しい『マーキュリアル スーパーフライ V』とともに、残りのシーズンをどう過ごしたいですか?
「当然ながら、得点、勝利につなげないといけません。新しいパートナーを手にして、ゴールを量産できるようになればいいなと思います。数多くのゴールを決めてサポーターを喜ばせることができれば、僕もうれしいです。その先にあるタイトルを一つでも多く手にできればと思っています」

――最後にプロを目指す高校生にメッセージをお願いします。
「日々の練習を怠ってはいけないと伝えたいですね。高校生のときは、シュート練習でキーパーやゴールがない状況で練習することもあると思います。いろいろな練習を先生が考えてやっていると思うので、一つひとつの練習で手を抜かずに、自分で自分をごまかさないということを心がけてほしいです。もちろん、毎日の継続が難しいことは僕も分かっています。ただ、それを1日でも長く持続できれば、必ず自分の身になり、パフォーマンスにもつながり、プロの道へとつながっていきます。日々の練習を怠ってはいけないということは彼らには分かってほしいですね」

(取材・文 清水祐一)

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