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「リアルなスペインの指導を興國で」“浪速のバルサ”がスペインのプロ指導者集団と提携

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 スペインのプロ指導者集団「サッカーサービスバルセロナS.L.社」と近年、Jリーガーを立て続けに輩出し、また選手権予選決勝へ進出するなど“浪速のバルサ”として注目を集める興國高がパートナーシップを結ぶことが6月に発表された。

 今回のパートナーシップ提携は、フランスの名門パリ・サンジェルマンも全面導入したサッカーサービス独自の賢い選手を育てる「エコノメソッド」を通じて、興國高サッカー部の活動をサポートするというもの。初年度の今年は、過去にFCバルセロナの下部組織の監督を務め、現在はパリSGの育成部長を務めるカルラス・ロマゴサ氏が代表を務めるサッカーサービス社のスペイン人スタッフが年に数回のトレーニングを行う予定だが、徐々に月1回、週1回と指導頻度を上げていく。また、トレーニング指導だけでなく、将来的には興國高のスタッフとして活動してもらう計画もあるという。

 大阪にいながら、世界的な育成スタッフの指導を日常的に受けられる今回の提携に至ったのは、興國が2010年から年に1度行ってきたスペイン遠征がきっかけだ。現地で受けるエコノメソッドを利用したトレーニングが、内野智章監督自身が分析してトレーニングしていた内容とベクトルが一致していたことを肌で知り、そこから毎年、スペイン遠征に行き、サッカーサービスに練習を見てもらううちに「普段、興國で学んだサッカーが整理される」(内野監督)メリットを感じたという。

 また、「どれだけ馬鹿にされても良いから、世界を意識してトレーニングをしていきたい。日本人が一人でも多く、ヨーロッパで活躍できる環境を作りたい」という内野監督の想いも今回の提携の裏に秘められている。内野監督は「日本のサッカー界では、『世界を目指す前に、まずは日本でしょ』と冷ややかな目で見られてしまうけど、水泳や柔道などでは中学生の頃から『オリンピックに出て金メダルを獲りたい』と口にして、必死にトレーニングをしている。プロを目指すのは一部の選手だけ、世界で戦うのはスーパーな選手だけなんて言い続けていてはいつまで経っても世界に追いつけない。そのためには、リアルなスペインの指導を興國で経験して欲しい。同じトレーニングメニューでも世界の考え方は、こうも違うんだということを知って欲しい」と提携の狙いを説明する。

 近年、18歳未満の国際移籍を原則禁止するFIFAの移籍条項19条が厳格に適用されるようになり、若くして海外に飛び出すことが難しくなった。ヨーロッパのビッグクラブは対策として日本、中国などアジア各国に設立した現地法人にチームスタッフを送り込み、自分たちのフィロソフィーを叩き込むことで、18歳以上となった際に自らのチームに呼び寄せても、すぐに適合できる選手育成を進めている。今回の提携はそうしたヨーロッパの流れ同様に日本にいながら、世界を知れるメリットがある他、高校生のうちから、サッカーサービス社のメソッドに沿ったトレーニングを学ぶことで、どの国やチームでも活躍できる“サッカーの本質”を学べる効果もある。

 今後、興國ではトレーニングを通じて選手育成を行い、スペインだけでなく、サッカーサービスとの関係が深いパリSGなどフランスのチームやドイツ、オランダなどヨーロッパ各国に選手を“輸出”する拠点として役割を目指していく。すでに、2年生エースのFW大垣勇樹がスペインの強豪クラブのアカデミーから高く評価されるなど、興國ブランドの評価はヨーロッパで高まり始めている。内野監督が「フットボールをやりたいという選手たちに、日本にいながらサッカーの本質を学んでもらいたい」と話す今回の提携によって、更に育成力が増すか注目だ。
以下、1DAYクリニック開催について

興國高は16年8月17日、サッカーサービスコーチ監修の元、将来興國高校サッカー部への進学を目指すジュニアユースカテゴリー選手に向けて、1DAYクリニックを行います。

以下、同校発表の詳細
興國高校xサッカーサービス社プレゼンツ、ジュニアユース1DAYクリニック
■日時
2016年8月17日(水)09:00-11:00 15:00-17:00
■場所
J-GREEN堺
■対象
興國高校への進学に興味のある中学生
■費用
無料
■定員
合計40名(1人90分セッションのみ)

[写真]スペイン強豪クラブから注目されているという興國FW大垣

(取材・文 森田将義)

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