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リオ五輪代表メンバー発表、手倉森監督会見要旨

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 リオデジャネイロ五輪代表の手倉森誠監督は1日、都内で記者会見を行い、リオ五輪代表メンバー18人を発表した。

以下、手倉森監督会見要旨

手倉森誠監督
「いよいよ五輪メンバー、悩みに悩み抜いて決定することができました。U-23日本代表は今日からサッカー日本五輪チームに変わります。これまで僕とともに戦ってきてくれたU-23世代の選手たち、その役割もここで分かれます。「託す側」と「託される側」。「託す側」に回った選手たちには常々メッセージとして言っている、日本の将来、日本サッカーの発展に関わり続ける選手になれと。今日の発表を持って、役割が「託す側」になったとしても、それを切らさずにやってほしい。もちろん、外れたときには悔しさもある。その悔しさを糧に日本サッカー発展のために努力をし続けろということをメッセージとして伝えたい。「託される側」は喜んでいる場合じゃないと。本当に仲間の思い、そして国民の思い、日本サッカーの将来の可能性を伸ばすための、責任と覚悟を持って五輪に臨んでほしいなと思います。こうして切符を取れて、五輪に出れて、メンバーを選考するにあたって、協力してくれたJのクラブに本当に感謝したと思いますし、本当にいろんな人の支えによって、今日こうして記者会見できることを感謝しています」

メンバー発表
▽GK
櫛引政敏(鹿島)
中村航輔(柏)
▽DF
藤春廣輝(G大阪)OA
塩谷司(広島)OA
亀川諒史(福岡)
室屋成(FC東京)
岩波拓也(神戸)
植田直通(鹿島)
▽MF
大島僚太(川崎F)
遠藤航(浦和)
原川力(川崎F)
矢島慎也(岡山)
中島翔哉(FC東京)
南野拓実(ザルツブルク)
井手口陽介(G大阪)
▽FW
興梠慎三(浦和)OA
久保裕也(ヤングボーイズ)
浅野拓磨(広島)

「この18人で集中開催であるリオの大会でU-23世代でもチームとして発揮されたまとまり、それをまたこの18人でうまく発揮できるだろうという、調和の取れたメンバーになったと思います。ここにオーバーエイジを3人加えましたけど、本当にこのチャンスをロシアにつなげられるメンバーということで期待していますし、戦術に関しても柔軟性と割り切りとなったときの柔軟性、そこを十二分に発揮できるメンバー構成だなと。そしてプラス世界の舞台で示さなければいけないメリハリという部分も、うまくコントロールできるようなメンバー構成にしたつもりでいます。この間の南アフリカのゲーム、最初に辛抱させられてから、相手の強みをしっかり受け止めた中で弱みを探りながら隙を突いていく。そして、ゲームを読みながら勝利をもぎ取るというようなスタイルが、私は今の日本代表のスタイルかなと思っています。そういったゲームをコントロールしながら、読みながら、相手の心理も汲みながら、小さな隙を大きな穴にしていく。そういったところを突けるような試合をぜひ本大会でしてきたいと思っています」

バックアップメンバー発表
GK杉本大地(徳島)
DF中谷進之介(柏)
MF野津田岳人(新潟)
FW鈴木武蔵(新潟)

「4人に関しては、バックアップに回るけれどもという話を昨日直接電話で伝えました。僕自身、この発表を持って、彼らに分かってもらうことは不本意だなと。自分の口から彼らの役割を伝え、この役割に回ったときの彼らの気持ちを直接知りたかった。4人とも快くバックアップでも行きたいと。チームにアクシデントがあったとき、力になれればと快く皆快諾してくれました。そこにまた僕自身も勇気付けられたし、彼らのようなメンタリティーが、また選ばれた18人をよりたくましくしてくれるだろうなと思っています。もちろん、バックアップに選ばれていないメンバーも同じ思いだと思います。縁があれば彼らもピッチに立つことがあるでしょうという話をした。本来、国際大会の23人ならば間違いなくメンバーに入る選手たちだなと。でも今回は18人。そんなときの役割を彼らは十分に認識してくれると思っています」

「トレーニングパートナーはU-19の選手から4人つれていきます。杉本はバックアップでありながら、ここから参加していきます。これは、アジア最終予選を勝ち抜いた後、18人での五輪の準備期間を考えたとき、なくてはならないパートナーを田嶋会長からすかさず「若い選手を連れていったらどうだ」と提案がありまして、そこに甘えさせてもらった形にもなります。リオの五輪の後、東京五輪ということを考えれば、ここでこの五輪チームに絡ませることは非常に重要なことだと思うし、今アメリカでU-19は最終予選に向けて準備をしていますけど、また最終予選に向けて万全な態勢ということにもつながればいいと思うし、東京五輪につなげてもらいたい」

トレーニングパートナー発表
GK杉本大地(徳島)
DF小島雅也(仙台)
MF渡辺皓太(東京Vユース)
MF冨安健洋(福岡)
FW小川航基(磐田)

――最終的にメンバーを決めたのはいつ。最後まで悩んだところは。
「メンバーを確実に決定したのは「よし、寝る」と思ったときです(笑)。昨日の深夜、自分の中で決めて寝ました。選ぶのが難しかったのは、南アフリカ戦でのそれぞれのパフォーマンスを見せ付けられたとき、ここから絞らないといけないのかという思いに駆られて、すべての選手に対して思い悩みました。その中でも高いパフォーマンスを見せてくれた中谷、プラスここに来なかった岩波の回復状況ということで、こればかりは予測での計算しかない。そこを決断するにあたって、自分としては慎重だったし、大きな決断だったなと思います」

――オーバーエイジの選考で構想していた状況とは違う選考になったと思う。オーバーエイジの選び方について、東京五輪に向けて提言があれば教えてください。
「東京五輪の選考への提言としては、今はリオのことしか考えていない(笑)。すいません」

――ボランチ4枚、サイドハーフは3枚の構成。ここは迷わなかったのか。どういう狙いか。最終予選から鈴木武蔵選手、オナイウ阿道選手を選ばなかったことで高さがなくなるが。
「アジア最終予選までは、メンバー構成に対しては、そのような考えが自分の軸みたいなところだった。中央の枚数を増やして両サイドの枚数を減らして。高さも十分ではなさそうだと、皆さんもお分かりだと思います。だけど、自分は五輪に挑む時のイメージをして、高さだけ準備して、高さだけ用意することも、少し是正しないといけないなと。日本の強みは恐らく速さだなと。そこを十分に考慮してメンバー構成を作ってみようと。この大会に挑もうとしたときに、攻撃的に果たしてやれるのか。僕は必ず押し込まれて守らなければいけない状況が続く大会になるだろうなと、6割方思っていて、そうなったときに相手を打ち負かそうと思ったときの守備、SB、CB、ボランチと、そこを厚くするためにボランチを4枚にしました。ボランチの中に遠藤という後ろをどこでもやれる選手がいる。そして、塩谷はサイドもできる。複数のポジションをこなせる選手を後ろに置いたときに、後ろを万全にしておきたかった。前の選手たちは逆に言えば、少数精鋭かもしれない。だけれども、チャンスも少数かもしれない。そこを突けるような選手たちをそろえたつもりです。そんな戦い方をイメージしたメンバー、ポジション構成を考えました」

――最終予選はターンオーバーで乗り切ったが、今回もその考えは。
「全部が全部、代えられないですよね。だけど戦いながら、全員で戦い抜くという覚悟がなければいけないときに、本当に早川(直樹)コンディショニングコーチと選手のコンディションを見極めて、しっかりと体力の分散をしながら、皆で戦い抜きたいと思う。間違いなく全員ピッチに立ちます。そういう考えはこの大会にもあります」

――背番号が発表されていないが。
「今、背番号も話題になっていましたからね、南アフリカ戦で。ここで背番号まで発表したら、次のネタが皆さんなくなるんじゃないかなと(笑)。今日は背番号を伏せておきました。後日発表します」

――オーバーエイジが軸となるのか、それとも固定せずに競争していくのか。
「本当にコンディションを見極めないといけないなと思っています。このオーバーエイジの選手たちはもちろん、23歳以下の選手たちもJリーグで試合を重ねた先にリオに乗り込む。そのときのコンディションによりますね。もちろんオーバーエイジを採用して、彼らに来てもらったわけですから、彼らの軸という意識、責任感というのは十分に感じてもらわないといけない。ただ、やっぱりコンディションありきなので、そこをしっかりチームスタッフと話して、選手とコミュニケーションを取りながら。彼らが出続けるというよりも、チームが勝つことが重要だということをね、皆で理解しながらね、やっていければなと思います」

――メンバーに入らなかった選手は激しいサバイバルを戦った経験がどう生きると考えるか。
「今までただ呼んで、ただ評価して、選手たちを出し入れしたわけではない。手倉森ジャパンはものすごくコミュニケーションをとってきました。本当に自チームでもメンバーに絡まなかった選手たちが、今こうやって本大会を前にして、試合に絡めるようになってきている。選ばれなかった選手たちも、すでに試合に出ている選手たちもいます。それは本当にこのチームを結成してから、この世代が日本のサッカーの発展に関わらないといけないというものを、本当に意識してやってくれているからだと思っています。彼らはその思いを絶対に切らすことはない。逆に集まったときの彼らのまとまりというのは、「あいつが頑張っているなら俺もやらなきゃ」と絶対にそう思ってくれる世代でもあるなと思っていますから、今回選ばれた選手たちは将来に対してすべてではないと。外れた中にも、その可能性はたくさんあるということに対して、「託す側」になった人は間違いなく悔しさを糧にしなければいけない。そうなってくれることを期待します」

――対戦相手の特長を考えたメンバー選考なのか。
「もちろん、対戦国を見据えてのメンバー選考にもなりましたし、対戦国の環境も見据えたメンバー選考になった。ナイジェリアだからこのメンバー、コロンビアだからこのメンバー、スウェーデンだからということに対して、どこにでも対応し得るメンバー構成じゃないかなと。トータルで考えて決めました。これは事前にマナウスに行ってこれたのは大きかったなと思います」

――主将は遠藤航選手のままか。
「キャプテンは遠藤のままでいきます。遠藤(航)のままでリオへ渡ります(笑)」

――岩波拓也選手のコンディションはどのように認識している。
「毎週、協会スタッフと情報をとりながえら、実際に足を運んで彼のトレーニングをしっかり見て、僕自身も映像を常に見せさてもらっている。思ったよりも回復が早くて、彼は来週から完全合流する。9日の試合には間に合う状況という情報がきています。このチームに絡み続けてきた彼は、間違いなくコンディションをそこに持ってこれるだろうと俺の中で確信しました。南アフリカ戦のときに、サポーター席を見て日の丸に『岩波』と書いてあったのが、やけに目立った(笑)。以上です」

――大会の具体的な目標は。
「(会見前に流れた)映像で目標は(一次予選から)15連勝してメダルを取るという映像だったと思います。一次予選の3連勝と最終予選の6連勝で、今は9つ積み重ねていますが、あと6つ勝てば15、そうなれば金メダルだと。最低でもメダル取りたいと考えたときに、金メダルを目指さなければ、“どう”にも引っかからない。‟どう”にもこうにもならない(笑)。だからこそ、一番上のメダルを目指してやりたいなと思います」

――オーバーエイジを除けば、ほぼ予選を戦ってきたメンバー。これまでのまとまりを重視したのか。
「まるで昨日のミーティングを盗み聞きしたような質問ですね(笑)。本当にいろんなことを考えました。新しいメンバーもね、実際トゥーロンでも試して、清水のキャンプにも呼んで。可能性を探り続けて、その中で選手たちの評価をスタッフとしてきたときに、そういう話もやっぱり出ました。「結局、最終予選のメンバーだよね」というのは、話している内に最後に、後から気付いた話でした。いいところに気付きました(笑)」

――韓国代表はOA海外3人、ブラジルは37歳のGKが入った。日本は世界の修羅場をくぐっている選手がほとんどいない。どうやって経験のない選手にムチを入れるか。
「修羅場を日本の国として、そう簡単にくぐれるのかというね。だからこそ、修羅場を与えなければいけない選手はまだまだたくさんいると思っています。僕は日本のサッカーのこれからの勝負はロシアW杯だろうなと。そこに対して、若い世代と可能性を持ってほしい3人。ぜひ、リオ五輪を修羅場にしてほしいという考えで、このメンバー構成にしました。僕は修羅場を経験していないとは、このメンバーを見て一切考えていなくて、ぜひ修羅場を通らせたいなという思いも強かった。この大会を経験したメンバーは間違いなくロシアにその修羅場を運んでくれるのかなと思います」

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