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本田が語るメンタルコントロールの秘訣「自分に言い聞かせている言葉がある」

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 ミランの日本代表MF本田圭佑が5日、「デジタルガレージ ファーストペンギンアワード」の授賞式に出席し、初代受賞者として表彰を受けた。

 トロフィーのほか、副賞として賞金5000万円、四代徳田八十吉の水差しが授与された。「本当に光栄です。その一言に尽きます」と受賞の喜びを語った本田。「最初に聞いたときはビックリした。自分は自分のやりたいことをやってきただけ。その結果、こういう賞をいただけたことに感謝したい」と述べた。

「ファーストペンギン」とは、群れの中から一番最初に海に飛び込む勇気を持ったペンギンのことを指し、常に時代の最先端を進むデジタルガレージがファーストペンギンスピリットの体現者を表彰する「ファーストペンギンアワード」を設立。その初代受賞者として、全国各地でサッカースクールを開校し、オーストリア2部に昇格したSVホルンの実質的なオーナーも務める本田が選出された。

 リスクを負って挑戦することの意義について、「人がやらないこと、まだ人が到達してないところに飛び込むことが楽しい」と、その原動力を語り、「面白いことをやりたいというのが発想にある。人を喜ばせたいと思ったとき、人がやったことはやりたくないし、人がやってないことじゃないと嫌だというのがある」と持論を展開した。

 日本人離れしたメンタルを持つ本田だが、意識改革に成功したのはいつなのか。「オランダに行ったときは、ゴールを追い求めるようなタイプではなかったし、パスしか美学になかった。ただ、北京五輪で惨敗して、オランダの2部でプレーすることになって、逃げ道がないという精神状態に追い込まれたとき、自分が変わるしかなかった。そのときが、とにかく攻めようと思ったタイミングだった」と、08年夏が一つの転機だったようだ。

 08年1月、名古屋から当時オランダ1部のVVVに移籍したが、チームは2部に降格。08年夏の北京五輪は3戦全敗に終わり、08-09シーズンはオランダ2部でプレーすることになった。しかし、そこでチームの中心選手として大活躍。リーグ戦36試合の出場で16ゴール13アシストを記録し、チームを2部優勝&1部復帰に導くと、自身は年間最優秀選手(MVP)に選ばれた。

 プレッシャーとの向き合い方についても語った。「プレッシャーで不安になるとき、自分に言い聞かせている言葉がある」と打ち明け、「このプレッシャーは今、日本で自分だけが感じられているんだと。そうやってポジティブに言い聞かせることで前向きになり、もっとそのプレッシャーを味わってやろうと思える」と、どんな場面でも動じないメンタルコントロールの秘訣を明かした。

 最もプレッシャーを感じたときはいつかという質問に「ミランというビッグクラブでプレーしていて、7位とか8位で終わると、とてつもないブーイングを浴びせられる。そういうプレッシャーも感じている」と応じた本田だが、先月のアメリカでの体験が今年に入って最も緊張した瞬間だったという。

 世界中の子供たちに質の高い教育が普及するよう手助けする「Global Advocate for Youth」としての役割を国連傘下の「国連財団」から任命された本田は6月22日にワシントンで行われた式典に出席。その場で約3分間、英語でスピーチしたが、「W杯でプレーしたときよりプレッシャーを感じた。英語のボキャブラリーが少ないというか、英語のレベルが低すぎて、ずっと練習していた。そのプレッシャーが今年一番かもしれない」と笑った。

 賞金5000万円については「意味のある形で使いたい。すごい賞をいただいたというのは副賞からも感じられる」と話し、「この賞に恥じないように、これからすごく期待もされると思うし、『お前、全然ファーストペンギンじゃないやん』と言われないように、先駆者として今後も頑張っていきたい」とあらためて気を引き締めていた。

(取材・文 西山紘平)

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