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二川の移籍決断に「まさか」と驚きの加地、「いじめられてないか?」

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[7.10 J2第22節 東京V2-1岡山 味スタ]

 かつて青黒のユニフォームでともに戦った男たちが、それぞれ違うユニフォームに袖を通して“再会”した。東京ヴェルディファジアーノ岡山に2-1で勝利。かつてガンバ大阪でチームメイトだった東京VのMF二川孝広と岡山MF加地亮が味の素スタジアムのピッチで顔を合わせた。

 1999年から今年6月末までG大阪一筋だった二川。2006年から2014年夏にかけてG大阪に在籍していた加地。G大阪でチームメイトとしてプレーしていた過去約9シーズンでは、天皇杯2連覇やACL優勝、ナビスコ杯制覇など多くのタイトルを勝ち取った。

 その後は別々の道へ。加地は2014年夏にG大阪からデポルティボ・チーバス(アメリカ)へ移籍し、2015年1月に岡山でJ復帰。G大阪退団以降、加地が二川と同じピッチに立つことはなかったが、6月末に二川が東京Vへ移籍したことにより、J2の舞台で“再会”が実現した。

 この日の試合ではともに先発出場。東京Vへ期限付き移籍してきたばかりの二川は、ホームデビュー戦にして初先発だった。二人が競り合うシーンはほぼなかったが、試合は二川のアシストから決勝点が生まれ、東京Vが2-1で勝利した。

 試合後、加地は「ヴェルディのユニフォームは似合わないけど、やられましたね」と二川を“いじりつつ”、変わらぬ精度高いパスに脱帽した。

 ピッチ上では絡むことがなかったものの、試合前には会話も交わしたという。加地が「大丈夫か? いじめられてないか? 東京での生活は大丈夫か?」と矢継ぎ早に聞くと、二川は「大丈夫」と応答。さらに加地は「ハゲてきたんちゃうか? 苦労してんな!」と、1歳下の二川をいじり倒したという。

 大阪府高槻市出身で下部組織からG大阪一筋の二川にとって、東京Vへの移籍は関西から関東へ出てくるという意味でも、大きく環境が変わった。しかし大阪育ちのMFは「みんな本当に良くしてくれているので大丈夫です」と強調。加地の心配も杞憂に終わったようだ。

 加地は二川の移籍について、「まさか(G大阪を離れて)違うチームでやるとは思いませんでした。本当にまさかですよ」と改めて驚きの表情をみせつつも、「でもフタもね、試合に出ている方が活き活きとしているし、そっちの方がいいんじゃないかと思いますよ」と言うと嬉しそうに微笑んだ。

 どこかでボールを蹴っていれば、かつてのチームメイトに再会することはある。どんな色のユニフォームに袖を通していても、懐かしい仲間にピッチで会えることは幸せなことだろう。

 戦い続ける姿勢は互いの刺激や励みにもなり、それぞれを強く突き動かす。岡山の地で戦う36歳のMFは、挑戦を続けると腹括った二川の姿を目の当たりにして、少年のような笑顔で喜び、歓迎していた。

(取材・文 片岡涼)

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