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ダービーで芸術FK弾の柏木、試合後のブーイングには「納得いかない」

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[7.17 J1第2ステージ第4節 浦和2-2大宮 埼玉]

 自分だけの世界に入った。前半37分、中央やや右寄りの位置で獲得したFKのチャンス。浦和レッズのMF柏木陽介は「絶対に自分が蹴ると決めていた。一番決められる自信のある位置だった」と、迷いなくポイントに立った。

 ファウル直後、大宮GK加藤順大はなかなかボールを渡さず、チームメイトは駆け引きのために他の選手もポイントに立ったほうがいいのではないかと柏木に声をかけてきたという。「イライラしたけど、そういうイラつきを抑えて集中した。自分が蹴るのが相手に分かってもいいと思ってボールをセットした」。仲間の助言にも耳を傾けず、ただ目の前のキックに全神経を集中させた。

 ゴールを守るのは14年まで浦和に在籍していた元同僚。「ノブ(加藤)の位置が真ん中で、蹴りづらかった。向こうも壁を越してくるのは分かっていたかもしれないけど、自分のキックの質を信じたかった」。左足から放たれたキックは7枚の壁を越え、ゴール右上隅へ。ジャンプした加藤の手も届かないコーナーぎりぎりに叩き込んだ。

「自分に勝った」という芸術的な直接FK弾は昨年8月22日の仙台戦以来。「年間通して1本は決めないと納得いかない。2本ぐらいは決めないと」と、約1年ぶりに飛び出した“伝家の宝刀”に胸を張った。

 しかし、チームは前半アディショナルタイムにCKから失点。後半14分にMF武藤雄樹のゴールで再び勝ち越すも、同23分にカウンターから2失点目を喫し、さいたまダービーは2-2の引き分けに終わった。試合後は一部のサポーターからブーイングも飛んだが、柏木は歯に衣着せぬ発言で持論を展開した。

「ハーフタイムと試合が終わったあとのブーイングには納得いかない。5連勝したあとの引き分けの何が悪いのか。そういうときこそ『次、行こうぜ』と言うのがチームだと思う。3連敗していたらブーイングされるのは当たり前。選手はみんな最後まで戦っていた。そこはサポーターも受け止めて次に向かってほしい。浦和はビッグクラブだけど、選手に対して多少のリスペクトも欲しい。こういうことを言って俺が叩かれても構わない」

 選手、スタッフはもちろん、サポーターも含めてチームが一つになって戦うこと。柏木は自分の思いを吐き出すように一息に言い切った。

(取材・文 西山紘平)

●[J1]第2ステージ第4節 スコア速報

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