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[MOM1819]東福岡FW佐藤凌我(3年)_快足ストライカーが総体へのラストアピール!全3得点に絡む活躍

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.17 高円宮杯プレミアリーグWEST第9節 名古屋U18 2-3 東福岡高 港サッカー場]

 一度は失ったエースの座を取り戻すべく、全国高校総体前にラストアピールを狙ったFW佐藤凌我(3年)が東福岡高の全得点に絡む活躍を見せた。

 持ち味は「体力があって、足も速い。佐藤が裏に抜け出せば、何かが起きる」とチームメイトのDF小田逸稀が評するように鋭い動き出し。名古屋U18ペースで進んだ序盤から持ち味を発揮した佐藤は、重心が後ろに下がりがちだった東福岡のプレーラインを上げるべく、相手DFの背後へフリーランを繰り返し、積極的に攻撃の活性化を狙った。

 最初の見せ場は前半17分。前線でボールを受けると、2列目で構えたMF田尻京太郎とのワンツーで一気にPAへの侵入を試みたが、相手DFに進路を遮られ、シュートは打てず。27分にはMF高江麗央のパスから右サイドを抜け出し、ゴール前にグラウンダーのクロスを展開。ファーから中に飛び込んだMF姫野天輝がフリーで合わせたが、名古屋のDF宮島裕に阻まれゴールネットは揺らせない。

 果敢な動き出しが実ったのは、31分。中盤右でボールを受けたMF福田湧矢が縦パスを通すと、中央から右CK付近へと走り込んだ高江がフリーで反応。ゴール前に入ったボールを佐藤がニアで合わせてゴールネットを揺らした。後半18分には福田の縦パスからPAに飛び出すなど、試合終盤に差し掛かっても動きは落ちず。蒸し暑さによって、足が落ち始めた名古屋ゴールを果敢に狙うと、41分には左サイドを上がった小田のパスに対し、相手GKの前で反応。ダイレクトで合わせたシュートはGKに当たり、同点弾となった。46分には「残り時間があと少しで『このまま引き分けじゃダメだ』と思って、プレスに行った」とボールを持った相手DFに猛プレスを仕掛けてミスを誘発。ボールが途中出場のFW藤井一輝に渡ると、勝ち越し点に繋がった。直後にベンチへと下がったため、勝利の瞬間はピッチ外から見守ることになったが、全得点に絡んだ佐藤の貢献度は特筆に値する。

 この日見せた鋭い動き出しは早生まれとして挑んだ昨年の和歌山国体でも発揮され、福岡県選抜の優勝に貢献したが、「昨年から試合に出させてもらっていたけど、一個上の代とプレーすると遠慮してしまう部分があった」と自チームでは満足の行く結果を残せずにいた。今年に入ってからも消極的な動きは続き、チーム立ち上げ当初はエースストライカーの番号である9番を授かったものの、2月に行われた九州新人大会では決定機を逃し続けてしまう。

 対して、ライバルの藤井は九州新人大会でゴールを量産。4月にプレミアリーグが始まってからは完全に序列が代わり、藤井が9番へと昇格する一方、佐藤は20番へと降格した。「番号が変わったことは正直、悔しかった。まずは、スタメンを取り返すためは頑張ろうと思った」ものの、以降は途中出場ばかり。県総体でも決勝で試合に出られないなど辛酸をなめた。

 転機となったのは、県総体の直後に行われた九州総体。藤井の怪我によって、1回戦から出番を掴むと、「これまではボールを持ったらパスを選んでいたけど、もっとゴールへ貪欲に向かっていこうと思った」と積極的な動きを見せた。「点が獲れたら、乗れるタイプ」と振り返る通り、一人で大量9得点を奪った情報科学高(大分)との初戦を皮切りに3試合連続ゴール。プレミアリーグでも、再開初戦となった第7節の広島ユース戦からスタメン出場を続け、この日は全得点に絡む活躍を披露した。

 全国総体に向けて絶好のアピールとなったのは確かだが、「もっと決めるべきチャンスがあった」と振り返るように満足はしていない。「全国総体は3連覇がかかっていて、どこも果たせていない難しい挑戦だからこそ楽しみ。自分の得点で、日本一に貢献したい」と話すように、この日の活躍を全国で大暴れするための序章にするつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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