beacon

“柔軟型ポストプレー”で世界に挑む興梠

このエントリーをはてなブックマークに追加

 ブラジルへの旅立ちを目前に控え、FW興梠慎三(浦和)が独特の柔軟型ポストプレーで世界に挑戦する意欲を示した。手倉森ジャパンへの合流2日目にして日本国内での合宿打ち上げとなったこの日。興梠の表情は穏やかで、英気がみなぎっていた。

 身長175cm、体重72kgという決して大きくない体格でありながら、指揮官から求められているのは大柄で屈強なDFのマークを受けながら前線でボールをおさめるという難度の高いプレー。だが、オーバーエイジ枠での出場を引き受けた興梠には、要求を満たせるという自信がある。

「普通にぶつかったら、相手のDFは体格が大きいので負ける可能性が高いかもしれない。でも、一つ工夫すれば、ね。JリーグでもDFと僕の体格差はあるけれど、それでもタイミング良く懐に入ればキープもできる」

 その言葉どおり、175cmのサイズでは日本人センターバックと対峙しても10cm近い身長差があることも多々あるが、興梠の前線でのボールのおさまりはJ屈指だ。とりわけ特徴的なのは、巧みなボディコントロールを生かした、相手との接触の少ないポストプレー。「ACLでも全然通用したし、自分的にも五輪でどれだけやれるかが楽しみ。意外と外人が相手の方がやりやすいのかなという感じがする」と自信をのぞかせる。

 合流前はチームに溶け込めるかどうかを心配していたが「思った以上にみんなとしゃべれて、良い雰囲気です」と笑顔を見せた。

「岩波はだれとでもしゃべれる性格が俺に似ている」
「大島君もかわいい。本当に静かで、引き出しているけど、なかなかしゃべってくれないので、何か裏があるんじゃないかと思ってしまう」

 若い選手たちを観察しながら過ごす時間もどこか楽しそうで、「(年齢が)一番上ですが、偉そうな態度だけは取りたくないですね」と雰囲気づくり重視の姿勢もあらためて強調した。

「戦術に関しては、自分に合わせてほしいというより合わせるほう。難しいことではない。自然とフィットしていくと思っています」。プレーも性格も柔軟性の高い興梠が、手倉森ジャパンで世界に挑戦する。

(取材・文 矢内由美子)

●リオデジャネイロ五輪特集

TOP