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[ニューバランスカップ]快勝続く中でも意識してきた「1-0の積み重ね」。近大附が大阪決戦制して参加16校の頂点に

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[7.23 ニューバランスカップ決勝 大阪桐蔭高 0-1 近大附高 J-GREEN堺S1]

 大阪府のJ-GREEN堺で3日間かけて開催された「ニューバランスカップ」は23日午後に決勝戦を行い、近大附高(大阪)が大阪桐蔭高(大阪)に1-0で勝利。参加した強豪16校の頂点に立った。

 山田稔監督が「できるのに、大舞台にあまり強くない」と指摘する近大附がともにプリンスリーグ関西を戦う大阪府勢同士の対戦となったファイナルを勝ち切った。今大会、3-3-2-2の新システムが効果を発揮して準決勝まで4戦24発と得点力不足を解消している近大附だが、その中でも強く意識してきたのは「1-0の積み重ね」。DF堀江亮介主将は「ボクたち公式戦になったら自分たちの試合ができないとなっているんですけど、しっかり1-0の積み重ねをしていこうとチーム全員で心がけてやっている。あとは気持ち次第。しっかり戦えない選手はいらない。チームとして走り切るということもしっかりやってきた」。そのチームは決勝で2点目、3点目を奪うことはできなかったが、本来持ち合わせている攻守において戦う部分と、走り切る部分を発揮してタイトルを獲得した。

 大阪桐蔭の永野悦次郎監督が「相手がクセのフォーメーションに変化した時に対応する力がない」と評したように、大阪桐蔭が立ち上がりからアクセルを踏み込めなかったのに対し、近大附は好守からサイド攻撃へと繋げてシュートシーンもつくり出す。そして30分、左中間でFKのチャンスを得ると、キッカーのFW清水寛治がインステップキックでGKから逃げるような軌道の弾丸FKをニアサイドへ蹴りこんで先制。おどけたポーズでゴールを喜ぶ背番号9中心に近大附イレブンの歓喜の輪ができた。

 大阪桐蔭もテンポの速いパスワークでハイサイドをとってクロスや相手の背後を突くパスまで持ち込むが、最後の局面で1本のパスが乱れるなど同点に追いつくことができない。後半12分には左サイドから崩して決定機をつくり出したがMF菊井悠介の右足シュートはGK筒井哲司に阻まれ、15分にもダイレクトの崩しで決定機を迎えたが、MF西矢健人が合わせ切れない。主将のFW神崎大雅が「途中交代の選手が入ってきても変わらずリズムを崩さないというのが今年の特長だと思っている」という大阪桐蔭は交代出場のMF寺本哲平らが質を落とさずに攻めていたが、清水が「プリンスで大阪桐蔭に0-4で負けていた。その悔しさもあった」という近大附は堀江、白木原一輝、津村虎太朗の3バックやMF森川徹臣中心とした守りで最後まで1点を許さずに勝利した。

 3試合で18得点を挙げた予選リーグでは各試合で1失点。大量得点に喜ぶのではなく、その失点を反省したチームはトーナメント戦2試合で改善し、交代出場選手も含めて2試合をしっかりと無失点で乗り切った。堀江は「絶対ゼロにしようと言っていた。1-0の積み重ねをしようと言っていた。準決勝、決勝とそれができたので良かった」。5年ぶりの出場を狙う選手権へ向けて弾みの優勝。近年はトーナメント戦で苦杯を喫することが続いているが、堀江は「大阪のチームに勝てないというのが多かった。しっかり大阪のチームに1-0で勝てたのはプラス。何が良くて何が悪かったのかしっかり分析して大阪の1位を勝ち取れるようにやっていきたい」と語り、清水も「近大附属に入学してから(全国大会予選で)まだ一回も優勝できていない。全国に必ず出るという目標を持って一致団結してやりたい」と誓う。この優勝に浮かれることなく、取り組みを続けて近大附が冬に再び笑う。

(取材・文 吉田太郎)

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