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追ってきた背中、示すべき背中…流経大DF今津佑太が模索する“DFリーダー像”

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 大きな岐路に立たされている。大学3年生にしてJクラブからの注目も集め、全日本大学選抜にも選出された流通経済大のDF今津佑太(3年=流通経済大付柏高)。しかし前期リーグの終盤戦では先発落ち。今津の不振と時を同じくして、流通経済大はリーグ戦7位に低迷し、夏の大学日本一決定戦である総理大臣杯への出場権も逃した。

 大学3年目のシーズンで憂き目に遭っている今津だが、自分自身を見つめ直しながら、再び流通経済大のDFリーダーに返り咲こうともがいている。大学4年間で好調子を保ち続ける選手はほぼいない。4年間という長さを考えれば、浮き沈みがあって当然だ。繰り返し迫る波に乗り、時には振り落とされながらも、今津は挑み続ける。

 大学入学後から凄まじい成長スピードで駆け上がってきたが、今は雌伏の時。それでも直に本来の姿を取り戻し、これまで以上にスケールアップした姿を示すはず。その時にはこれまで以上の速度で上へ上へと駆け上がっていくだろう。

―シーズン前には全日本大学選抜の主力として活躍し、3年生となって迎えた今季はチームの中心選手として、活躍する姿をイメージしていたかと思います。しかし、今季は前期リーグ第9節以降は先発落ち。予想していたものとは、違ったシーズンになったのでは?
「大学では1年生のときから試合に出させてもらってきて、いつかこういう時も来るんじゃないかと思っていた部分もありました。なので、ある意味では予想通りなんです。たしかに全てが上手くいって、ずっと試合に出られていたら、思い通りなのかもしれないですけど。今は上手くいっていないのは確かですけど、それも想定内だと自分に言い聞かせています」

「どんな選手でも、4年間ずっと調子が良いということはないと思うし。時にはそういう経験から成長することの方が大きいとも思います。そういう経験を経て、さらにレベルアップできるかなとも思うので。そういうのも大切だという意味では、今の状況も想定内と捉えています」

―先発落ちしてしまった原因はどこにあると、自分自身では考えていますか?
「自分自身、何が原因というのはまだつかめていないです。ただ、試合に出させてもらっていたときに、今まで出来ていたことが出来ていなかったりとか、疎かになっていたりはあるので。それが日々の生活や普段の習慣から来るものだったりという可能性もありますし。まだ原因が何かハッキリは分かっていないですけど、言えるのは“出来ていたことが出来ない”というのが一番だなと思います」

―“出来ていたことが出来ない”というのは、メンタル面の変化などの影響が大きいのでしょうか。流通経済大の中野雄二監督に今津選手について聞く中で「全日本に選ばれたりするなかで、少し勘違いしてしまった部分もある」と厳しく指摘されていました。いわゆる“慢心”などがあったのでしょうか?
「自分が“慢心”と感じていなくても、心のどこかでそういう部分があったかもしれないし、周りから“慢心”という捉え方をされるのは、ある意味当たり前だと思います」

「全日本選抜など、そういった経験をさせてもらった上で、昨年以上のプレーができなければ、“慢心”があったと捉えられてしまうのは当たり前だと思うので。それを跳ね除けるパフォーマンスをしないといけないなかで、今シーズンは前よりも悪いプレーになってしまっているのは、そう言われてしまっても仕方ないかなと思っています」

―自身が出られないまま、総理大臣杯の予選であるアミノバイタルカップでは初戦敗退。立正大に0-1で敗れ、全国切符を逃してしまいました。その試合はどのように見ていましたか?
「3年生というのは上級生に含まれると思っているので、自分がその試合に出て、関わることだけが全てではないと思っています。なので、じゃあ自分が出られないからチームのために何ができるのかとか。ただ出られる出られないで一喜一憂するべきじゃないなと思っていたので。あの時はベンチスタートだから落ち込むとかいうことよりも、自分はチームにどう関わるべきかというのを考えて、ベンチで試合を見ることが多かったです」

―今津選手がベンチへ回る中、JFLで優勝した流通経済大ドラゴンズで出ていた選手たちが試合に出ていました。ベンチから見ていての心境は?
「自分のなかでは悔しさというよりも、それが妥当なんじゃないかなと感じていました。だからこそもっと頑張らないといけないなと、試合に出ている選手に力があるということは認めているので。なので悔しいというよりは、じゃあ自分ももっとやってやろうという感じでしたね」

―自身の出場がないままに、チームは全国切符を逃すという結果になってしまいました。
「自分自身が試合に出ていないのはコンディションやパフォーマンスが良くないというのを感じていて。コンディションがいい選手、ドラゴンズで出ていた選手が試合に出て、それで負けて大臣杯に出られなかったということは、自分たちが謙虚に受け止めなければいけない結果だと思っています」

「それと4年前も総理大臣杯の予選で負けて、本大会に出られなかったんですが、そこから連続で全国へ出られるようになったなかで、大臣杯に出るのは当たり前のような風潮がチームにあったと思います。なので、今回の敗戦は戒めというか、この敗退してしまった大会をこれからどういう風につなげていけるかというのが一番大事なところかなと思います」

―個人として、今後へ向けてというところでは、まずは“出来ていたことを出来るように”。取り戻すという部分でしょうか?
「正直取り戻すというか、最低限のパフォーマンスというか……自分が元々出来ていたことを当たり前にできるようにするというところからですね。出れていないという事実を考えて、プラスアルファで筋トレとか、シンプルにスキルアップだったりとか、基本的な部分も積み重ねていかないと。そこが出来なければ、自分がこれから先、試合に関われることはないかなと思っています」

―闘志を前面に出してプレーする今津選手ですが、やはり1年生のときにCBコンビを組んでいたDF鈴木翔登選手(現・熊本)から受けた影響が大きいのでしょうか? 1年生のときは“気持ちくん”こと鈴木選手がチーム全体を締め、今津選手は相手エースのストップに専念するという試合が多かったかと思います。
「一番は翔登さんの存在というか、背中が自分のなかでは大きかったです。でも3歳上の翔登さんとはまた違うタイプの田上さん(DF田上大地(現・長崎)が2歳上にはいて。翔登さんと田上さんという、いいDF2人の背中を見てきました。そういうなかで、じゃあ自分はどういうスタイルを確立して……といったところは難しいところでもあるし、これから自分の真価を問われるところなんじゃないかなと思います」

―現時点では今津選手の“スタイル”ははっきりと見えていますか?
「ベースのところは変わらないので。翔登さんみたいな“気持ちを出す”とか。決して上手い選手ではないですけど、戦える部分に大地さんのような難しい大切な試合で点を決めたりとかの勝負強さを加えられればいいなと思います」

「あとはチームを引っ張ること。翔登さんと大地さんは違うリーダーシップの執り方だったんですけど、そういったタイプの違う2人を見てきた中で、いいところを吸収していきたいです。2人とももうプロへ行ってしまいましたけど、それぞれのいいところを上手く拾って、自分なりのスタイルを確立していければ。ここから作り上げていきたいです」

―サッカーをやっているなかで一番大きな目標はどこに置いていますか?
「日本でサッカーをやっていると考えたら、目指すべきは日の丸をつけることだと思いますし、目指さないとスケールは小さくなりがちだと思うので、そこは見据えています。まだ今の時点では“日本代表に入ろう”と普段からやっているわけではないですけど、でもやっている以上はそこを目指してやらないといけないなとは思っています」

―今回履いたサッカースパイク「SPEED OF LIGHT PACK」は異次元のスピードと瞬時のボールコントロールを追求したモデルとなっています。まずスパイクへ足を入れての印象は?
「フィット感がすごいですね。自分は今回のスパイクのレザー版を普段は履いているんですけど、それと比べると少し硬い感じはします。それでも、逆に硬い分はフィット感が高くなっているのでありかなと思います」

―今回のスパイクのキーワードは“光のスピード”になります。プレー中、“スピード”をどのように意識していますか?
「自分はスピード勝負の人間なので。どんなプレーでも一瞬のスピードが大切だと思うので、あまり速いタイプだとはないと自分でも思っていますけど、意識としては、そういったところにはこだわりを持ってやりたいなと思ってプレーしています」

(取材・文 片岡涼)
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