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[総体]九州大会の悔しさもエネルギーに、史上初の3連覇に挑む東福岡「自分たちの代で歴史を止める訳にはいかない」

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 高校サッカー夏の日本一決定戦、平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(男子)の開会式が26日、広島市の広島国際会議場(フェニックスホール)で開催された。参加55校の代表選手たちが参加。ライバルたちから最も視線を集めていたのが、全国総体2連覇中の王者・東福岡高(福岡)だ。昨年度は全国高校総体に加えて全国高校選手権でも優勝して史上6校目となる全国2冠を達成。強烈なインパクトを残した“赤い彗星”は各校にとって最大のターゲットになっている。昨年の優勝メンバーで、この日の開会式で優勝旗を返還したCB児玉慎太郎主将(3年)は「今年も優勝したいな、また取って帰りたいなという思いは強くなりました。(他校は)自分たちに対して特別な意識を持って戦ってくると思うので、それに負けずに優勝まで行きたいと思います」と静かに口にした。

 昨夏は、前年度優勝校ということで特に厳しいマークを受けながらも、一戦一戦接戦を勝ち抜いて頂点に立った。だが、それが本当に簡単ではないことを彼らは知っている。今年のチームは新人戦の県大会、九州大会、そして総体予選と連覇を果たしてきたが、4連覇を懸けた6月の九州高校大会(長崎)では決勝で地元の長崎総合科学大附高に0-2で敗戦。完全アウェーの雰囲気、レフェリングにも苦しんだチームは、自分たちでチャンスを逸したこともあって悔しい敗戦を喫した。

 負けていい試合はない。だが、対高体連チームとの公式戦では1年4か月ぶりとなる敗戦はプラスの効果ももたらしている。九州大会後の高円宮杯プレミアリーグWESTでは広島ユースに競り負けたものの、京都U-18、大分U-18、名古屋U18とJユース勢3チームから白星。昨年の全国総体得点王であるエースMF藤川虎太朗(3年)は「4連覇かかっていてそこで勝てなかったのは悔しいし、でもその悔しさから学ぶこともいっぱいあったと思うので、その失敗を次に生かせるように。インターハイでは次は絶対に負けないようにしたい」と語り、児玉は「今となってはあそこで負けたからあの後のプレミアもいい形で進めているし、また気持ちを引き締め直す良い大会になった。自分たちのプラスになっていると思います。九州大会で負けて、これ以上自分たちの代で歴史を止める訳にはいかないので、しっかり優勝して後輩たちにまた4連覇を目指してもらいたいです」。先輩たちが積み重ねてきた歴史の重さを肌で感じているイレブンは、1つの敗戦の悔しさをエネルギーにして、責任感を持って、目の前の試合を勝ち切ることに集中している。

 個々も高い目標、意識を持っての戦いとなる。エース藤川にとっては昨年の全国総体は、「ヒガシの藤川」の名を広く知らしめた大会だ。今年の目標について「自分は得点王がかかっているので、去年みたいに果敢にPAに入っていって、相手が予測しないようなプレーを何回もやっていきたいと思っています。去年は何も自分は名前も売れていなかったと思う。今年は選手権でもプレーして、みんなに知られている存在と自分でも自覚しているので、そこで裏切らないプレーをして、このインターハイを自分が引っ張っていけるような選手になっていきたいです」。ライバルたち以上にこの夏の戦いに懸けている。

 初戦は7月28日の2回戦。中津東高対昌平高戦の勝者との対戦となる。「インターハイは連戦になるんで、自分たちの勢いをしっかりつけられるように初戦から大事していきたいと思います」と児玉。まずは初戦で勝利することに全力で集中する。

(取材・文 吉田太郎)
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