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[総体]尚志のドリブルが効果発揮、2回戦で師弟対決実現!

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[7.27 全国高校総体1回戦 佐賀東高 1-2 尚志高 東広島運動公園陸上競技場]

 平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(男子)1回戦が27日に行われ、7年連続出場の尚志高(福島)が佐賀東高(佐賀)に2-1で勝利。2回戦へ進出した。

「この暑い中でこれだけ外したら……」。尚志の仲村浩二監督は再三の決定機を外したチームに苦笑いしていた。シュートミスに加え、佐賀東GK中島豊輝(3年)の度重なるビッグセーブ。それでも後半に勝ち越した尚志は「DFラインが集中してケアしてくれて、裏を取られなかった。相手には速い選手がいたけれど、対策が上手くいった」(DF常盤悠、3年)という守りで1点差勝利。2回戦では仲村監督の習志野高時代の恩師に当たる本田裕一郎監督率いる流通経済大柏高(千葉1)と対戦する。それだけに、仲村監督は「ひとつ目標を達成できました。70分ならオールプレスをかけてくると思うので、それをどれだけ耐えられるか」と全国大会のトーナメント戦で初めて対戦するという師弟対決に思いを馳せていた。
 
 苦しい戦いとなったが、尚志の選手たちのドリブルが非常に効いていた。チームは映像でドリブルに対する相手の対応が上手くないと分析。特に、右サイドから相手のSHを振りきって駆け上がってくる常盤がMF高橋大河(3年)と2対1の状況をつくり出し、鋭い切り返しで何度もDFを振り切った。先制点も常盤の突破が起点に。6分、尚志は右CKのクリアボールを拾った常盤が鋭い仕掛けでDFの前に出てラストパスを入れると、ファーサイドの高橋がトラップから左足で決めて先制した。

 だが、佐賀東は相手の間を取りながらボールを丁寧に繋いで前進。序盤はそれを尚志に引っ掛けられるシーンもあったが、13分に正確なパスワークから同点に追いつく。中央からMF陣内琢斗(3年)とMF柿崎雄至(2年)がボールを繋ぐと、タイミングよくボールを引き出していたFW川内陽一(3年)が受けてスルーパスを通す。これで右中間を抜け出したFW古川慧樹(2年)が右足で同点ゴールを流しこんだ。

 スタンドの控え部員から「流れ持って来い!」という大声が飛ぶ中、佐賀東がリズムを掴む。パスワークに落ち着きが出て、背後を狙う回数も増加。一方、尚志は17分にMF影山諒(3年)の折り返しをMF神垣陸(3年)が右足で叩くが、GK中島が指先で触れたボールはポストを叩いて外へ。その後も尚志は神垣を起点に幅を使った攻撃を見せる。そしてスピード武器の高橋が縦に仕掛け、また左MF影山がドリブルで中央へ潜り込んでチャンスを作り出した。だが、CB中村恒介(2年)がピンチを救った佐賀東は、前半終了間際にも高橋に決定的なシュートを打たれたが、GK中島が右足で止めて勝ち越し点を許さない

 それでも後半3分に尚志がリードを奪う。常盤の右CKをニアのストーンの位置にいたDFがクリアミス。これがニアサイドのゴールネットへ吸い込まれて2-1となった。畳み掛けたい尚志は直後にもビッグチャンスを作ったが、FW渡部公平(3年)のシュートをGK中島がビッグセーブ。佐賀東は中盤にポジションを落とした川内が配球役となり、また選手交代でフレッシュな選手を投入して反撃するが、尚志はGK堀江亮博(3年)が守備範囲の広さを見せたほか、後半は背後へのパスを通させない。それでも、両SBが高い位置を取ってほぼ2バックで守る佐賀東は中島を中心に我慢強く守って終盤にビッグチャンス。32分、川内とのコンビネーションで左サイドを突いたMF石橋翼(2年)がDFの逆を取り、最後は折り返しから川内が右足を振りぬいたが、シュートは枠左へ外れてしまう。

 尚志は34分に獲得したPKを高橋が失敗。最後まで余裕のある展開にはならなかったものの、1点差で勝利した。昨年はプリンスリーグ東北で初優勝。そこから主力がほぼ入れ替わったチームについて仲村監督は「ボクの思い通りにならないから、いいのかもしれない」と笑う。細かい部分にいくつも課題を残したが、それでも白星は離さず。常盤は「自分たちの目標は全国制覇。(2回戦は流経大柏戦だが)守備はもっとやれると思うし、しっかりやっていけばいい結果が出る」と語り、高橋は「明日もチーム全員でひとつになれば、勝てない相手ではない」。初戦は自滅してしまった部分もあったが、自分たちはまだまだやれる――。その自信を持って、尚志が目標とするプレミアリーグ勢の流経大柏に挑戦する。

[写真]前半6分、尚志は高橋が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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