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[総体]星稜が後半に地力発揮、札幌大谷との熱戦制す!

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[7.28 全国高校総体2回戦 札幌大谷高 2-3 星稜高 東広島運動公園陸上競技場]

 後半に地力の差が出た。全国高校総体サッカー競技は28日に各地で2回戦を行い、東広島運動公園陸上競技場の第2試合は、星稜高(石川)が3-2で札幌大谷高(北海道1)を下して3回戦進出を決めた。

 14年度の全国高校選手権を制している星稜は現在、同選手権で4年連続の4強入りを果たしている強豪中の強豪だ。しかし、前半は札幌大谷への対策が裏目に出た部分もあり、ちぐはぐな展開となった。

 相手が2トップで来ることを想定して、最終ラインを通常の4バックから3バックに変更。札幌大谷が擁するプロ注目の快足MF大山武蔵にマンマークを付ける形を取ったが、実際は札幌大谷が4-1-4-1のような布陣を取ったため、守備が機能しなかった。星稜の最終ラインを守ったDF岡田勇斗は「ファーストディフェンスがハッキリしないまま、ズルズルと押し込まれた」と苦しい時間を振り返った。

 押し気味に試合を進めた札幌大谷は、持ち前の攻撃力をいかんなく発揮。25分、左DF松永凱翔からのスルーパスに抜け出た大山が、マークをしていた星稜のDF松尾航平に倒されてPKを獲得。大山が自ら左隅へ決めて先制した。大山と星稜のGK高橋謙太郎は、ともに札幌市で活動するレアリッザーレFCの出身でジュニア時代はチームメートだった。「ちょっとやりづらかった」という感慨深いPK勝負に臨んだ大山は左のポストをたたくギリギリのコースへ見事に蹴り込み、ゴールを奪った。

 ところが、星稜は簡単には倒れない。前半終了間際、FW畔道徹がスルーパスを出すと、ウルグアイ代表として活躍した往年の名選手ウーゴ・デレオンに由来する名を持つFW亀谷宇々護が抜け出して同点。「練習していた角度だったので、振り抜いた。あの形で取れて良かった。窪田みたいに毎試合点を取れるようになりたい」と話した亀谷の一撃が前半のラストプレーとなり、星稜は一気に勢い付いた。

 星稜は後半から通常の4-4-2の布陣に戻すと、いきなりスピード感のあるサイドアタックを発動。次々にクロスを放り込んで決定機を量産すると、後半7分に右からのアーリークロスを相手DFがクリアミスした隙を突いて、MF片山浩が逆転ゴール。札幌大谷はボランチを務めていたFW木村太哉がドリブルで左サイドを切り裂き、途中出場のMF高橋恒大がゴール前で合わせる決定機があったが、星稜のDF岡田がスライディングでブロック。そして後半22分、星稜は途中出場で右MFに入っていた北方雄己が相手DFのミスを突いてスライディングでゴール方向へ弾くと、フリーで抜け出したFW窪田翔がGKとの1対1をきっちりと決めて3点目を奪い、突き放した。

 ところが、3トップ気味に変更した札幌大谷も攻撃力は衰えることなく、3点目を奪われた2分後には、木村の縦パスから高橋がドリブルでバイタルエリアを攻め、右に展開したところからFW植木愁人がシュート。相手DFに当たったこぼれ球を左から詰めた鈴木嵐士が押し込んで1点差とした。白熱の攻防は最後まで続き、試合終了間際には札幌大谷の鈴木がワンツーで抜け出しに成功して好機を迎えたが、シュートはゴールの枠を捉えず。試合は、3-2で星稜が辛くも逃げ切った。

 星稜のエースFW窪田は「後半は自分たちの方が走れていた。相手は北海道のチームで暑さにも慣れていないはずだから狙って行こうと話していたが、それが奏功して追加点を奪えて良かった」と安堵の表情。河崎護監督も「夏の大会なので、コンディションが鍵を握る。うちは2試合目だけど、相手は後半に足が止まっていた」と走り勝ちを強調した。

 一方、札幌大谷は、攻撃力は十分に通用したものの守備の綻びをぬかりなく突かれて悔しい敗戦。相手の2、3点目は、ともにDF長尾晃佑の対応ミスから失点につながってしまった。田部学監督は「個のレベルは、北海道ではそこそこ。でも、マインドの部分で、もっと上げないといけないということが分かっていない。やられた場面では、そんなに難しい対応を迫られたわけではなかったのに、選手が走れなくなっていて、体のバランスを崩していた。誰がどう見ても責任を問われるようなプレーになったが、そこで自分に足りていないものに気付いてほしい。もっと言えば、チーム全体が練習から甘い所を見逃さないようにならないといけない」と話し、課題を持ち帰った。攻撃力を見せた札幌大谷と、誤算も覆す勝負強さを見せた星稜の見ごたえあるゲームだった。

[写真]後半7分、星稜は片山が勝ち越しゴール

(取材・文 平野貴也)
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