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[総体]「本当に大きい」MF住永翔の存在、青森山田にまた名リーダー現る

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[7.29 全国高校総体3回戦 青森山田高 1-0 鹿島学園高 呉市総合スポーツセンタ-多目的G]

 昨年、青森山田高のキャプテンマークは左SB北城俊幸(現慶應義塾大)が巻いていた。誰よりもハードワークを徹底し、頭部を負傷してもくじけない。そして抜群のキャプテンシーを放っていた北城は「青森山田史上最高のキャプテン」と言われた存在だった。彼に匹敵するような存在はそう簡単には現れないだろう、その予想は裏切られた。

 今年、青森山田のキャプテンはMF住永翔(3年)が務めている。昨年からの主軸であり、中盤の底のスペースをひとりでカバーする攻守の要。そのMFは苦しい展開の中でチームを声で鼓舞し、体を張って戦い続けた。そしてチームメートたちとともに「覚悟と勇気」を持ってハードワークして1-0勝利。試合後はハイタッチを繰り返しながら「よくやったよ!」「気合入っていたよ、オマエ!」など、周囲の目を引くようなエネルギーで仲間たちの労をねぎらっていた。

 その住永について、黒田剛監督は「アイツの存在はこのチームで本当に大きい。住永のチームと言っても過言ではないくらい。彼は計算もできるし、チームを鼓舞することもできる」とそのリーダーシップを認める。FC東京内定のGK廣末陸やジェフユナイテッド千葉内定のエースMF高橋壱晟という中軸以上の存在。そして指揮官は「北城に匹敵するような」の問いに対して「北城もそうだし、その前の小笠原学(現早稲田大)もそう。前のキャプテンを見ているからそれ以上にやろうとするんだよ」と説明し、前の代のキャプテンのレベルに追いつこうとする努力がそのリーダーシップ、向上心を高め、チームをまた団結させていることを教えてくれた。

 住永本人は「(過去の先輩たちには)全然、匹敵はできていないですけども、自分は負けた試合もスタメンで出ていた。悔しい思いから、今年は最後の年ですし、何が何でも勝ってやるという気持ちは誰よりも持っている。その気持ちだけは誰にも負けないで、自分の色だったり個人の長所をもっと出していければいいと思います」と語った。自分の色、それは「自分の長所であるチームで戦う中でも個人としてのキックの精度、パスでゲームをつくったり、CBになるべく負担かけないようなコーチングだったり、球際とか、次の試合から出していければ。まだまだ出しきれていないと思っているので、もっともっと出していければと思っています」。ゲームメークしながら、守備では獅子奮迅の働き。そして仲間を讃え、個人、チームに出た課題改善に全力で務める。自分自身、チームに対する厳しさは過去の名キャプテンたちにも負けていない。

(取材・文 吉田太郎)
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