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実質5バックで変化を見せる名古屋、次は攻撃面…初の助っ人戦術交代で見えた指揮官の覚悟

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[7.30 J1第2ステージ第6節 横浜FM0-0名古屋 日産ス]

 結果はスコアレスドロー。ただ名古屋グランパスにとっては、収穫の多いゲームになった。第2ステージで上位争いをする相手に敵地でドロー。小倉隆史監督が試合後に言った「勝ち点1をよしとしないといけない」は、降格圏に低迷するチームとしては偽らざる本音だろう。

 実質5バックにしてもぎ取った勝ち点1。今後、スタンダードなシステムとして継続されるかは不透明だが、J1ワースト失点と苦しむチームの変化を感じさせた。今夏補強したMFハ・デソンやMF扇原貴宏ら故障者の続出で苦し紛れの戦術変更とも言えるが、理想を貫いてきた小倉監督にとっては大きな一歩だった。

 もう一つ、変化を感じさせる場面があった。これまで故障以外で外れることのなかったFWシモビッチを後半26分にFW松田力と交代させた。守備に重きを置く戦術から前線に人数をかけられないということもあったが、1トップのシモビッチのボールを引き出す動きの少なさが、攻撃を停滞させる要因にもなっていた。

 さらにこの試合では日本を代表するDF中澤佑二やDFファビオと対峙していたこともあるが、ロングボールを入れても、199cmFWがいい落としを見せることはほぼなかった。「カウンターのところの部分で勢いがほしかった」と交代理由を説明した指揮官だが、パフォーマンスに不満があったことは明らかだった。

 第2ステージ6試合で10失点している守備陣の立て直しはもちろんだが、同時に、6試合で1得点の攻撃陣の改善も図らなければならない。現実路線への転換を迫られる名古屋。第1ステージで9得点を挙げたものの、初めての日本の夏に苦しむ25歳助っ人を外した決断は、本格的な残留争いに向けた指揮官の覚悟に感じた。

(取材・文 児玉幸洋)
●[J1]第2ステージ第6節 スコア速報

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