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[総体]10人の静岡学園必死の反撃も、粘り強い戦いぶり披露した昌平が熱戦制して4強へ!

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[7.31 全国高校総体準々決勝 昌平高 1-0 静岡学園高 広島広域公園第一球技場]

 平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」のサッカー競技は31日、広島広域公園にて準々決勝4試合を行った。同公園第一球技場の第1試合では埼玉の新鋭・昌平高(埼玉1)が伝統校の静岡学園高(静岡)と対戦。激しい攻防戦の末、1-0で準決勝進出を決めた。

 昌平と静岡学園というボールを保持する意識の高いチーム同士の対戦となったこの試合は、予想どおりに中盤での主導権争いが続く流れとなった。パスゲームの傾向が強まる中で、ドリブルを織り交ぜて流れを変える静岡学園と、短いパスの連続から裏への一本を狙い続ける昌平という個性の差も見えたものの、どちらも決定打は繰り出せない。

 単に双方が攻撃の迫力を欠いたということでもない。昌平・藤島崇之監督が「静岡学園さんはこちらが(ボールを)奪った直後のディフェンスの入りが良かった」と舌を巻いたように、攻守の切り替えにおける強度の高さが双方の攻撃から縦へのスピードを削り取っていた。このあたりは試合前に静岡学園・川口修監督が「今年は頑張りのチーム」と語っていたとおり。昌平側も守備の切り替えにスキはなく、そのまま時間が過ぎていった。

 そんな試合のターニングポイントは前半終了間際だった。「足下でつなぐだけじゃ崩れない」(MF針谷岳晃)という発想の下で昌平が繰り出していた裏への走り込みが実を結ぶ。長いロングボールから飛び出して行ったのは昌平の裏取り職人、FW本間椋。このロングパスに対して静岡学園DF天本翔太が足でクリアに行くが、不運にも勇敢に突っ込んだ本間の顔面付近に当たってしまい、これが「著しく不正なプレー」に相当するという判定から退場となってしまった。

 大きなハンディキャップを背負った静岡学園だが、後半開始から気持ちの強さを各人が示して昌平に対抗。勇敢に攻撃へも人数を掛けていく。ただ、前半ほどに守備の強度を維持し続けるのは難しくなっており、そのスキを昌平が突いていく流れで試合は動きつつあった。そして迎えた後半15分、ついに試合の均衡は崩れる。昌平は中央の針谷が起点となって左MFの松本泰志にパスを入れると、松本は本間とのパス交換から一気にゴールへ迫る。「切り返しのタイミングであそこのコースしか空いてなかった」(松本)という丁寧な右足シュートは、まさに「練習の成果」で美しい放物線を描いてゴールイン。「(松本が)常に狙っているプレー」と藤島監督も相好を崩す10番の一撃で昌平がリードを奪い取った。

 だが、試合はこれでは終わらない。後半のクーリングブレイクを境にアクセルを踏み込んだのは静岡学園だった。得点王を狙うFW福原涼太が体を張りながらゴールへの執念を見せれば、伝統のドリブラーたちがステップを刻み、クロスボールも次々とゴール前に入った。「後半の半ばまでうまくいったが、残りは押し込まれてしまった」(藤島監督)のは、一人多い昌平にとって計算外の事態だった。

 しかしここで踏みとどまれるのが今年の昌平の強さだ。「静岡学園に押し込まれて、本当に厳しい時間帯だった」(DF関根浩平)だったが、「CB二人が本当によく跳ね返してくれた」(針谷)。ピンチの連続にもベテランのような落ち着きを見せる2年生DF石井優輝が軸となり、体を張って相手の攻勢に対処。終了間際の決定機ももう一人のCBである関根が阻止して、試合終了。粘り強い戦いぶりを披露した昌平が1-0で熱戦を制し、初めての全国4強進出を決めた。

[写真]後半15分、昌平MF松本が右足で決勝点(写真協力=高校サッカー年鑑)

(取材・文 川端暁彦)
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